日本文化の基層を探る (NHKブックス 667)

著者 :
  • NHK出版
4.14
  • (3)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140016671

作品紹介・あらすじ

いったい日本列島において、日本文化はどのように形成・展開したのか。東と西に分かれる文化の諸要素は、縄文=狩猟・採集文化の系譜なのか弥生=稲作文化の伝統なのか。その出自と系統をめぐる論議は活発である。本書は、原初農耕文化論の権威が、該博な知識を駆使し、いわゆる照葉樹林文化とは異質なナラ・ブナ帯に展開する北方系文化の流れを「ナラ林文化」という枠組みで提起し、日本文化の二つ源流を明示する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ☆日本文化の基層を2つに分ける

  • 著者の佐々木高明(元国立民族学博物館長)さん、学生の頃に「焼畑」について知らべていた頃、これだ!と思い勇んで読んだ思い出深い人。照葉樹林帯、ブナ帯、そしてナラ帯、植生と文化派生との関係性を探る一冊です!(ちいさな帆)

  • 日本文化の基層を探る ナラ林文化と照葉樹林文化
    佐々木高明
    NHKBOOKS
    1993年10月30日 第1刷発行
    ISBN4-14-001667-1 C1320 @OIC

    はじめに―――日本の基層文化の形成過程の探求―――
    第Ⅰ部 日本基層文化の形成
    1 照葉樹林文化とその伝来――南からの文化の道――
      アジア大陸の照葉樹林との出会い
      照葉樹林文化の発見――共通する物資文化の諸要素
      神話や昔話、儀礼や習俗の類似
      照葉樹林文化のセンター―――《東亜半月弧》
      照葉樹林文化の構造
      照葉樹林文化の発展段階
      プレ農耕段階の照葉樹林文化の伝来
      照葉樹林焼畑農耕文化の伝来
      焼畑をめぐる習俗と婚礼の比較民族学
      照葉樹林文化と水田稲作文化
      稲作文化と日本の基層文化

    補説1 モチ種の開発とその利用
      モチ種の開発―――照葉樹林帯における文化選択
      モチ文化圏のひろがり
      台湾山地のアワモチ
      粢モチと搗モチ、縦杵と横杵
    2 ナラ林文化とその展開―――北からの文化の道――
    「北からの文化の道」を考える
      東アジアのナラ林帯とナラ林文化
    森林・移動・狩猟民型の文化
    沿岸・定着・漁撈民型の文化
    縄文文化との比較
    ナラ林帯における農耕の進展
    農耕段階のナラ林文化―――挹婁・勿吉などの事例
    北からの文化の流れ

    第Ⅱ部 稲作文化をめぐって
    3 稲作文化の成立と展開
    弥生文化の誕生
    稲作はどこで起源したか
    稲作の伝播―――その方向と年代
    稲作の進化と稲作文化の形成
    東アジアと南アジアの稲作文化
    日本列島への稲作伝来の三つの道
    日本列島における稲作の展開
    日本的稲作文化の形成
    稲作への文化的収斂現象
    アジア的視野から

    補説2 滇王国――照葉樹林帯に栄えた青銅器文化――
      滇王国と「滇王之印」
      青銅器にみる滇王国の生活文化
      滇王国の宗教儀礼――人身供犠と動物犠牲
      雲南青銅器文化の拡大とその比較

    補説3 稲作の長江起源説の登場
      深まる疑問――稲作研究との出会い
      稲作文化の特色は何か
      日本的稲作文化を構成する諸要素
      稲作文化の特色の比較
      基層にある雑穀文化
      東アジア的稲作文化――雑穀文化から稲作文化へ
      稲と王権
      日本的稲作文化の形成――弥生文化を縄文文化から区別するもの
      インド亜大陸の稲作文化

    補説4 粟の新嘗
    補説5 コメと大嘗祭――新穀収穫祭と王権の思想――

    第Ⅲ部 日本文化への二つのアプローチ
    5 海人と王権―――その文化の系譜―――
      瀬戸内の民族学――環シナ海の海人文化から考える
      中国東南海岸の貝塚文化
      海人の文化の特色―――潜水漁撈と文身
      筏船と家舟
      海人文化の大きな連帯
      王権の伝来
      王権の形成と海神
      塩土老翁と八十嶋の祭り
      瀬戸内海の海人文化――南島系の海人文化
      瀬戸内海と江南系海人文化
      王権の誕生と海人文化
      環シナ海地域と王権の所在地を結ぶもの

