冷戦史(下)-ベトナム戦争からソ連崩壊まで (中公新書 2782)
- 中央公論新社 (2023年12月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121027825
作品紹介・あらすじ
1945年頃から1990年頃にかけて、アメリカ中心の西側陣営とソ連中心の東側陣営が対立した「冷戦」。その影響は21世紀の今日にも色濃く残っている。本書は米ソ超大国やヨーロッパの対立のみならず日本を含む東アジアの展開にも力点を置いた通史である。下巻では、泥沼化するベトナム戦争、デタント(緊張緩和)の進展と「新冷戦」への転換、そしてゴルバチョフの登場を経て冷戦が終わるまでを描き、この時代の意味を問い直す
感想・レビュー・書評
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冷戦を中心とした現代史は、各国の利害関係が複雑に絡み合った結果であるが、その要因について、非常に簡潔かつ分かりやすく整理されている。
歴史は、必然の結果ではなく、各国の選択の積み重ねの結果であるとの考察が印象的。そうであるからこそ、本書を読んで学ぶ意義があるのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F開架:B1/5/2782/K
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【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/570773 -
ベトナム戦争から冷戦集結まで。上巻の時期以上に「米ソ両陣営の対立」の枠に収まらない事象が目立つ。中ソ対立、主に欧州でのデタント、米中接近。東欧経済をも巻き込むグローバル化や75年のヘルシンキ最終議定書は冷戦集結の遠因となったのが分かる。
第三世界の中でも、東・東南アジアで経済的近代化に成功する国々、産油国の国々など多様化して格差が生まれ、分裂が始まる。また、現在とは異なると感じるのは、ニカラグア、アンゴラなど軍事面も含めた米の第三世界内戦へのあからさまな介入だ。クメール・ルージュやアパルトヘイト支持も、現在の人権感覚では考えにくい。いずれも冷戦の波及効果だが、現在は米中対立とは言えそこまでのレベルでもない。
「新冷戦」はどうかと見ると、著者は、ソ連のアフガン侵攻が「防衛的」理由だったとし、同時にデタントをめぐる米欧対立やそれでも西欧はINF配備による米の拡大抑止を求めていたことも指摘し、緊張と緊張緩和が混在していた時期だとする。
そして終章で著者は、冷戦とは「米ソ超大国間のグローバルな対立構図をその中核的要素とする国際システム」だったと端的に述べ、イデオロギーが重要な役割を果たしたとする。ただ同時に、米ソ以外の様々な国家や政治勢力に各国社会の動き、米ソに加え欧州、東アジア、第三世界の政治力学や事態の展開の重要性も指摘する。 -
【請求記号:319 ア 2】
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登録番号:0142585、請求記号:209.75/A55/2
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ベトナム戦争から冷戦の終焉までがよくわかった