日台関係史 1945-2020 増補版

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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130322300

作品紹介・あらすじ

日本と台湾の戦後から現在までの歴史をグローバルな視点から描き出す通史.東アジアを的確に理解するために必要な戦後の日台関係の歴史について,連続と非連続を総合的に叙述した初版から約12年,その後の東アジア,そして世界のなかでの変容を増補する.

感想・レビュー・書評

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  •  時代の流れと共に、「日台・日華の二重関係」「チャネルの転換と原則外交」「民主化・台湾化・政治化」「安全保障の二重の三角関係(米中台と米日台)」といったキーワードで語られる。「外省人は親中・反日」と見たり、逆に本省人の「親日」に思い入れたりという日本でのステロタイプを修整する記述が点在する。「相手への敬意を欠いた『親しみ』への甘えは、通用しない時代」という清水の言葉は重い。
     概ね80年代までは、本書で必ずしも比較されているわけではないが、同時代の韓国との比較を念頭に置きながら読むと面白い。脱植民地化の過程、日中接近の影響、日本の戦後知識人の間では台湾(=「反動」中華民国・蒋介石)への関心がタブー視されたこと、台湾条項、自民党内の親中・親華派の存在、そして民主化。共通点も相違点もある。
     また、日中・中台関係が日台関係に影響を及ぼすことが分かる。80年代は日中関係が比較的安定し、日本の保守政治家は安心して台湾当局に便宜を図れたこと。馬英九政権期は中台関係が安定し、日台関係は政治的敏感性が低下して改善されたこと。日本側は日中関係の悪化から台湾に接近したこと。しかしその2期目には大陸への接近を強め、日本の重要性が低下したこと。
     楊は90年代後半から2000年代後半の日本について、両岸関係特に安全保障問題での積極的な政策を打ち出し役割を果たすようになった、明確な立場を主導的に示した、と評価しているが、手放しでそう言えるかは若干疑問に思う。松田は、日本は台湾海峡の安全保障に関して間接的な役割しか果たせないとした上で、同時代の日台関係については「全体として必ずしも悪くなかった」程度の評価なのだが。

  • 東2法経図・6F開架:319.1A/Ka97n//K

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科教授

「2023年 『日中関係 2001-2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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