    補説6 舟山群島に潜水漁撈の習俗を探る

    6 日本文化の東西――日本文化系討論からのアプローチ
      日本列島の自然――ナラ林帯と照葉樹林帯
      東と西の方言の違い
      東は東、西は西――民俗や歴史の地域差
      味覚や住まいの東・西差
      社会組織にも地域差がある
      なぜ文化の地域差が生まれるのか
      先史時代にまで遡る文化の東・西差
      縄文文化の東・西
      縄文文化の地域差を東アジアの中で考える
      成熟せる食料採集民をめぐって
      在来作物の地域性とその系譜
      開かれた縄文文化――生物考古学の成果
      稲作文化の伝来がもたらしたもの
      中心と辺境の逆転――その基層にあるもの
      
    補説7 日本人の東・西――ヒトとしての日本人の形成――
      古モンゴロイドと新モンゴロイド
      ヒトとしての日本人の成立――混血集団の形成

    主な参考文献
    あとがき

    http://search.nhk-book.co.jp/?ref=https%3A%2F%2Fwww.nhk-book.co.jp%2Flist%2Fmidcategory-201.html&kw=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%96%87%E5%8C%96%E3%81%AE%E5%9F%BA%E5%B1%A4%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%82%8B+%E3%83%8A%E3%83%A9%E6%9E%97%E6%96%87%E5%8C%96%E3%81%A8%E7%85%A7%E8%91%89%E6%A8%B9%E6%9E%97%E6%96%87%E5%8C%96&temp=item&ie=u&by=js

  • 森林帯ごとの生活や文化の違いと、人の移動の歴史を描くことによって日本文化の成り立ちを説明する。稲の起源地や渡来人の特徴、日本文化の東西も取り上げており、縄文以降の歴史の流れやヒトと文化の動きが見えてくる。

    縄文文化は、東北アジアの落葉広葉樹林帯(ナラ林帯)を基盤にして形成された。縄文時代の前期から中期には採集段階の照葉樹林文化が西日本に進出し、後期から晩期には焼畑段階が展開した。

    ナラ林文化
    ・コナラ亜属(ミズナラ)の森
    ・食糧資源として重要なものは、クルミ、クリ、トチの実、ナラの実、サケ・マス
    ・縄文時代中期には、人口の8割以上が東北日本のナラ林帯に集中。
    ・亀ヶ岡式土器(縄文時代晩期)

    照葉樹林文化
    ・カシ、シイなどの森
    ・イモ類、カシの実、漆器、雑穀類の焼畑農耕、モチ種、大豆の発酵食品、コンニャク、ナレズシ、柱と梁による家屋構造
    ・死体化粧型神話、洪水神話、山上他界の観念、カミ(精霊)信仰、羽衣伝説
    ・突帯文土器(縄文時代晩期)

  • [ 内容 ]
    いったい日本列島において、日本文化はどのように形成・展開したのか。
    東と西に分かれる文化の諸要素は、縄文=狩猟・採集文化の系譜なのか弥生=稲作文化の伝統なのか。
    その出自と系統をめぐる論議は活発である。
    本書は、原初農耕文化論の権威が、該博な知識を駆使し、いわゆる照葉樹林文化とは異質なナラ・ブナ帯に展開する北方系文化の流れを「ナラ林文化」という枠組みで提起し、日本文化の二つ源流を明示する。

    [ 目次 ]
    はじめに 日本の基層文化の形成過程の探求
    第1部 日本基層文化の形成(照葉樹林文化とその伝来―南からの文化の道;ナラ林文化とその展開―北からの文化の道)
    第2部 稲作文化をめぐって(稲作文化の成立と展開;稲作文化再考)
    第3部 日本文化への二つのアプローチ(海人と王権―その文化の系譜;日本文化の東西―日本文化系統論からのアプローチ)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

出席者
佐々木高明(前・国立民族学博物館館長/財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構理事長)
野村義一(北海道ウタリ協会前理事長)
榎森 進(東北学院大学教授)
加藤一夫(静岡精華短期大学教授)
常本照樹(北海道大学教授)
大塚和義(国立民族学博物館教授)
尾本惠市(国際日本文化研究センター教授)
吉崎昌一(静修女子大学教授)

「1997年 『アイヌ語が国会に響く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐々木高明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×