- Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122027640
感想・レビュー・書評
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バブリーな時代に一時ブームになった大型犬シベリアンハスキーでしたが、日本の暑い夏には汗疹となり、毎日の運動量も半端なく、野性味溢れ躾けが難しいことも影響してか、数年でブームは去りました。
筆者は旦那さんと娘二人の四人家族。知り合いから、ハスキーの子どもが生まれたのでもらってくれないかと打診があり、仔犬を見に行く。犬を飼ったことがある人ならわかると思うが、最初の出会い(ご対面)はなにか「運命的」なものを感じます。筆者も五匹の仔犬から「この子がいい」と即決。ところが、甘やかし過ぎたのか家族みんなが振り回される羽目に。そんなバカ犬を、いやバカ犬だからこそ、無償の愛をそそぎ続ける筆者の優しさが胸を打つ。
本書は絵描きでもある筆者が、たった5歳で癌で亡くなったハスキー犬、グレイとの日常をイラスト入りで綴ったもの。グレイ目線で語られる文章は、「そうだよね」と共感出来る内容。中でも特に「風」は素晴らしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ハスキー全盛期の時代を感じる一冊。文章に合わせたコミック要素の強い絵が情景を浮かばせてくる。時折挟んである詩的な文章やグレイ目線の日記がアクセント。
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動物のお医者さんを読んで、シベリアンハスキーに憧れていましたが、この本を読んでシベリアンハスキーを日本で飼うってなんて大変なんだ…と夢が打ち砕かれましたね(笑)
早めに諦められてよかったよかった。
今の感覚だと、この本の犬の飼い方は酷いと思われる方も多いかも。でもネットも無く犬は外で飼うのが当たり前だった時代、こんな風に飼われていたハスキーも沢山いたんでしょうね。。 -
絵描きと建築家と子ども2人の家で飼っていた、ハスキー犬の話。絵本のよう。著者が絵描きなので、さすがに挿絵はとてもうまい。
子犬をもらいうけて、その犬との生活ぶりや、犬の視点での観察を中心に話が展開する。
淡々と描かれているが、作者が犬を愛しく思う気持ちがあふれ出ていて切なくなる。ペットに愛を注ぎすぎると別れの時がつらいというのを、体験したからだ。
犬を飼ったことはないが、犬が生活の中にいたら、こういう感じなのかなと思いながら読んだ。犬を飼っている人はもっと共感できると思う。 -
伊勢英子のこの本を久しぶりに読みおえたら、奥付の脇に私は日付とサインを入れていた。これも1999年に買った本のうちのひとつだったかと思いだす。母が死んだ春のあと、死がどうのこうのというような本を一時期ずいぶん買ったのだった。
伊勢英子がグレイという犬のことを描いた本は、『気分はおすわりの日』を読んで、そのあとに文庫になっていたこっちの本を買ったのだった気がする(あるいは逆か)。
伊勢英子を初めて読んだのは『カザルスへの旅』で、その名と絵をくっきりおぼえたのは、のちに『「死の医学」への日記』としてまとめられた柳田邦男による毎日新聞の連載だった。伊勢さんは週一度の連載に挿絵を描いていて、私は当時、毎週それを切り抜いていた。(連載時の伊勢さんの絵は、『画集「死の医学」への日記』として別に本になった。)
今しらべてみると新聞連載は1994年のことで、その年の春には祖母が急死した。それで私はあの連載を切り抜いて読んでいたのかもと思う。
グレイの本に、どこからたどりついたか忘れてしまったが、文庫になったこの本の末尾には、伊勢さんの一家にハスキー犬のグレイがやってきて、そして4年後に悪性の進行ガンがみつかり、グレイが死んだことが書かれている。
「時の観念も死への不安も、ヒトが作り出したものにすぎないから、イヌは臨終かもしれない今日を平気なカオして生きていられるのです」(p.184)と獣医が言ったことばを伊勢さんは書きとめている。
この本のなかで自身を一人称では書かず、「絵描き」と書いた伊勢さんの距離のとりかたが、グレイの死に際してもよかったのかもしれないと思った。かなりのページを占める「絵」のかずかずに、伊勢さんは「絵描き」だなアと思う。
(5/26了) -
三部作。
心癒される。 -
2002年9月26日読了。
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図書館で借りました。
イラスト多し。
作者は絵描き。だから絵も多い。
グレイは犬。シベリアンハスキー。馬鹿犬のたぐい。
訓練師の言うことは聞くけれど、飼い主の言うことはあまりちゃんと聞かない。
読んでいると、この頑固さやわがままさに、自分の犬を重ね見て笑えることがある。
四年で癌のためにグレイは死んでしまうのが、とても寂しい。
犬好きには読みやすい本。200ページ足らず、だし。