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- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130342933
作品紹介・あらすじ
経済が失速してもなお,中国共産党の支配は持続可能なのか.少子高齢化,都市化,情報化,権利意識の高まりといった新たな状況に対し,習近平政権の改革は功を奏するのか.ガバナンスをキーワードに,アクターと制度・政策の連関のなかで中国政治を読み解く.【シリーズ全5巻/第3回配本】
感想・レビュー・書評
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本書でいう「ガバナンス」とは何か。日本語に直訳すれば「統治」だが、本書では単なる為政者の政策のみならず「中国政治領域におけるあらゆる事務管理の方法の総和」と定義づけている。ガバナンスの主体が党・国家、客体が大衆としていることは通念どおりだが、本書では後者をも前者と並列の「アクター」と位置付けている。二人の筆者が、前述のような分析枠組みと、ミクロなものも含む習近平時代の政治の現実を分担して書いているため、総括はしにくい。
前者では、大衆アクターの存在感増大と党・国家アクターの一定の内部分裂を述べている。
後者では、習近平の内政改革の方向性を鄧小平路線とし(対外政策では鄧小平の「韜光養晦」の協調主義的外交政策は既に大きく変化したが、内政では現在も鄧小平の発展戦略とのこと)、習近平の強いリーダーシップを鄧小平のそれに比してもいる。しかし習近平のカリスマのレベルは鄧小平のそれには達しておらず、ましてや晩年の毛沢東には及ばない、とのことである。前者の指摘を加味すれば、今の中国で毛沢東レベルのカリスマの確立は考えにくいのではなかろうか。重慶時代の薄熙来のような一都市レベルならともかく、全国レベルでは。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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