逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505781

感想・レビュー・書評

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  •  スタートアップという言葉はアメリカのシリコンバレーからきたもので、急成長する事業を指すそうです。本書では、急成長しない(させようとしない)事業は、スモールビジネスと呼び区別しています。

     「はじめに」の物語に登場するスタートアップの中で、私が知っていたのは、Facebook・Instagram・Amazonだが、いずれもITを余すことなく活用している企業であり、当然のことながら本の前半はスタートアップにはITありき、という雰囲気が漂う。

     話はスタートアップに重要なアイデア・戦略・プロダクトの順で進むが、ITを利用する側にいる私にとって、前半は少々読みにくかったので、第3章のプロダクトから読み始めたところ理解が進み、俄然面白くなって駆け足で読み終えた。

     大企業がイノベーションを起こせない理由の一つは、オペレーターなってしまった人たちのの嫉妬が原因で、ノベーターを守れないから…だから、大企業は、スタートアップとのオープンイノベーションに活路を見出そうとしているのかもしれませんね。

     売るものが何であっても、先ず必要なのは、プロダクトの魅力です。それを高めるために必要なのは、シンプルな状態で良いから出来るだけ速くローンチ(リリース)して顧客の反応を見ながら、アップデートして行くこと。立ち上げ時は創業者が自らカスタマーサポートを行うことも必要、とのこと。普段、カスタマーサポートをサポート?している私としては、お客様の声は宝の山、という考え方が良く分かります。お客様の声を上手く活用しましょう。

  • 実は目新しいことは書いてなくて、ゼロ・トゥ・ワンやワイコンビネーターことを簡潔にまとめている本であり、それを日本で刺さるように書いてある。何をするためにスタートアップを起こすのかを考える意味で良い本。

  • 「解像度を上げる」が良かったので、こちらも読んでみた。
    スタートアップが大事にすべきことは反直感的な方、例えば「合理的なものより不合理なもの」「大きな市場より小さい市場」ということや、スタートアップに最初からフルコミットするよりサイドプロジェクトとして始めた方がよいなど、具体的な知見がまとめられていた。
    2017年の本ではあるが、今読んでも違和感なく読めた。

  • Zero to Oneの日本語縮小版焼き直しという感覚。
    メトリクスの概念と、終章の熱意が良かった。

  • 論理性に欠け同じことを繰り返すなどやや冗長に感じる。学者(正確性が大事)というよりもビジネス(ある程度まで詰めたら決めていく事が大事)の人だなと思った。
    しかし、内容は面白い。自分も今作っているものをもっと広めるために今までになかった発想での工夫ができる気がする。
    また、何回か読み返して今作っていないがこれから作りたいと考えているものに関しても考えてみたいと思った。

  • いろいろなエピソードを含ませながら説明されていて、なるほどと思う。著者はいろいろな本をよく読んでいる。
    最後の「すでに不合理なアイデアや賛成する人がほとんどいない大切な真実に気付いているのであれば、本書を捨てて、今すぐ製品を作り始めてください。・・・」との語りかけは、すべてを物語り、著者のスタートアップを支援したいと思う真摯な姿勢が垣間見られる。

  • シリコンバレーのスタートアップ系書籍の内容がよくまとまっていて読みやすい。
    引用している本がどれも良書ばかりなので派生して読んでいきたい。

  • スタートアップに限らず、志のあるビジネスマンは読んで損ない内容。いっぱいマークしました。
    ・どんなに能力が高く優秀でも、運を味方にできない限り、スタートアップは成功しない
    ・「半直感的」な事実についての感度。①不合理なほうが合理的、②難しい課題ほど簡単になる、③本当によいアイデアは説明しにくい、④スタートアップの成功はべき乗則に従う
    ・マーケットが合理的に動いていれば、急成長するチャンスは頭のよい人によってすでに刈り尽くされているはず
    ・「なぜ今」このアイデアは悪いように見えて実はよいのかを説明できる必要がある
    ・ミッションのない企業は人々を興奮させず、いいチームを集めることができない。十分に大胆でありながらも、頑張れば実現可能であるというアイデアが必要
    ・スタートアップのアイデアは「考え出す」ものではなく「気付く」もの
    ・Googleは初めての資金調達を行うまでに350回のピッチを行った
    ・「悪いように見えて、実はよいアイデアかどうか」のチェックをしてみること(位置No.762)
    ・「競争すること自体」が負け。競争から抜け出るためには、「独自の」価値を作る必要あり
    ・スタートアップの最初期は多数の人から好かれる製品よりも、少数の顧客が愛する製品を作ったほうがよい
    ・エバンジェリストとなった顧客は、下手すると従業員よりも効果的に自分たちの製品の良さを伝えてくれる
    ・スタートアップは決してモメンタムを失ってはいけない。常に今のモメンタムに気を配り、モメンタムをどう維持するかを考え続ける必要あり(モメンタムを失うと、離職者が生まれ…本業にまい進できなくなる)
    ・物事がひどく悪い方向へ進んだとき、社員を会社に留まらせる唯一の理由は、その仕事が好きということだけ
    ・「今あるお金を失うリスク」よりも「将来の可能性を逃すリスク」を嫌がる傾向にあるのがビリオネア

  • スタートアップの指数関数っぷりをわかりやすく解説。
    不合理を合理的に取り入れる昨今の近況に対応する始め方が非常にわかりやすい。
    バーベル戦略は好きなので納得。
    今の時代の生き方そのものともいえる。
    ラストの冷静な促しのようにサイドから始めるべきだ。

    どれも知ってるやってるの範囲だが平易。

  • 著者の馬田隆明氏は、日本マイクロソフトでスタートアップの支援を行っていた人で、現在は東京大学で学生にスタートアップのレクチャーをしている。
    33歳で本書を出版していることに驚く。
    内容は、スタートアップではないビジネスマンにも通じるものが多く含まれている。
    イノベーションが社会を変える時代である。そして、イノベーションはスタートアップから生まれることが多い。
    つまり、スタートアップに必要な思考は、イノベーションを起こすための思考である。
    しかし、私たちも規模や次元の違いがあれど、仕事面で何かしらの革新を求められている。また、革新を起こしたいと思っている。
    私が印象深かったのは本書冒頭の次の3点。
    ①不合理な方が合理的
    一見不合理に見えるが実は合理的なアイデアこそ革新に通じる。しかし、一見不合理に見えるアイデアのほとんどは本当に不合理なアイデアなので注意しなければならない。
    ②難しい方が簡単
    誰もやりたがらないほど面倒で困難なことの中に、宝がある。その面倒を引き受けて困難にチャレンジすることが革新の近道である。
    ③分かりにくい方が良い
    全く新しいものにはカテゴリーがない。ゆえに、説明しても分かりにくいようなものである。どのカテゴリーにも属さないような未知のものこそが、革新に近い。

著者プロフィール

東京大学 FoundX ディレクター。
University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトを経て、2016年から東京大学。東京大学では本郷テックガレージの立ち上げと運営を行い、2019年からFoundXディレクターとしてスタートアップの支援とアントレプレナーシップ教育に従事する。スタートアップ向けのスライド、ブログなどで情報提供を行っている。著書に『逆説のスタートアップ思考』『成功する起業家は居場所を選ぶ』『未来を実装する』。

「2022年 『解像度を上げる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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