書店員X - 「常識」に殺されない生き方 (中公新書ラクレ 589)
- 中央公論新社 (2017年7月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121505897
作品紹介・あらすじ
2016年、地方の一書店が仕掛けた「文庫X」なる謎の本が、日本中を席巻した。表紙をオリジナルの手書きカバーで覆い、タイトルと著者名を隠すという前代未聞の試みは、全国650以上の書店を巻き込み、30万部を超えるヒットを記録。マスコミにも大きく取り上げられた。本書では、ヒットに至るまでの道のりとアイデアの秘訣を分析し、それらと著者自身の半生を踏まえた上で、世の中を生き抜く力について語る。
感想・レビュー・書評
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長江貴士『書店員X - 「常識」に殺されない生き方』中公新書ラクレ。
岩手県盛岡市の地方密着型書店である『さわや書店』の書店員にして、あの『文庫X』の仕掛人・長江貴士の『文庫X』の裏側を描きつつ、自身を見つめ直したエッセイ。
『文庫X』は本当に見事な企画だった。確かに余程の本好きか、ノンフィクション好きじゃないと手にすることの無い面白いけど余り売れないだろうという本を全国レベルであそこまで売り上げるとは。また、『文庫X』のミソは買ってみないことには正体が分からないということであった。
自分も『文庫X』の正体が非常に気になり、福島県でいち早く販売を始めた地元の書店で最初の1冊を購入し、兎に角、早く正体を知りたいという思いで手作りカバーを開けた。そして、『文庫X』の正体を知り、既読本であったことに安堵した。こんな面白い本を読んでいなかったとしたら末代までの恥だった。
こういう本を売りたいがための一心で、こんな奇抜な企画を繰り出す書店員とそれを容認する上司の懐の深さに感激した。
昔から盛岡市は、映画館や地元の新刊書店、古書店も比較的多く、様々な知見を得る上ではこの上に無い良い環境にある地方都市であった。その中でも『さわや書店』は独自の企画で、様々な優良本に日の目を当てて来た、個性的な優良書店である。近年、大手全国チェーンの書店に押され、地元の書店は消えつつある中、『さわや書店』が元気に新たな情報を発信しつつ、営業し続けているのは何とも嬉しい限りだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分とは異なる考え方を持っていて新鮮だったし、常識にとらわれないこと、自由に生きることについて新しい視点を持てたと感じた。
清水潔さんと長江さんのオススメの本をぜひ読んでみたいと思った。 -
文章で埋め尽くしたカバーで表紙を隠して何の本かわからない状態で販売していた「文庫X」を仕掛けた書店員さんの本です。
もちろん「文庫X」のことも語られているのですが、中心はこの長江さんという書店員さんの考え方です。私はこの考え方にとても共感しました。今の「社会」の中でどう生きていくか、考えさせられます。他人と同じじゃなくてもいいじゃないか。そういうことです。
「わからない」と言って、自分から離れたもの・ことを遠ざけるのは、かなり残念な状態だと私も思います。自戒も込めつつ。 -
長江さん、すぎょい!
予想してなかった内容だったけど、逆によかった!!
居場所が、ちゃんとあって・・・見つけられて、というか、見出されて、というか、とにかく、よかった!!
親になると、子供のことをいろいろ、はみ出しちゃうと、生き難いかなぁとか思っちゃったりして、つい自分の観念の枠の中で育てようとしてしまったりするけれど、子供って、人間って、あんがい強かったりするんだよなぁ。
その強さを信じて、見守れるような親でいたいとは思うんだけど。
ちゃんとわかってくれる人との出会いが、もれなくあるといいんだけど、そこがなかなか難しいんだよねぇ。。。
長江さんもすぎょいけど、さわや書店さんもめっさすぎょいんだよね、これがwww
世の中を生き難いと思っている人に読んでもらいたいな、みんな自由に生きられたらいいのにな~。。。 -
当時書店員だった私がそんな売り方が?と羨望と悔しさを感じていた文庫Xの舞台裏的な軽い本を想像して手に取ったのですが、世の中の常識や先入観にいつのまにかがんじがらめになりあたりまえと思っている事は果たして本当にあたりまえなのか?そもそもあたりまえとは何なのか?本文中に幾度となく出てくる「常識」「先入観」「自由」という事について常に考え続けさせられる本であった。
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昨年の夏から冬まで日本中の本屋で話題書として積まれた「文庫X」の仕掛け人、さわや書店の長江氏が語る本と本屋と自分について。
なぜ長江氏は「文庫X」を産みだすことになったのか。彼は何を求め、何を求めなかったのか。
世間の「普通」圧迫に押しつぶされずに生きていくためのエッセンス。 -
2016年、<文庫X>という、書名や著者名、ジャンルすら隠し、書店員のその本を推すコメントだけで本を売る、さわや書店の新しい本の売り方は、全国の書店員を巻き込み日本中に広がった。その仕掛人の初著作。
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読むべき本かといわれると人による。だが、出来がいい本かといわれると間違いなくいい本。というか、著者の書店員・長江貴士100%という内容。
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「文庫X」は、知っていたが、買わずに終わってしまった。
このため、文庫Xの中身がなんだったのか?を知らなかった。
そして、さわや書店の存在も、長江貴士さんという書店員さんのことも知らなかった。
偶然、図書館で手にした本をパラパラしてみたら、文庫Xの話で、面白そうだなーと読んでみた。
第1章の主役は、文庫X。
あの頃、本屋でそれを目に留めておきながらも、「中身がわからないのは怖い」と避けてしまった自分に後悔した。
この波に乗りたかったなーと切に思った。
第2章から先は、哲学的な部分が多いかな。という印象をうけた。
第2章「普通」からの逸脱 「逃げる」を肯定する生き方
第3章 世の中を疑ってみる
第4章 「常識」や「先入観」を越えた先の「自由」
自分を含め、人間は「先入観」にとらわれて生きている。
そのために、知らぬ間に自分で色んな壁を作ってしまっている。
その「先入観」を越えた先に、自由があって、生きやすさがある。
そんなニュアンスを読み取り、少し楽な気分になったし、「あー、あの時のこれが、先入観を超えた時だなー」と思えるものを自らの経験の中に見つけて、喜んだ。
とりあえず、次は、文庫Xの中身を読んでみたいと思う。