- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130530781
作品紹介・あらすじ
新しい学びのスタイルとは?大学、ミュージアム、企業などで教育が変わりはじめている。キーワードは、空間、活動、共同体。その要諦とは何か?学校、NPO、企業など人材育成への重要な示唆に富む書。
感想・レビュー・書評
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タイトルに惹かれて図書館から借りてみたものの、自分の想像していた感じの役立ち方はなかった。
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読みやすく学習環境や学習コミュニティについて学ぶ上の入門書である。参考文献がとてもありがたい。
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いろいろな学び方があります。一人で黙って集中して考えることも必要でしょう。一斉の講義を受けることで知識を蓄えていくことも必要でしょう。しかし、本書では今までと少し違った学びのスタイルを紹介しています。「総合的な学習の時間」の取り組みもその一つです。オープンスペースで一方通行ではなく対話の中から得られる創造的な学びがあります。その授業と関係ない人間が通り過ぎるときにふと興味を持つこともあるでしょう。閉じた教室ではないので、教員同士も刺激が多いようです。創造的な仕事をして行くにはこういった環境が適しているかも知れません。しかしそこに到達するまでの基礎的な計算力や語学力はやはり一斉授業での訓練で得られるような気もします。いろいろな教育のスタイルを臨機応変に使いこなす必要があるのでしょう。ところで本書で紹介されている「はこだて未来大学」ではコンピュータや複雑系(カオス・フラクタルなど)の研究を行っています。非常にユニークな大学ですし、教授陣もけっこうおもしろそうです。本書のあとがきでその未来大学の立ち上げに参加したヒレル・ワイントラウブさんが紹介されています。実はこの方は私の高校時代の英語の先生でした。同姓同名かなと思いながらホームページで顔写真を確認したところ、間違いなくご本人でした。残念ながら最近(2005年5月)退官されたそうですが、いい仕事をされていたんだなあと、他人事ながらちょっとうれしく思います。どこかでお会いしたら、どんなようすだったかお伺いしたいものです。
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知識伝達(獲得)モデルに応じた学習環境デザインから知識構成モデルに応じた学習環境デザインへ。ここで必要なのは自らの活動,他者との交流,適切な課題である。さらにそれらを自由に行える空間と新しい学習観に基づく価値観の共有が必須かな。
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未来の学びのキーワード:空間・活動・共同体
美大の学習と通常の学習の違い
・アトリエ的学習空間の利用
・リフレクションの実施
・ポートフォリオの制作
グループ学習教室の本質:机や椅子が動いて、人数や活動に応じて変形できること
学習メタファーの比較
参加メタファー/獲得メタファー
学習の目標:共同体の構築/個人の知識の豊かさ
学習:共同体の参加者になること/あることを獲得すること
生徒:共同体の周辺的参加者/知識を与えられる受領者
教師:熟達した参加者(先輩)/知識の提供者
知識、概念:共同体における実践、語り、活動/所有物
知ること:共同体に属し、参加しコミュニケートすること/所有しようとすること
認知的徒弟制度の4段階
①モデリング(模範の提示と目的の認識)
②コーチング(親方による個別指導)
③スキャフォルディング(ひとりだちのための足場作り)
④フォーディング(援助の減少とひとりだち)
実践共同体(共同事業を行うために集まった人々の集まり)
①相互の従事
②共同の事業
③共有された集積物
共同体参入への三形態
①周辺:例)プロの科学者のセミナーに参加した学生の集まり
②重なり:例)遠隔地の小学校同士の共同研究
③境界実践:例)地方局と学校でが共同で番組を制作
■学習環境をデザインする際の留意点
【活動】
・活動の目標が冥界であること
・活動そのものにおもしろさがあること
・葛藤の要素がふくまれていること
【空間】
・参加者全員にとって居心地の良い空間であること
・必要な情報や物が適切な時に手に入ること
・仲間とのコミュニケーションが容易に行えること
【共同体】
・目標を共有すること
・全員に参加の方法を保証すること
・共同体のライブラリーを作ること -
活動→空間→共同体。確実なのは、やっぱ箱だけ作ってもダメってこと。あと作りっぱなしもダメ。絶えず振り返り、デザインし直す…。それがモノじゃなくて人間同士の関係やコミュニティをデザインすることなのだなあ。山崎亮さんとかの話にも通じるね。しかし、参加型の学びが注目されてきたとあるが、これは伝統的な師弟関係や地域共同体、家庭などに昔からあったもので、そういう制度が機能しなくなってきた結果、学校がその機能を肩代わりせざるを得なくなったとも見ることができるのではないか。知識獲得型の学びが不要になるわけでは決してなく、むしろ従来つめこんできた知識も持っていないと、この新しい試みはうまくいかないんじゃないか…とか。どのレベルで実現させたいか、にも依るが。
今まで「私」の範囲にあったものがどんどん「公」にアウトソースされていくような感覚。それが良いか悪いかは置くとして、人の意識が変わっていくのは確かだと思える。飛躍しすぎ? -
女子大生の電子工作の事例は面白い。実践例をいくつかひもときながら、「学び」のデザインについて、解説。自分も「学び」のデザインをやってみよう。
・心理学の研究では、記憶と内容と覚えたときの状況とは深く結びついている。
・アトリエ的学習空間の利用、リフレクションの実施、ポートフォリオの制作
・ヴィゴツキー「人は社会・文化の中で媒介物(媒介者)を通して知識を構成する。そこで重要なのは、仲間、教師、道具、社会的人工物(制度など)である」=社会的構成主義
・エッカート。きまじめタイプと非まじめタイプ。
・つくる。語る。振り返る。
・人間の学習を「知識の獲得」という個人的な営みではなく、対話やコミュニケーションから生まれるものであり、その時の状況や文脈とは切り離せないものであることが明らかになってきている。(レイヴ・ウェンガー 1991)
・「どうして今、これを勉強しなければいけないの?」という問い。
・活動は、学ぶ内容と学ぶ意味を対にして提供している。活動は、知識や思考という栄養素が含まれていると同時に、それを学習者が取り入れることができるための「文脈」という水分もある豊かな土壌でもある。
・想像の共同体=関心共同体
・実践共同体(1.相互の従事 2.共同の事業 3.共有された集積物)
・アイデンティティを形成していくときに重要になるのが、その共同体特有の言葉遣いや価値観を共有すること。
・教えようとすると自らを振り返らざるをえなくなります。
・デザイン:A1活動の目標が明快 A2活動そのもが面白い A3葛藤の要素 S1居心地の良さ S2情報入手性 S3仲間との対話が容易 C1目標の共有 C2全員参加の保証 C3共同体のライブラリーづくり -
購入日:20110611
著者(山内祐平氏)より,1000円で購入させていただいた。
学生にとってはありがたい。
感想はあとで。