- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130621342
作品紹介・あらすじ
初版刊行以来,入門書として高い評価を得てきた古典的名著の改訂版.改訂にあたっては,用語をはじめ内容面でも全体にわたって見直しをはかり,新たに2章を書き加わえた.初版での説明不足のところは詳しい説明を加わえるなど,分かりやすいテキストをめざした.
感想・レビュー・書評
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“ここ10年来、統計力学の分野で新しい方法や理論ーたとえばFeynman図形、Green関数法、線形応答の理論等ーが発展し、幾多の具体的な問題に応用されている。本書は統計力学の初等的な段階から出発し、これら近代的な理論への入門書たらんことを目標とした。(まえがきより)”
主に物性理論への応用を扱った、量子統計力学の教科書。1〜6章で基本的な内容を復習し、7章以降はグランドポテンシャル及びグリーン関数に対する摂動論の解説と電子系への具体的な応用となっている。場の理論の統計力学への応用を扱った他の本(AGDとか)よりは確かに易しい気がしたが、それでも結構難しい。
本書の中心は7章以降だが、前半の章にも新たな発見が幾つかあった。特に、カノニカル分布を導くのに、他の本では状態数(指数の肩)をテイラー展開して近似するのをよく見るが、本書のようにラグランジュの未定乗数法を用いて導くのが僕にはしっくりきた。どのアンサンブルも、結局その根底に共通してあるのはエントロピー最大の原理であることがよく分かる。(他の本では、見たところ『統計力学(裳華房テキストシリーズ)』(岡部豊)だけがこの導出だった。)
1 熱平衡にある体系の古典統計力学
2 古典統計力学の応用
3 熱平衡にある体系の量子統計力学
4 理想フェルミ気体と理想ボース気体
5 キュミュラント展開
6 古典気体のクラスター展開
7 第2量子化
8 量子統計力学における摂動論[Ⅰ]
9 量子統計力学における摂動論[Ⅱ]
10グリーン関数
11 グリーン関数に対する摂動論
12 電子-フォノン系への応用
13 線型応答の理論
14 不純物散乱による電気抵抗
問題略解
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スピード感を持ちながらも、要所や勘所は押さえている。
キュムラント展開、クラスター展開はこの本で初めて分かった。
ファインマンダイアグラムもそもそも論から書かれている。しかし、図形的なものは、実はかえって腑に落ちない感じがまだある。
最後の章は、この本の集大成的なところがあり、完全には理解できていない。 -
和書では珍しく、キュムラントやクラスタ展開について詳しく書いてあります。前半の一般的な事柄から、キュムラント、クラスタ展開、そして第二量子化、Green関数と一気にレベルが上がります。
初学者には相当きついと思いますが、逆に一般的な入門書を読み終えたあと、フェルミ、ファインマンへの繋ぎになつかと思います。 -
統計力学の二冊目以降の教科書といった感じです。私はこれを一冊目として読み始めて自滅しました。一般的な統計力学の入門書に書かれているような内容は前半部分であっさりとまとめられています。他の本で勉強した今は、この"あっさり"が実に良くまとめられているなぁと感心したり。後半の摂動論やグリーン関数はまだ手付かず。難しい。