- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122028456
感想・レビュー・書評
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マンガ 日本の歴史〈6〉律令国家の建設とあらがう神祇
1997.04発行。字の大きさは…小。
作画/漫画家・石ノ森章太郎。原案執筆/帝京大学教授・義江彰夫。
此度、660年から720年までの時代は、国際的緊張を最大限に利用して、社会と民衆の激しい葛藤を乗り切り、中国型の法令を備えた律令国家が建設されてゆく過程です。
中国では、唐が高句麗を滅し。新羅(しらぎ)が朝鮮半島を統一します。
《白村江の戦い》
日本・百済連合軍が白村江(はくすきのえ)の戦いで唐・新羅連合軍に大敗し、百済が最終的に滅亡します。これにより大和王権は、唐(中国)が次には日本へ攻めて来ると考えて、664年、対馬・壱岐や北九州北部に防人(さきもり)や烽(とびひ、狼煙)を設置します。665~7年にかけて筑紫大野城、大和高安城、讃岐屋島城、対馬金田城を築城します。
《天智天皇の急進改革》
天智天皇は、急進的に伝統的、呪術的風習を止め、中国型の法令を備えた律令国家へと持って行きますが、地方に不満が渦巻いています。
《壬申(じんしん)の大乱》
天智天皇の死後、息子の大友皇子に対して、天智天皇の弟の大海人皇子が地方の不満を集めて兵を上げ、大友皇子を殺し天皇位を奪います。
《律令国家への道》
地方の不満を宥めながら、天武天皇とその皇后(妻)の持統天皇による伝統的、呪術的風習から中国型の法令を備えた律令国家へ持って行きます。推古朝の聖徳太子の改革に始まり大和王権の脱皮は約百年の短時のうちに行われました。
《奈良時代始る》
奈良の地に大規模な帝都(平城京)を造り移ったのは、律令の完成、始動とともに、藤原宮の立地条件がそれを満たす容積を持っていないことが判明したからです。
【読後】
大和王権の歴史は、すなわち天皇家の歴史です。
この時代も、天皇位を継ぐ争いが続いています。その最大のものが壬申の大乱と呼ばれ、天智天皇が生きている時は、野にあって爪を研ぎ。天智天皇の死後、息子の大友皇子に対して、天智天皇の弟の大海人皇子(天武天皇)が地方の不満を集めて兵を上げ、大友皇子を殺し天皇位を奪った事です。その後も、天武天皇の死後、天武天皇の皇后(妻)の持統天皇が、孫に天皇位を譲るため競争相手の皇子を殺していきます。
【日本国号】
日本国号については、唐(中国)の『新唐書』に西暦670年の遣唐使の言として、「華音を習い、倭の名を悪(にく)み、更に日本と号す、使者自ら言う、国日出(ひいず)る所に近し、もって名とす」と伝えている。「倭」が雅ならざるを嫌い、日出る所に近い故をもって「日本」と改名したというのである。
大和王権は、663年、白村江の敗戦という味曾有の国際的緊張の中で東アジアの国際秩序における高い地位を得ようとして懸命の外交を繰り広げていた時代である。
そうしょうとする限り、対外関係の場から新しい国号を用いようとするのは必然であった。『古事記』と並ぶ公式かつ外向けの史書の名が『日本書紀』で有ることもまたこの脈絡から理解される。
2021.03.24読了
※シリーズの感想と読了日
「マンガ 日本の歴史〈5〉隋・唐帝国と大化の改新」 2021.03.13読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4122028442
「マンガ 日本の歴史〈4〉王統譜を編み上げる大和王権」 2021.03.05読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4122028256
「マンガ 日本の歴史〈3〉興亡する倭の五王と大嘗の祭」 2021.02.15追記
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4122028248
「マンガ 日本の歴史〈2〉邪馬台国と卑弥呼のまつりごと」 2021.02.11読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/412202823X
「マンガ 日本の歴史〈1〉秦・漢帝国と稲作を始める倭人」 2021.02.06読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4122028221詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
急進改革がもたらした王権と社会の歪みは王位継承の対立となって噴出、遂に古代最大の内乱<壬申の大乱>が勃発する。大乱の顛末から平城京遷都まで。
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白村江の戦いから日本書紀の完成ぐらいまで。
まだまだ戦乱が続く。マンガとしても戦争のシーンが多いのがイヤになってくるが、武力で政治が動く時代なのであろう。 -
マンションで読む。このシリーズは面白い。
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奈良に行こうと思うので、奈良時代のあたりの歴史の本を読んでいる。持統女帝と天武天皇の仲の良さや会話はあんなもんだったのだろうか?もちろん使っている言葉は当時の言葉なんだろうけれど。だとしたらある意味良い時代だったと思う。その後も、女性の力が認められていれば、男にとっても生きやすかったと思うのだけれど・・・・ただ、親子関係や兄弟関係や夫婦関係が今と違って大変複雑だなあ、一般庶民はどうだったんだろう。
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4122028450 211p 1997・4・18
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・百済救済の為に唐と開戦、大敗を喫す
・天智天王の実弟・大海人皇子(後の天武天皇)と、実の息子・大友皇子が覇権争い、大海人皇子が勝つ。古代最初の大内乱、壬申の乱となる。その後、呪術的なものを切り捨て、律令国家へとすすむ。
・奈良時代が始まり、物々交換から、硬貨の概念が生まれる。
・太安万侶(おおのやすまろ)が古事記を編纂。日本最古の歴史書。
・貧しい民から信頼を得た行基が力をつけ、貴族のものだった仏教が、国民に拡がる。
2010年10月25日 読了59(52) -
大化の改新と壬申の大乱、勝利者天武天皇。