江戸東京学への招待 1 文化誌篇 (NHKブックス 750)

制作 : 小木 新造 
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140017500

作品紹介・あらすじ

江戸から東京への400の歴史を一括りにして眺め、巨大な歴史都市を総合的に捉え直そうとする「江戸東京学」シリーズの第一弾。本書は、浮世絵や屏風絵ほか、様々な史料に多角的にアプローチし、祝祭や娯楽・風俗、モードやメディアにあらわれる、都市の文化的様相を読み解く「文化誌」篇。歴史学、民俗学、社会学、美術史学などの第一線の研究者を糾合し、通時的な分析を試みて、創造の活気漲る迷宮都市・江戸東京の精華に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 時代を映す鏡の役割を果たしているものは様々だ。古地図、浮世絵、写真など。




    古本市に行くと、昔の絵はがきを売っていることがある。国内外の観光名所のような定番から美人と言ったテーマもある。




    「絵はがきは、忘れられたメディアであると言ってもいいと思います」と述べているのが、東京大学人文社会系研究科助教授で、専攻分野が歴史社会学・社会調査史の佐藤健二。




    日露戦争が起こった頃、絵はがきが大ブームになったそうだ。そして、関東大震災のような自然災害を扱った絵はがきも発行された。





    はがきが存在するには理由があった。佐藤は次の3点を挙げている。



    1.郵便という新しいシステム


    2.そのシステムに加わった簡便なコミュニケーション


    3.記念切手などとも共通する、記念イベント的色彩




    郵便というシステムがないと始まらないし、何かを記念したものであれば欲しいという人も出て、コレクションをする人もいるので、絵はがきに需要が出る。




    絵はがきが成立するためには、「あるていど、郵便制度の使い方のなかに遊びの部分が出てこなければならない
    」と述べている。





    「美人絵はがき」は、日露戦争にひとつの起源がある言われているそうだ。




    一見すると関係なさそうだが、慰問と称して戦地に芸妓をモデルにした美人絵はがきが送られて、もてはやさてて、戦後も続いて、大正の中期以降になると、映画女優が台頭して、ブロマイドの文化になると指摘している。





    戦場に行くのは若い男性で、癒やしが欲しくなれば、絵はがきでもいいから美人を見て目の保養をしたくなる。




    実際に古本祭りで見た戦前の美人絵はがきの美人は、今と違い、浮世絵のような人が美人だったようだ。





    この他にも博覧会、江戸のおんな、江戸の名所など、東京と江戸の歴史を様々な視点から見ていて興味深い。

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