世界の歴史 (12) 明清と李朝の時代 (中公文庫)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (547ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050549

感想・レビュー・書評

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    ★★★☆☆ 星3つ

    [感想]
    中国の明清と李氏朝鮮について書かれている。
    明と清に関しては少しだけ知っており、李氏朝鮮に関しては全く知らなかったので新鮮だった。
    まず驚いたのは明も清も李氏朝鮮も江戸時代よりも超える期間も王朝が存続していたという事実だった。江戸時代みたいに平和だったわけでもないのに王朝が続いたのは何故なのか。
    まあ、自分が読んだ結果から考えると王朝を立てるよりも皇帝や王を傀儡にしたほうが楽だったということなのだろうか。
    まず、明は中国の南方地域から起こり、北方地域を征服したことがわかった。ただ、南方と北方の地域差に随分と悩まされたようだ。逆に清は北方民族から起こっていることから南方を征服したようだ。清朝の面白い部分はハーンと皇帝の顔を巧みに使い分けていたということだった。1つにまとめず、2つのままでそれぞれを支配するというのは軋轢を回避するための方策だったんだとうな。
    ただ、中華王朝に関しては明清の両方で科挙制度の凄さを感じたな。ぶっちゃけ王朝を維持するだけだったら、皇帝が必要ないんじゃないかと思えたよ。
    李氏朝鮮は全く分からなかった両班についてを少し理解できたように思う。まあ、李氏朝鮮の場合は中華王朝と隣接しているから大きな影響を受けていることは充分に理解できた。

  • 伝統的な専制王朝が最終段階を迎えた大帝国、明・清。そして、朝鮮独特の両班官僚制が成立した李朝の実相を、日本など東アジア諸国との多様な関わりのなかで描く。「家」を主体にした近世の社会は、西洋との軋轢の中、徐々にきしみ始める。

  • 特に朝鮮半島の歴史が、呼称の煩雑さと相まって、一筋縄にいかない。しかし、朝鮮半島に矮小化せず、明から清代にかけての中国との歴史と併せて、モザイクのように書かれているので、とりあえずは大局を壮観すべきだろう。大きな歴史の流れの根本にある「家」について最後に言及。漢人の側からみて清朝は夷狄だとか、朝鮮半島の歴史は後進国の他愛ない歴史だからざっと書くというような偏重や我田引水は弱く、ニュートラルな立場に立とうとしながらも、著者の顔がみえる良書。中国では胥吏(しょり)が「職務を私物化」する(p92)など、統治の末端に曖昧さが許容されることでうまくいっている(※領土が広大なため)のに対し、朝鮮半島では多くの複雑な闘争を経て、両班形成などにともなって稠密な中央集権体制が形成。また、明朝が倭寇や女真族などによって外苑から瓦解していくというみかたがダイナミック。大陸では、特に定住者たちは常に周辺とのバランス感覚が重要だった。共通する「科挙」は、平等性より、むしろ梯子のような皇帝権力(P370)のための制度か。

  • 明清時代の中国史と、李朝時代の朝鮮史を章ごとに交互に扱った本。単なる通史にとどまらず、社会史・経済史、時には日中・日朝関係まで踏み込んだ叙述がなされている。

    両者のページ配分はほぼ同じなので、朝鮮史の量はかなり多い事になり、中国史だけに期待して買うとやや辛い部分があるかもしれない。よって朝鮮史への関心があるかどうかで、この本の評価は大きく変わってくる。

    しかし、社会風俗や両班が作り出した朝鮮社会は、関心があればそれなりに面白い。文禄・慶長の役の朝鮮側の史料が見れるのもメリット。

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著者プロフィール

日本語版監修:岸本美緒(きしもとみお)
お茶の水女子大学名誉教授。公益財団法人東洋文庫研究員。
1952年東京都生まれ。1975年東京大学文学部卒業。1979年同大学大学院人文科学研究科(東洋史学専門課程)博士課程中退。その後、東京大学やお茶の水女子大学において、研究および教育に従事。専門は中国史(明清社会経済史)。

「2022年 『ビジュアル大図鑑 中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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