アメリカ政治史講義

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130322331

作品紹介・あらすじ

アメリカは辺境の弱小国家から超大国へと変貌を遂げながら、18世紀末に成立した合衆国憲法が今日でも有効であるなど、政治体制の安定を保ってきたのはなぜなのか。出来事と構造の両面から、建国から現代までのアメリカ政治の歴史的展開を満遍なく解説する。

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  • 序 章 連続性と断絶の中のアメリカ政治
     (1)社会経済的な変化と政治体制の安定のギャップ
     (2)政治体制の安定を支えたもの
     (3)安定した政治体制の実質的な変化
     (4)本書の構成

    第1部 連邦共和国の確立

    第1章 連邦共和国の誕生
     1.植民地時代:アメリカ合衆国の政治社会的背景
     (1)入植と発展
     (2)植民地の社会と統治
     (3)本国との緊張の高まり
     2.体制変動としてのアメリカ革命
     (1)独立へ
     (2)共和制への移行
     (3)独立革命の成功
     3.合衆国憲法体制の成立
     (1)連合体制下の危機
     (2)憲法制定会議
     (3)合衆国憲法の成立

    第2章 大陸規模の民主主義の成立と展開
     1.建国当初の政治的対立
     (1)宮廷政治としての初期連邦政治
     (2)政党制なき党派対立から政権交代へ
     (3)共和派の一党支配へ
     2.全国的な二大政党制の成立とその構造
     (1)大陸規模の発展の足がかり
     (2)民主党の登場
     (3)二大政党制の成立
     3.「政党の時代」の政治社会秩序
     (1)連邦政府の活動様式
     (2)州と地方政府の役割
     (3)市民社会の動き

    第3章 共和国存続の試練
     1.奴隷制をめぐる対立の激化
     (1)奴隷制をめぐる南北対立
     (2)政党制の変容と共和党の登場
     (3)内戦への道
     2.政治社会変動の触媒としての南北戦争
     (1)政府の役割と規模の拡大
     (2)奴隷制廃止への道
     (3)戦後に向けての動きと戦争の終わり
     3.再建とその挫折
     (1)再建政治の構図
     (2)再建の挫折
     (3)南北戦争と再建の意義

    第2部 途上国から超大国へ

    第4章 現代化する社会への対応
     1.もう一つの戦後政治
     (1)平時への移行をめぐる政党政治
     (2)「金メッキ時代」の二大政党間対立
     (3)改革の政治の本格化
     2.社会経済の構造変化とそれへの対応
     (1)1880 年代の諸変革の試み
     (2)全国化する市場への対応
     (3)社会的分断と経済的不安定性
     3.大国への道
     (1)政党制の変容
     (2)連邦政府の制度変容
     (3)対外的関与の拡大

    第5章 革新主義とその遺産
     1.革新主義の登場と展開
     (1)革新主義運動の登場
     (2)都市・州レベルでの革新主義の展開
     (3)選挙制度改革とその意義
     2.連邦レベルの革新主義と第一次世界大戦
     (1)連邦レベルの革新主義の登場
     (2)ウィルソン政権の諸政策
     (3)第一次世界大戦への参戦
     3.「新時代」の光と陰
     (1)戦後の繁栄とその陰の不寛容
     (2)国家と社会の新たな関係
     (3)大恐慌の始まり

    第6章 ニューディールと第二次世界大戦
     1.ニューディールの実験
     (1)F.D.ローズヴェルト政権の発足
     (2)危機への対応
     (3)ケインズなき経済復興策
     2.ニューディールの変容
     (1)改革の本格的始動
     (2)ニューディール連合の形成
     (3)ローズヴェルト政権第二期とニューディールの後退
     3.戦争と改革の間で
     (1)優先順位の転換
     (2)戦時下の社会集団と1944年選挙
     (3)危機と改革に際してのローズヴェルトの政治指導

    第3部 現代政治の展開

    第7章 リベラル派の夢と挫折
     1.反共主義の浸透と国家安全保障国家の成立
     (1)トルーマン政権初期の政策:ニューディールの継続の是非
     (2)トルーマン政権の継続と冷戦の激化
     (3)国内冷戦とマッカーシイズム
     2.ニューディール・コンセンサスの持続と変容
     (1)アイゼンハワー政権の国内政策
     (2)人種問題の進展と南部白人の反発
     (3)ケネディの登場と冷戦下のリベラリズム
     3.市民的権利法、偉大な社会、そしてベトナム:民主党多数体制の崩壊
     (1)ジョンソン政権の船出と市民的権利法の成立
     (2)「偉大な社会」計画と社会改革
     (3)運動の政治と政治文化の変容

    第8章 保守の台頭と政治的再編成
     1.戦後政治の行き詰まり
     (1)1968年選挙でのニクソンの辛勝
     (2)ベトナム戦争の展開と民主党の転換
     (3)カーター政権の誕生と挫折
     2.二大政党制の再編と戦後政治の転換
     (1)南部政治の変容
     (2)共和党の変化
     (3)レーガン革命とその遺産
     3.冷戦の終結と中道の模索
     (1)レーガン連合の光と陰
     (2)中道保守の模索と挫折
     (3)民主党における中道路線の興隆

    第9章 グローバル化とイデオロギー的分極化
     1.民主党中道路線の挑戦
     (1)クリントン政権初期の政策展開
     (2)1994年中間選挙の衝撃
     (3)クリントンの再選と弾劾
     2.テロとの戦いと国内政治
     (1)「50対50国家」の政治過程
     (2)9.11の衝撃と国内政治
     (3)ブッシュ政権の失速とイラクの戦後
     3.金融危機と黒人大統領の登場
     (1)2008年選挙とリーマン・ショック
     (2)オバマ政権の金融危機対応とティーパーティの台頭
     (3)分断の深化と硬直化

    終 章 グローバル化の反動とポピュリズムの台頭
     (1)トランプの台頭と大統領当選
     (2)トランプ政権と分極化
     (3)2020年選挙と政権移行
     エピローグ

    付 録
     1.年表 
     2.連邦議会の議席分布および大統領(1789-2021年)

    あとがき

  •  良質の教科書という感じ。WWII辺りからを主に読んだ。
     真珠湾攻撃により国際主義者と孤立主義者の対立が突然消滅、戦争の遂行が最優先課題となり、国民がこの戦争を自由と民主主義のための戦いと形容した、との指摘は、9.11との一定の類似性を感じる。当時の日本はこれを予想できていたか。また経済面でも、軍需を含め工業生産が上がると共に、黒人をはじめ低所得者を含む復員軍人への各種手当支給。
     60年代以降の南部の共和党化と全国的なイデオロギー的分極化は本書でも指摘されている。それでも、ブッシュ父政権では環境や教育への配慮、クリントン政権では福祉改革といった一定の中道色模索は存在。
     トランプは、自由貿易主義といった共和党の正統的な協議は反対の一方、減税や規制緩和などの立場は共和党主流派のものを受け入れ。
     終章では、民主政の安定性・継続性は建国当初からの特徴としつつも、政府の規模など純化された二大政党の対立軸、民主主義の危機と再燃の危険性といった構造的変化も指摘。

  • 東2法経図・6F開架:312.53A/Ku11a//K

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著者プロフィール

防衛大学校長、東京大学名誉教授

「2022年 『アメリカ政治史講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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