教育論の新常識-格差・学力・政策・未来 (中公新書ラクレ, 740)

著者 :
制作 : 松岡 亮二 
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 273
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121507402

作品紹介・あらすじ

入試改革はどうなっているのか? 今後の鍵を握るデジタル化の功罪は? いま注目の20のキーワード(GIGAスクール、子どもの貧困、ジェンダー、九月入学等)をわかりやすく解説。編著者の松岡氏は、研究が「教育の実態を俯瞰的に捉えた数少ない正攻法」(出口治明氏)と評される、「2021年日本を動かす21人」(『文藝春秋』)のひとり。ベストセラー『「学力」の経済学』の中室牧子氏、文部科学省の官僚ら総勢22名の英知を集結。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の教育が直面する問題について、「子どもの貧困」「国語教育」「英語入試改革」「共通テスト」「EdTech」「学費」など20の論点から概観することができる本。多くのデータが取り上げられており、説得力がありました。

    教育政策は政権が「レガシー」を残すための「思いつき」。「大学入試英語」やコロナ禍で突如沸き上がった「9月入学」問題を引き合いに出しながら、この本はそう断じます。
    思いつきではなくデータに基づく政策作りの重要性を。データを生かすことの大切さが繰り返し強調されていますが、埼玉県学力・学習状況調査を主導する大根田頼尚さんの「統計上だといろいろな結果が出ますが、当てはめる子どもは一分の一の人生なのだと、自戒しています」という言葉が重い。

  • 意外と読むのに時間がかかった。
    データが豊富で、結論だけを読むのではいけないように感じる。

    『教育格差』の松岡先生をはじめとして、最近挙げられているような教育問題、キーワードについて広く?取り上げられている。

    社会経済的地位/子どもの貧困/デジタル化
    ジェンダー/国籍•日本語教育/国語教育
    英語入試改革/英語教育/共通テスト/大学教育
    EdTech/九月入学論/学費/教員の働き方
    免許更新制度改革/審議会/EBPM
    全国学力テスト/埼玉県学力調査/教育DX

    コロナ禍で、一気にオンライン化に拍車がかかったように見えるし、一年経ったのに何も動いていないと憤りをぶつける人もいる。

    でも、オンラインにするというだけでも、格差の問題や教員の働き方との兼ね合い、そもそも学校使わないのに維持費いる?みたいな学費の問題なんかも微妙に入ってくる。
    もっと言えば、そのことが子どもの心や学力にどんな効果や影響をもたらすのか、慎重な姿勢があってもいいと個人的には思う。

    個別最適化も、聞こえは良いが実態は?
    学校という場が、仕事を抱えきれないことは事実。
    だけど、学校だからこそ、全人教育として担ってきた部分があるわけで……。
    なんか、こう、学校ってどういう場所かが、少しずつ分からなくなっていたりもする。

    子どもが減って、先生になりたい人も減って。
    一番身近なはずの大人の仕事に、そっぽを向かれている現状。それでも、人間がしなくちゃいけない大切な仕事?でもある、と、思うんだけどなー。

    面白かった。

  • 話が多岐にわたっていてどれを取り上げたらいいか。まあでも、やっぱり何をもって幸せと感じるかということ、そこが一番気になるところ。教育格差があるのはよく分かっている。例外はあるが、その例外を取り出して政策に反映するのは得策でないということも分かる。子どもにはどうしたって親の価値観がそのまま伝わるから、大卒ではないけれど、ある程度幸せと感じている親の子どもは、大学に進学することをあまり当然とは考えていないだろう。でも、大卒でなくて不幸だと思っていれば、きっと子どもには大学まで行ってほしいと思うのではないだろうか。だから、非大卒の親の子が大学進学を望まないことを決して不幸せだとは思えない。大学に行きたければ、そしてそれなりに努力をしているのであれば、進学できるような制度は欲しいと思う。貧困のためにあきらめるということのないようにして欲しい。しかし、幸せの形は人によって違うのだから、一概に非大卒を不幸せと決めるのは良くないように思う。どうしても、この教育格差の話を読んでいると、大学進学が当然のような印象を受けるので、そこのところが気になってしまう。中学校で成績が下だった子は、学力レベル的に下の方の高校に進学し、勉強しないまわりの雰囲気になじんで、本当に勉強しなくなる。逆に、成績が良かった子は、上位の高校に進学し、周りはみな勉強するし、しなければついて行けないし、大学進学の目標もあるし、みな中学時代以上に勉強をする。とにかく今の高校生はよく勉強をする。そして、ここで格差はさらに拡大されていく。しかし、勉強するのが嫌な子たちは、もうそれでいいのではないかと思う。将来の職業にでもつながることを学んでいった方が良いのではないか。なんか、一つの物差しだけで計っているから、格差が目立つけれど、いろいろな基準で見ていけば、そんな格差は消え失せてしまうのではないだろうか。要は、何をもって幸せと感じるかなのだから。貧しすぎるのは困るから、まあベーシックインカムでもあればいいように思う。それと、英会話だけれど、聴くことができない、確かにそれが問題なのだ。(追記 念のために言っておくと、僕はいつでも、小6、中3生が卒業するときには、「大学には行きやあ」と必ず言っている。自分は実際に大学でかけがえのない経験を積んだから。自分の経験したことや見聞きしたことからしかアドバイスができないのだけれど、ただ自分の尺度だけですべて決めてしまうのも良くないと思っている。)

  • 【請求記号:372 マ】

  • 372-M
    進路・小論文コーナー

  • 色々な角度から、教育が日本のシステム上どういう仕組みでダメになってきているのかが分析されている本。

    札幌市の図書館。

  • 372.107||Ma

  • 最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00602945

  • SDGs|目標4 質の高い教育をみんなに|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/769218

  • いくつか参考になる観点はあったが、総じて筆者の主義主張がベースにある文書で、恣意性がとても感じられる。教育論全般がそうなのかはわからないが、ゴールを明確に置きにくく、子どもを扱うが故のバイアスがかかりやすい構造ではあるので、データをベースといっても、その評価軸やサンプリングには価値観が混入しやすい、ということがよくわかった。

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著者プロフィール

2021年10月現在
早稲田大学准教授

「2021年 『現場で使える教育社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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