感受性を育む: 現象学的教育学への誘い

著者 :
  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130513142

作品紹介・あらすじ

自分の意識や身体,他者,そして世界の在りかたに気づき,感じる心をもつこととは.現象学によるアプローチから教育にかかわってきた著者が,フッサール,ハイデッガー,サルトル,メルロ - ポンティなどのテキストからやさしく説きおこす.

感想・レビュー・書評

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  • 実生活で私たちは何をどう感じどう思っているのか。「感受性」という親しみやすい切り口から現象学を紹介する。
    現象学と言えば、その高度に思弁的な、抽象度の高い議論のため難解な哲学だが、感受性という観点で貫かれ、筆者によって再構成された、本書の現象学記述は、内容こそ本格派であるにも関わらず読みやすい。
    難しい話をこうやって語れるようになりたいと思わせる、現象学導入の書としては比類ないまでである良書だ。

  • ●以下引用

    人間の精神を探求する場合にも、つめたい認識の眼とにがって、個々のひとの個性を、そのかけがえのなさにおいて、あるがままに眺める(神谷)

    患者の在り方を全体として捉えようとする者は、患者と対面している時に自分の内面で生じていることに敏感にならなければならない

    神谷)こまやかな感受性をもったひとは、しずかなくらしのささやかな事柄のなかに生存充実感を求め、感度の高い受信機のように、ふつうのひとには見のがしてしまうようなところからこれをつかまえてくる

    神谷)苦悩がひとの心の上に及ぼす作用として一般にみとめられるのは、それが反省的思考をうながすということ

    感情は、そのつどの私の在り方そのものとして、私自身に感じられており、他の誰とも取り替えがたい私を私自身に知らせてくれる

    より深い層に位置する感情は、日常的にも、私の意志に逆らって、私自身を苦しめたり、絶望に陥れたり、あるいは、私の意志によっては生み出されることのない、晴れやかな心の平安を私にもたらしてくれるのでしょう

    治療に対する患者の側からのこうした抵抗は、自分自身に対しても認めたくない自分の或る在り方を、他人にだけではなく、自分にも隠しておくために、患者は、隠しておきたい当の在り方を、意識の半透明性によって了解している

    日常生活を大きな齟齬なく営めるのは、サルトルがいうところの、自己欺瞞によってであり、また、自己欺瞞的な在り方をしているからこそ、大きな齟齬なく日常生活を営める

    他人に自分のすべてを曝すことは、その人にすべて見透かされていると感じること

    根源語を語ることによって、汝やソレが、私にとって初めて存在する

    汝を語る者は、汝との関係に立っている

    汝において我となる

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著者プロフィール

岡崎女子短期大学・特任教授、東京大学名誉教授

「2019年 『保育のまなざし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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