- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130333078
作品紹介・あらすじ
ロシアによるウクライナへの侵攻から、2023年2月24日で1年が経過した。この間、この戦争にもっとも影響を受けたヨーロッパはどのように戦争に対処してきたのか。各国・各地域の研究を牽引する気鋭の研究者が、この1年を振り返り現況を再確認するとともに今後のゆくえについても言及する。そして、日本の取るべき対応とは――。
感想・レビュー・書評
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この戦争が欧州に与えた変化を論じる小論集。序で細谷は、冷戦終結時のユーフォリアという「光」の一方で既に現在に繋がる「影」が内包されていたと指摘。
東野はEU拡大の再活性化を、鶴岡はNATOの「前方展開」への転換と対中抑止をそれぞれ指摘。難民受け入れは人道や倫理以前に本来は外交問題、という岡部の指摘は、冷徹なようだが現実的だ。
欧州各国個別については、小川は、英は宇支援によりBrexit後でも国際的な影響力や存在感を示せた一方、やはり中長期的にはBrexitの負の影響がある可能性を指摘。宮下は、仏は露との交渉を理想としつつもやはり対露脅威認識は高まったと指摘。板橋は、若干の留保をつけつつもこの戦争がもたらした独外交の「転換」を指摘。廣瀬は、戦争の長期化に伴う露国内での世論の変化の可能性を指摘するが、これは今後注目したい点だ。合六は、宇国民がアイデンティティを強固にし、また露に対し非妥協的になっていると指摘。広瀬は、NATO東翼の結束はあるも、ポーランド及びバルト三国とそれ以外では温度差がある点を指摘。 -
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板橋、合六、広瀬3氏の章を特に興味深く読みました。
とりわけ、合六氏のウクライナ国内の世論調査を元にした分析は、ロシアのナラティブに引きずられないためにも、今後しっかり覚えておきたいと思います。 -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/570801 -
序 ウクライナ戦争はヨーロッパをどう変えたのか(細谷雄一)
I ウクライナ戦争が変えたヨーロッパ
1 ロシアによるウクライナ侵略がEU拡大に及ぼした変化(東野篤子)
2 NATOはどう変わったのか――新たな対露・対中戦略(鶴岡路人)
3 ウクライナ「難民」危機とEU
――難民保護のための国際協力は変わるのか?(岡部みどり)
II ヨーロッパ各国にとってのウクライナ戦争
4 ウクライナ戦争とイギリス
――「三つの衝撃」の間の相互作用と国内政治との連関(小川浩之)
5 ロシア・ウクライナ戦争とフランス(宮下雄一郎)
6 ドイツにとってのロシア・ウクライナ戦争
――時代の転換(Zeitenwende)をめぐって(板橋拓己)
7 ウクライナ戦争とロシア人(廣瀬陽子)
8 ロシア・ウクライナ戦争とウクライナの人々
――世論調査から見る抵抗の意思(合六 強)
9 NATOの東翼の結束と分裂(広瀬佳一) -
東2法経図・6F開架:319.3A/H95u//K