ひなた弁当 (2011-09-22T00:00:00.000)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122055353

作品紹介・あらすじ

五十歳を目前に会社からリストラされた芦溝良郎は、妻や娘からも愛想をつかされ居場所を失う。リストラに仕組まれた罠を知っても、自信も誇りもない男に立ち上がる気力はなかった。ある日、隣近所の手前、出勤しているふりをして立ち寄った公園のベンチで、良郎にひとつのアイディアが閃く。良郎が手にした「生き抜くすべ」とは。

感想・レビュー・書評

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  • 山本さんの「ひなたストア」が面白かったので同じ「ひなた」シリーズ…展開は似てるのかな?と思いながら積読していた中の一冊。
    50歳を目前に長年勤めた会社からのリストラ!
    家族にも愛想を尽かされ居場所も仕事も、気力も失い路頭に迷う寸前、たまたま拾ったドングリから新しい人生がスタートする!

    ひなたストア同様、読み始めの数ページ、冴えないおじさんが主人公…て段階でなんとなく展開は読めた!笑
    …が、第二の人生がスタートするまでが長い!
    ちょっと焦らされた^^;
    読んでいて「ひなたストア」のような溢れるほどのエネルギーは感じないものの、地味だけど地に足をつけ一歩一歩確実に前に進んでいる感じに気持ちは高揚する。
    閉鎖的な会社の中で体も頭も小さくしてビクビクして過ごすより外に出て外気を浴びながら体を動かし興味のある事を仕事とし日々細々と食べていく…健康的で清々しく読んでいて幸せな気持ちになる。
    リストラ…言葉の印象は良くないけれど自分の人生と向き合うきっかけとなり、その捉え方によってはお金ではない豊かさに気付かせてくれる部分もあるものだ。
    ものは考えようだ!結局自分次第!
    良郎にとっては生き生きとした人生を手に入れるきっかけとなり、リストラは良い転機だったのだろう。
    勿論、本書の前に読んだ畑野さんの「神さまを待っている」のようにリストラをきっかけに人生を閉じてしまう者、家族が崩壊してしまう者、人生を狂わされどん底に落ちてしまう人も沢山いる。
    良郎の様に良い方向ばかりに進むものではない。
    これはあくまでリストラきっかけに奮起したおじさんのストーリーに過ぎない。
    でもこんなふうに生き方を変える事も出来るんだ、という一つの希望の兆しとして受け止めている。
    現実は本のように自分の人生を引き上げてくれる人や物事に偶然出会えるわけではない。
    でも本を読んで少し気持ちが高揚したり顔がニンマリ出来たり…そんな些細な事が自分の背中を押してくれる事もある!自分の場合、それがたくさんある!だからやっぱり読書は自分の生活の一部なのだ!
    最後は結局ストーリーとは関係ない文字を綴ってる^^;…ので、おしまい。

  • 読了。冴えないおじさんである、良郎がリストラされて、どん底からの起死回生の話。前半部分は読んでいてちょっとしんどかったけど、後半部分はサクサク読めます。ちょっと予想外の話でしたけど面白かったです。

  • 49歳でリストラされたおじさんが、自給自足的な弁当屋で復活するという話。一日40個の弁当販売でやっていけるの?という疑問はありますが、ラストはハッピーです。娘との仲が良くなるのは、父の立場から嬉しいですね。

  • 50歳を目前にリストラされたサラリーマン良郎。
    娘にリストラを隠すために、図書館通い、どんぐり拾いを始める。良郎は再起できるのか。
    個人的にはこんな事あるかな…と少し現実離れしたストーリーに感じた。山本さんの別の作品、
    ひかりおばあちゃんシリーズとも似た内容。

  • 前半は悲惨で現実的で、めげそうになりましたが、似たような目にあっている人は、実際いるのだろうと思い、頑張って読み進みました。
    後半は物事がうまくつながっていき、自給自足の食材で弁当を作って売ることになりますが・・・。
    400円で30個売って、6割の7200円手にして、25日で180000円。食材はただとは言え、それなりに必要経費もあるし、生活していけるのかちょっと心配になりました。「いわくら」の大将、4割で光熱費を出し、店舗も貸すって、この老夫婦も、大丈夫?私はかなり田舎に住んでいますが、都市部の郊外で、こんなに野草や魚がとれるの??
    最後に海の魚や畑など、ちょっと現実的になっていくことが示唆されていますから、だんだん普通のお弁当屋さんになっていくのかも。後半は幸運な出会いがたくさんあります。ほとんどファンタジーな物語を、何とか現実につなぎとめているのは、家族や、リストラされた人たちのエピソードでした。小説を読んで、希望や元気がもらえたらと思います。

  • kamosigiさんきっかけです。ありがとうございます!

    これは読了後に笑顔になり、元気なる1冊。

    途中まで、有川浩「植物図鑑」を彷彿とさせます。
    しかしながらその方向性は全く違った方向へ。
    だからこそおもしろかった。
    植物だけでなく、出てくるお魚、食べたくなってる時点で、
    すっかりはまってました。
    植物図鑑のときもそうだったけど、
    食べてみたくなるお惣菜のあれこれ。
    もうそれだけでこの作品を読む価値があり(笑)

    とはいえ、リストラされてからの描写はとってもリアルで、
    だからこそいろんなエピソードが感動につながります。

    人と人とのつながり。
    人が多く、競争が激しい都会ならではの辛さと、
    一旦そこからはじき出されてしまったことで、
    見えてくる違ったつながり。

    現実社会はこんなにすかっと逆転できることは少ないけど、
    だからこそこの物語に共感できたし、励まされます。

    はじめての山本甲士作品。よかったです。

  • 『食堂かたつむり』とか『植物図鑑』みたいに、食の部分を上手くクローズアップしている話はなかなか好き。

    ストーリー自体はベタな感じもするけれど、素朴に続いていくようなラストも良かった。

    ただ、装丁はリストラを基調とした文庫版よりも、ひなた弁当の持つあったかさを基調としたハードカバー版の方が好みかもしれない。
    (内容とは関係ないけど、笑)

  • 読みやすい。廻りにあるもので食べれるものが、たくさんある。川にも。生き生きと変化してくるのが、目に見えるようにわかる。夢中になれると、行動することが好きになる。人にも優しくしたくなるんだなあ。

  • 心理描写に比べ調理の場面が多く、俳句のような不思議な味わいがある

  • あらすじ
    主人公は49歳男性でサラリーマン。気が弱いため、営業の仕事で満足にいっておらず、上司の顔色を伺いながら働いていた。妻や娘からも愛想をつかされていた。そんな中20年以上働いていた会社からリストラされた。再就職する気力も湧かない。そんな主人公の一つのアイディアからイキイキと働く人生を手にする物語。

    感想
    「失業して、追い詰められて自殺する人がたくさんいる。しかし飢え死にする人は滅多にいない。」これ大事やな。
    あと主人公が閃いたアイディアが普通に面白かった。

    働く上で「お金」より「イキイキ働く」大事さを学んだ。主人公は生きてく上でギリギリの収入だが「好きな事・やりがいを感じながら働いている姿」とそれを見て刺激された「周りの人の変化」を読んでいて気持ち良かった。

    構成
    途中ぐだった。主人公が起こした行動(インターネットでの検索、釣りの仕方・釣りのポイント、料理など)が細かく書いてあって、興味ない私からしたらぐだった。しかしそこが実現性を感じさせる所でもあった。後半すごく読みやすかった。

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