世界の歴史 (15) (中公文庫 S 22-15)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050303

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  • NDC209
    目次
    第1部 暮らしのなかのオスマン帝国(オスマン帝国史をどうみるか;辺境の戦士国家からイスラーム世界帝国へ;イスラーム世界帝国のしくみ;「オスマンの平和」のもとで暮らす人びと ほか)
    第2部 サファヴィー朝の時代(イスファハーンの光輝―十七世紀サファヴィー朝社会の縮図;現世の力を求めて―サファヴィー朝の国家と政治;それぞれの生き方―人物伝から時代を考える;技と匠―絢爛たる文化の伝統と革新)

  • オスマン朝とサファヴィー朝
    イェニチェリとトルコ騎士団

    難易度 やや難
    感動☆☆☆☆☆
    涙線☆☆☆☆☆
    興奮★☆☆☆☆
    感心☆☆☆☆☆
    伏線★☆☆☆☆

  • オスマン朝の記述は政治・経済・社会・文化とバランス良くまとまった概説になっている。サファヴィー朝の記述は毛並みが違うが、ポイントとなる人を中心に取り上げていて面白い。羽田氏の文庫版あとがきに見える共通の歴史を探ろうという試みは良い試みと感じるが、世界の様々な集団には「違い」があるのは厳然たる事実であるだけに、「世界はひとつ」とやってしまうと氏の懸念とは別の意味での対立が生じそうではある。というより20年代現在、すでにそれは生じつつある気がする。大切なのは「違い」を認識し、尊重することではないだろうか。

  • 16,7世紀、多種多様な国家、民族の人々が行き交う国際都市イスタンブルとイスファハーンの繁栄。オスマン帝国とイラン高原サファヴィー朝の王朝がイスラーム世界に大輪の花を咲かせた時代の全貌を描く。

  • ちょうどイラク戦争問題が日々報道されているときですが、オスマン帝国がいかに宗教的に寛容な文化国家であったかを論じており、イスラム、ユダヤ、キリスト教の敵対のように言われるのがいかに間違ったことなのかを改めて歴史から認識します。ボスニア、クルド民族などについても背景を学び、現代社会に影を落としている歴史を感じます。

  • オスマン帝国もサファヴィー朝も、多民族の共存が国家構造の基本であり、そこに近代西欧の「国民国家」「民族(主義)」を持ち込んだことで社会問題となることは避けられなかった(p332、特にサファヴィー朝)ということは、日本人にはなかなか想像し難い(p331「柔らかい専制」)。

    オスマン帝国は、それ以前のセルジューク朝やティムール朝の限界を乗り越える中央集権化を達成した(p67)。その一つの側面は、「デヴシルメ」という人間開発制度で、「イエニチェリ」となるべく幼少から刷り込まれ、国家を支える信頼に足る軍隊を常備したこと。このように国家の中枢たる軍事力の重要性は、サファヴィー朝草創期の「キジルバシ」からもわかる。後者が中国の清朝初期の呉三桂などのように軍事貴族化して足を引っ張ったのに対し、前者は巧妙な制度化で長く続いた。そのように強力な軍事力をもったオスマン帝国の圧力(オーストリアは「トルコ税」を課した(p102))は、西欧の近代化を促進した。

    サファヴィー朝では領内に住んでいるからといって「サファヴィー朝人」であると考える人はごく一部だった(p327)ように、最小限の権力として、また、アッバース1世が経済を重視したように、周囲との関係性によって、影響力として国家機能があったのでは。それは、多様なひとびとが交じり合う地域で生きる智恵が培われてきた成果。それを踏みにじることになるのが、後の歴史、帝国主義であったのではないか。

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著者プロフィール

財団法人東洋文庫研究員。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了、イスタンブル大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻はオスマン帝国史。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授、明治大学文学部教授を経て現職。『前近代トルコの地方名士―カラオスマンオウル家の研究』(刀水書房、2009)、『成熟のイスラーム社会(世界の歴史15)』(共著、中央公論社、1998[文庫版2008])、『中東現代史I トルコ・イラン・アフガニスタン』(共著、山川出版社、1982)など。

「2012年 『トルコを知るための53章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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