生態学的知覚システム―感性をとらえなおす

  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130111300

作品紹介・あらすじ

知覚とは、環境と身体がダイナミックに遭遇し、世界を直接的に把握する能動的で探索的なプロセスである。従来の古典的知覚図式を刷新するギブソン知覚心理学の転換点。

感想・レビュー・書評

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  • 古典だが示唆に富む本。なるほど、この本からアフォーダンス、身体拡張、感覚拡張などの分野が生まれたということが分かる。そういう意味で先駆的。
     「聞こえる」と「聴く」は異なる。生物が行っているのは能動的な「聴く」であるという提言はガツンときた。なるほど、身体を使って知覚するとは運動が必然的に伴うのである。
     頭を動かした時に音の位置が変わるものは身体の外から聞こえていると分かるという内容である。イヤホン・ヘッドフォンに最初違和感を感じるのは顔が動いても音像が変わらないところ。聴覚と身体の動きが連動することで世界が静止していることを知覚するというのが本書の考えである。
     3DオーディオとしてDolby Atmos、sony 360°オーディオなどがあるが、このギブソンの発想が元になっているのは明白である。当然自然に聞こえる。
     聴覚以外の感覚でも上記と同じことを突き止めている。視覚、触覚、嗅覚などについてもそれらの違いを含めて統合的に研究しているところも面白い。

  • 生態学的知覚システム
    J.J.ギブソン

    アフォーダンス前夜。
    しかし。
    まず、ギブソンの本は翻訳が悪い。松岡正剛が佐々木正人のアフォーダンスをとりあげつつも、物質、媒質、面、とかいうセンスゼロの訳を無視して、サブスタンス、ミディアム、サーフェスと言ってるけど、ほんとそれでいい。
    肌理とかいうサイテーな訳語も、テクスチャーってカタカナにしてる。それでいい。せめて、肌理じゃなくて、質感にして欲しい。面じゃなくて表面にして欲しい。

    見えるとはどういうことか、というのは、それなりに考え続けてきてるので、ギブソンの言ってることの誤りをいくつかかなり正確に訂正できる。

    例えば、写真やってる人にはわかりやすいのは、この図。デザイン系でアフォーダンス勉強する人とかは気付かないかもしれんが、この絵は、視点が前に進むにつれて、見える世界の光学的変化を例示してる。世界がこういう風に変化していくことを見ることで、自分が動いている、という感覚がフィードバックされる、と。でもこれ、違う。視点移動したときの変化じゃなくて、ズームレンズの変化だよ。これじゃ視点は動いてない。

    まぁ、これは揚げ足取りだけど、他にも例えば、眉間の前に指をもってくると2本に見える現象をうまく説明しきれない。石膏デッサンとかやったことある人はみんな気付く問題だと思う。視界は、注視点以外はそもそも全部、視差で二重に見えてる。

    とはいえ、そんなことは瑣末な問題で。本質のところ、世界を物理学ではなく生態学的にとらえなおせ、というところは、ユクスキュルの環世界を人間でやるようなとこもあって、素晴らしい。マダニのアフォーダンスは真下からくる熱のみ。

    でも、はっきり言いたい。ギブソンのアフォーダンスは偉大だ。でも、そのままではもう古い。
    分断の現代においては、もう数歩、前進させられる。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784130111300

  • これから、これから。ギブソン三部作GoGo

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