新装版-汝の名 (中公文庫 あ 61-10)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122069978

作品紹介・あらすじ

三十代の若さで事業に成功し、誰もが憧れる優雅な生活をおくる麻生陶子。だが、その美貌とは裏腹に、「理想の人生」を手に入れるためには、恋も仕事も計算し尽くす人間だ。その陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える妹の久恵がいた。しかし、ある日、この歪んだ姉妹関係が崩れ始め、驚愕の真実が明らかになっていく……。〈解説〉大矢博子

感想・レビュー・書評

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  • 女は怖い(笑)
    悪女の物語。こういうの好きです(笑)

    30代の若さで社長の麻生陶子。一方、製薬会社を辞めて引きこもっている妹の久恵。
    久恵は、奴隷のごとく、陶子に仕えます。

    陶子の事業が面白い!ってこれ詐欺ですよね。
    しかし、成功者の優雅な生活。勝ち組の女として、男も仕事もすべて計算しつくし。
    ある意味すごい女性です(笑)

    一方、久恵は、どんくさく語られています。
    陶子からひどい仕打ちを受けながらも、家政婦の様に陶子を支える久恵。陶子なしでは生きていけない。

    そんな奇妙な関係が、ある日突然変わっていく。
    そこからの狂気はここでは書けません(笑)
    本書をお読みください!

    陶子と久恵の関係。女の執念。
    そして、どんでん返し。スカっとします。
    とても面白い。そして怖い!!

    お勧めです。
    ドラマにもなっているんですね。

  • どちらも私とは性格が異なるので完全に人ごととして楽しく読めました。
    だんだん本性があらわになるところが面白かった。
    ドラマにすると面白いと思いましたが、すでにドラマなっていたのですね。

  • 女は恐い。裏の顔、嫉妬、復讐、などなど…それが普通と思っていても、普通ではない!
    冷静に考察すると、何を信じればいいのか、そんな本です。

  • 本屋でおすすめされてて気になったのがきっかけ。
    更にドラマ化して、早く読まなきゃと焦って買った。

    話のピークは、めっちゃ面白い展開だと思って楽しめた。特に終盤は終わりまでずっと面白い。

    ピークに達するまでが長く、話の展開が掴めなくて疲れてしまう。
    展開は面白かったけど、流石にオチはがっつりイヤミスで、言葉を失った。

  • とても面白かった。
    負け組、勝ち組。弱い、強い。自己責任、存在価値、幸せとは。「比べる」をやめられない。人間の「欲」の話。
    完璧に見える人間もどこか作り物で、どこか疲れていて、どこかで自由になりたいと思っている話。
    完璧って何をもって完璧なのか人間の欲は計り知れない。仕事も地位も名誉も恋愛もなにもかもほしいと望む女の話。

    誰かに憧れたりするのはいいけれど、その人になりきることがしあわせだと思ったら不幸になる。その人の幸せはその人のものであって、決して自分の幸せではないということを肝に命じないといけない。
    誰かに憧れて近づきたいと思ってもその中で、自分の目標を立てなければ路頭に迷う、幸せは遠くにいってしまう。むなしくなるだけ。
    自分が本当に望むものを手にしなければ幸せになれない。

    他者に認められたいばかりだと苦しくなる。
    承認欲求、いいねの数など振り回されるものが多い現代。
    13年前の小説だというが、新しさというか、現在でも十分楽しめる小説だ。
    他者も大事だが、自分がどうなりたいかというプランがないと、振り回されて終わってゆくなと読みながら思った。
    「妹」を、さんざん利用するだけ利用して、暴力でも支配するのだが、あることをきっかけに「なぜあの子は、私の側から、離れないのかしら?何を考えているのかわからない不気味な子」という考えに行きつく傲慢さ、身勝手。邪魔物扱いがすごかった。
    「妹」の暴走も、すごい。
    一気読み。


    年賀状って罪だな。結婚、妊娠、子供の成長などなど。相手がどんな状況か、一切考えもしないで一方的に送ってくるものって。自分の幸せ(幸せを装ったものであったとしても)を全面に、出したものは、控えた方がいい。幸せの手紙は、ある種の不幸の手紙よりも不幸を呼び寄せる道具になるかもしれない。相手の暴走に拍車をかけ凶器、狂気になるかも。SNSは、見なければいいけど。(それだけが楽しみだった時代とは違う。)

  • 私の大好物の女のドロドロ系!と期待して購入。
    割と長編だったけど、先が気になり、あっと今に読了。
    文章も読みやすくって面白かった!!
    だけれども、読了後に悶々とする部分が残ったかも…

    プロローグのセレブ女性、麻生科子等、後々出てくると思ってたキャラが出てこない、残念。
    あと、最後のエピローグの陶子の復讐がイマイチだった気がする。もっとすごいことを陶子ならやってくれそうだったのにな、残念。

  • 久しぶりに所謂イヤミスを読みました。読んだつもりでした。女のドロドロが描かれつつも、何度もどんでん返しがあって、読み終わった今だからこそ1から読み直したい作品です。
    姉と妹のどちらに共感するのか、そしてどちらに嫌悪感を抱くのか、この裏表の感情について誰かと語ってみたいです。笑

  • 憧れる人や理想の人に近づきたい気持ちは
    とても理解できるけど
    まるっきりその人になれることできない

    真似をしようにも限界があるし苦しくもなる

    理想と自分自身とよく話し合って
    上手く生きていくしかないと思う

  • 陶子と久恵は姉妹だと思いながら読んでいたけど、陶子は別人の戸籍で久恵は他人だと知って驚いた
    陶子の視点と久恵の視点と交互にストーリーが進んでいくのは読みやすい
    陶子のやってることはほぼ詐欺だけど、生き方としてはかっこいい。久恵は初めから最後まで地味なキャラで対照的な2人。
    元々生まれ持ったもの、育った環境の違いは自分ではどうすることもできない
    久恵の復讐で陶子は殺されるか廃人になって人生を終えるのかと思いきや、陶子は最後まで負けてなかった。久恵も最後くらい幸せな人生を歩んで欲しかったけど…

  • 読み進めていくと展開が読めなくて一気読み。女性の狂気を感じる、嫌らしさと汚らしさが味わえる!女性同士の嫉妬でこうも人は変わるのかっていう感じでハラハラしました。ただ無理矢理感があったのが残念です。でも楽しめました。

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著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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