正解は一つじゃない 子育てする動物たち

制作 : 齋藤 慈子  平石 界  久世 濃子 
  • 東京大学出版会
4.25
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本棚登録 : 135
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130633734

作品紹介・あらすじ

ヒトの近縁な霊長類から系統としては遠いが身近なイヌ,ネコ,アリまで,その生活史や子育てのしかたを紹介.ヒトを含めた動物の子育てとはどのようなものなのか,心理学,行動学,進化学に基づき,信頼できる最新の科学的情報を伝え,子育てを相対化する視点を提供する.

感想・レビュー・書評

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  • 子どもができると、オスもホルモンに
    変化が出るマーモセット、
    里親になるイルカなど、興味深いストーリーが
    多い。。

    自然科学の本としては異例の
    研究者達の子育て体験との対比が
    面白かった。

  • 長谷川眞理子さんの名前があったので手に取った。結局はほぼすべて若手研究者の執筆であった。そして、それぞれがそれぞれの子育て中ということで、そんなエピソードが盛り込まれている。それがまた楽しい。たくさんの種類の動物の子育てが登場する。特に記憶に残るのはクマやペンギン。自分がエサをとることもなく生まれたばかりの赤ちゃんに母乳やペンギンミルク(口から、しかもオスが)を与える。まあ、みな大変な思いをして子育てをしているのです。でも、一方で、産みっぱなしという魚の仲間もいるし(魚でも口の中で育てるケースがある)、だれが自分の子かもわからないから全く子育てに関わらないオスたちもいる。これが多様性なわけですね。子育てに正解はないのでしょう。「子育ては失敗するもの」と言ったのは森毅でした。ところで、本書を読み終わるころ、NHKヘウレーカでおっぱいの研究を紹介していた。その中で特筆すべきは、カンガール―の赤ちゃんの姿。超未熟児で生まれたあと母親のお腹を前足だけでよじ登って袋の中に入る。そして、自分専用の乳首に吸い付く。そこから出る母乳の成分は、発達段階によって変わるのだとか。すごいシステムだ。というか調べた人もまたすごい。もう子育てする機会はないが、今度は孫とふれあう機会が楽しみだ。

  • 多種多様な動物達の子育ての仕方が紹介されている。
    繁殖の仕方や、オスメスの関係性、子との関係性などとにかく多様な子育てを知る事ができて、ヒト社会の中で作られた子育てに対する固定概念や神話への新たな視点をくれる。

    子育てという側面に限らず、丁度良い具合にいろんな動物の生態を第一線の研究者から知れる事が面白かった。

    タンザニアの森で観察されたチンパンジーの子育てに泣きそうになった

  • あまりに面白くて家族に勧めている。それぞれの研究者の子育てコラムが章末にあるんですが、これがまたいいんですよ…

  • 研究者の方の書いた本とあったので、難しい内容かと思ったが、とても興味深く文章にもユーモアがあり楽しく読めた。子育て経験がない人もおもしろく読める。

  • 殺伐とした本を続けて読んだ後なので少しは癒された。研究者自身の子育てエッセイがあるのも面白い。
    ジュウイチの雛のイラストは最初「なんだこの妖怪二口女みたいなのは?」と理解不能だったが本文を読んで納得。

  • 動物の子育てについて研究している研究者がそれぞれの専門について簡単に解説していく。
    オオカミ・イヌ、霊長類・人間といった、進化の道筋が考えられるような話が面白かった。
    人間も進化の途上だな〜。

  • 動物学者たちによる、それぞれの動物の子育てを紹介する本。
    もっとも小さいものはアリから、大きなものはゴリラまで19もの種類の生き物たちが出てくる。

    よい子育てについて人の親は悩むが
    「よい」とは何かを相対化するための試みでもある。

    当然、動物種によって子育ての仕方が違うのはそうなのだが
    同じ種の中でも幅があることがあるのも興味深い。
    子育ての方針というのは、それぞれの環境や状況の中でその都度選び直されるものだということが分かる。

    各動物たちについての論説を専門の研究者が
    ひとつずつ執筆するその終わりに自分の子育てについても語ってもらうコラムがあり
    これもなかなか面白い。

    動物の中ではどうやっても過保護に見える「ヒト」の子育てではあるが
    これはこれで、少産少子の種族の選択としては正しいものである。
    結局、よそはよそということになってしまうのではあるが、
    長期の子育てである以上、途中での方針変更だって十分に考えられるのがヒトの子育てでもあるだろう。


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    病気で余命三ヶ月の人が三ヶ月後に亡くなるのは「善い」ことでしょうか。自然であることとイコール道徳的に正しいとしてしまうのは、いささか安直であることがわかります。
     さまざまな子育ての例を知って、「こんなやり方があるのか!」「こんな手抜きもあるのか!」と驚いてほしい。そう私たちは考えています。しかしその時に、「この動物は道徳的に劣っている」とか、逆に「人間より道徳的だ」といった価値判断に飛びついてしまわないようにも、お願いしたいのです。(p.9)
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    科学者としてしごく真っ当な表明ではあるが、子育て本となるとこういった点はより慎重さが求められるゆえの序論ですね。

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    宿主がちょうど卵を産んでいる時期に巣の周りでカッコウの姿を見ると、巣の中の卵にも注意するようになり、少しでもあやしい卵は巣から捨てるようになります。宿主にとっては巣の周りでカッコウの姿を見たということは、托卵されている可能性が高いことを意味するからです。ジュウイチやカッコウが托卵する際、宿主の巣に滞在するのは一〇秒程度ですが、これは文字通り、宿主にばれないようにこっそり卵を産み込むためです。(p.264-265)
    <<

    仁義なき托卵バトルなどもあり。

  • 請求記号 481.78/Sa 25

  • 執筆者が全員子育て中の研究者であるという点がユニーク。それぞれの子育てコラムが、執筆者を身近に感じられるようでおもしろい。

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