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- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140015544
作品紹介・あらすじ
世に釈尊の伝記は多い。いずれもが伝説や謎に覆われた釈尊の客観的な実像を描き出そうとするものである。本書は、そういった類書と趣きを異にする。真摯な仏教学者として既に名声の高い著者が、度重なるインド体験や禅者としての修業を通して、仏祖釈尊と人間性の根源に於て向き合ってみようとする。かくして、著者は釈尊その人が体験した人としての悩み、苦しみ、愛を追体験する。
感想・レビュー・書評
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釈尊との距離感が非常に近く感じている著者ならではでしょうか、実在した悩んで解決を得た求道者だったという人間像が共感を覚えます。(P40に紹介されている「増支部経典3・38」「人間はまことに無知なもので、自分の身が老いゆき、逃れようもないものなのに、他人の老衰を見ると、恥じ、嫌らしいと思う。しかし、私もまた老いゆき、老いから逃れようもないのだ。それなのに、ほかならぬ私が他人の老衰を見て面倒に思い、恥じ、嫌だと思っている。これは私に相応しいことではない。このようにみてとった時、青年期の若さの意気は消え失せてしまったのだ」これは全く今の気持ちに当てはまっています。釈迦の悪魔との対決の場面も聖書に似ていますが、悪魔がどこかユーモラスに感じるのは悪の象徴・権化ではなく、自分自身の煩悩だという著者の説明には全くその通りだと感じました。釈尊がヒンズーだった!という意外に見える言葉も、イエスがユダヤ教徒だったということと同意味になりますね。
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