- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122064294
作品紹介・あらすじ
蓋の国を動かすのは、盤戯「天盆」を制した者。人々は立身を目指し研鑽に励むが、長い間、平民から征陣者は出ていない。そんな中、貧しい十三人きょうだいの末子・凡天が激戦を勝ち進み-少年が歴史に挑むとき、国の運命もまた動き始める。圧倒的疾走感で描き出す放熱ファンタジー!
感想・レビュー・書評
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面白かったです。盤戯「天盆」を制した人が国政を取り仕切る蓋という国で、平民の末っ子・凡天が勝ち進んでいく。
国政を取り仕切れると言っても、何年も為政者に平民出の人はいなくて形骸化してるし、蓋は他国の侵略に常にさらされてる。社会の格差も大きい。
名声や権力のために天盆へ挑む人がほとんどの中、ただ「天盆が楽しい」だけの凡天に敵う人はいないと思いました。無欲は強いし、上達するには好きでいることです。
全ての人を破って頂点に立った凡天の姿は蓋の人々の力になっただろうけど、その為に他国から全力で攻撃されて滅ぼされるとはなんとも皮肉。精一杯生ききったんだろうな。
おすすめされた、初読みの作家さんでした。他の作品も読みたいです。
天盆のイメージは、将棋やチェスより、HUNTER×HUNTERでメルエムとコムギがやってた軍儀です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「天盆」という名の(将棋に似た?)盤戯。幼い頃、天盆に魅せられた凡天。彼は 大好き という気持ち一つで強くなっていく。父と母、十二人の兄弟たちのことも大好きな彼は貧しいけれども幸せな家族の中にいる。父母の覚悟、兄弟の思いやりも美しい。
強い凡天を見て思い浮かべるのは中学生でプロ棋士になった彼ですね。やっぱり -
デビュー作と読後に知り、今後チェックすべき作者が一人増えた気がする。
天盆(将棋ような?)が人々の娯楽でもあり、また政を司る人を選ぶ科挙制度を持つ時代、一人の童が歴史に挑む。
凡天の家族はなんて素敵なんだろう。物語の終わり方には寂しさも感じるが、どこか空の下で、家族揃ってまた百楽門食堂を開いていて欲しい。 -
なんだこれ!Σ( ̄□ ̄;)話にグイグイ引き込まれた!(^o^;)天盆(将棋っぽい盤戯)に夢中になり、家族愛に心が震える(;゜∇゜)あぁ誰かにオススメしたいけれど、近くにファンタジー好きがいない(T-T)
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『青の数学』から作者の原点である本作を読了。
人物の心情の機微を描くのが非常に上手いと改めて思う。本作では、主人公の凡天よりも兄の二秀と十偉が印象に残った。二秀は才能があるものの、頂点には届かない、非常に我々に近い人間らしさを持ち合わせて、その中で「勝つとは何か」に苦悩し、自らの向かう道を見つけていく。十偉は兄妹に比べて劣っていることに苛立ち反発を見せるも、家族の意味を知り、衆駒としての役割を自覚する。
「すべての駒に、意味がある」 -
独特の言い回しなんで、好みが分かれる気もする。自分のイメージは石川啄木。あくまで個人の感想です。
この言い回しから繰り出される言葉の数々がなかなかに強力で、いちいちうまい感じで出てくるもんだから、もう、ね。個人的には小勇を子供らが助けに行って暴動が起きる下りが強烈だった。映像無しでここまでやるのは相当やで。
しかし傍から見れば娯楽にうつつを抜かしてる間に国が亡びるんだから、ろくでもない。
でもそれが良い。 -
国中が夢中になっている盤上遊戯の天盆にまつわる物語かと思いきや、これは家族と愛の物語。
天盆は、将棋をベースに囲碁と麻雀の要素も含んだゲームらしい。
唐突な終わりも含めて愛おしい。 -
天盆はその国、背景、舞台となるゲームすべてが架空のものなのに、なぜか光景が浮かんでくる物語です。
白黒はっきりの世界観がここちよく、大好きなものに一生懸命打ち込む気持ち、大きな権力にも負けない気持ち、家族が信じあう気持ちがストレートに描かれているので、スポーツの試合を見終わったあとのようなさわやかな読後感もあり。
真夏の暑さや疲れを忘れて楽しみたい方におすすめです。 (将棋はニガテ) -
架空の中国史風の物語だと『後宮小説』あたりがざっと浮かびますが、それに近しく、かつてきっとこの物語の舞台である蓋という国はあり、天盆というゲームは実在したのだろう、と思える作品でした。
家族の在り方、信じること、なにかを好きでいること、そういった不確かなものにひとつの答えが提示されるようで好きでした。