インドの正体-「未来の大国」の虚と実 (中公新書ラクレ 793)
- 中央公論新社 (2023年4月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121507938
作品紹介・あらすじ
「ヨガとカレーとガンディーの国」から「人口世界一」「IT大国」「グローバルサウスを牽引する新興大国」へと変貌し、西側と価値観を共有する「最大の民主主義国」とも礼賛されるインド。実は、事情通ほど「これほど食えない国はない」と不信感が強い。ロシアと西側との間でふらつき、カーストなどの人権侵害があり、表現や報道の自由が弾圧される国を、本当に信用していいのか? 日本であまり報じられない陰の部分にもメスを入れつつ、キレイ事抜きの実像を検証する。この「厄介な国」とどう付き合うべきか、専門家が前提から問い直す労作。
まえがき
序章 「ふらつく」インド――ロシアのウクライナ侵攻をめぐって
第1章 自由民主主義の国なのか?――「価値の共有」を問い直す
第2章 中国は脅威なのか?――「利益の共有」を問い直す
第3章 インドと距離を置く選択肢はあるか?――インドの実力を検証する
第4章 インドをどこまで取り込めるか?――考えられる3つのシナリオ
終章 「厄介な国」とどう付き合うか?
あとがき
主要参考文献
感想・レビュー・書評
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クアッドが叫ばれる昨今で、ある意味画期的な本。著者はまず、インドは価値観を共有する自由民主主義かという点に疑問を呈する。むしろ中露の権威主義に近い面や、人民党政権下で強まるヒンドゥー・ナショナリズムも指摘。そしてインドにとり中国は、脅威であると同時に、経済面や新興国同士としては必要であるとする。
ただその上で、やはりインドの成長可能性を考えると距離を置くことはできない。日米豪との「同盟」の蓋然性は低いが、インドがクアッド特に日本に求める非軍事分野での協力を念頭に、幻想を捨てプラグマティックな関係構築が必要だと結論づける。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
インドは本当に民主主義国家なのか、という問いを説明している本になります。
インドの基本は1つの勢力に100%入れ込まないということで、これはまぁ今の世界の多くの国に共通する考え方ですし、地域大国としてそう簡単には下につかないのも理解できるわけで。正直、全く民主主義的でないというのでなければ、ビジネスライクに敵の敵は味方と思って付き合っていくしかないのでしょうね。 -
全然わかってなかったインドのことがうっすらわかった。
入門書として超オススメ。 -
インドの世界での立ち位置と基本的な考え方が整理されていて良かった
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善悪はさておき、インドに一度はまってしまう(魅力に取り付かれる)と一生抜け出せなくなるのではないか、という感覚をこの本を読んで感じた。
それは自分にとっては中国に対して感じる感覚に何か近いものがあるし、一方アメリカやヨーロッパに対してはこの感覚は感じた事がない。
恐らくアメリカやヨーロッパは此岸と彼岸、という一種ドライな見方をするのに対し、中国(もしかするとインドも)はウェットな見方を拭いきれない所があるからなのだろう。
これからインドに関する文章に触れる時が増えていく気がする。
くまざわ書店阿倍野店にて購入。 -
自由民主主義という同じ価値観を共有しているとされるインドの実態は、必ずしもそのイメージ通りではないものの、今後の自由民主主義国家と権威主義国家との熾烈な競争において勝利を納めるためにはインドを味方につける必要があり、日本は他の西側先進国と異なりインドと歴史的に確執が少なく、同じアジアの国として自由民主主義に誘導する役割を果たすことができるとする。
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インド人とはどうゆう人々?インドはどうゆう国?という質問は、全く意味が無いことを知った。複雑過ぎてわからない国。経済の成長性や人口構成で取り上げられる事も多いが、ビジネスチャンスがあっても上手くいくには並大抵なことではなさそう。
ちょうどダイキンの大規模工場が南部アンドラプラデシュ州スリシティ工業団地で稼働するそう。
ネットで調べても現地に行かないとわからない事ばかりだと思うが調べて見ようかと思う。 -
インド出張を前に読んでみたが、仲良くなれると思わない、ビジネスライクで行こうと思えた。
軍事同盟、経済連携協定をどことも結んで無い、とは利己的というか、どの国ともベタベタには仲良くならないという意思を感じる。民主主義の考え方とかも西側諸国とは違うので、同じ価値観とは思わないのが身のためかと。 -
今の仕事を始めてから、ほぼ毎日マジクソと思う瞬間ばかりだ。
業務はインド案件である。
全然話通じないし、自分の主張を小一時間演説するのに、うんざりする。
まったく引かず、厚かましく、そしてたまに嘘を混ぜてくる。
まともに付き合っていたら脳みそイカれる。
インドでうまくいけば、たいていの海外案件は乗り切れる。
なぜに弊社の海外案件第一号がインドなんだ。。。
と、まじくそインド人の思考を理解するための一助となる入口に良いのが本書である。
南ユーラシアの大国インドに培われた謎の上から目線。
根拠のないのに自信が大きい。
こういう連中が、将来は日本を抜いてGDP世界第三位の大国になっていくのである。
うむ。
なるべく距離を置きたい。
俺じゃない誰かにインドとの付き合いを頑張ってほしいものだ。