- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140804964
作品紹介・あらすじ
ファンタジー作家ミヒャエル・エンデに導かれて「暴走するお金」の正体を探りに旅立つ。「老化するお金」「時とともに減価するお金」など、現代のお金の常識を破る思想の数々を紹介する。欧米に広がる地域通貨の実践-米国のイサカアワー、ヨーロッパの交換リング、スイスのヴィア銀行などをレポートする。
感想・レビュー・書評
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図書館。
別件で著作を読もうと思っていたシルビオ・ゲゼルが出てきた。「お金は老化しなければならない」と唱えたゲゼルの自由貨幣の理論。そしてそれを実行した町があったことを始めて知った。
育児関連の本を読んでいた時に興味深く読んだシュタイナーも、出てきた。「仕事が貨幣価値の小細工に基づいて支払われるべきではなく、生活労働に対して支払いがなされなくてはならない、つくりあげられた資本価値に応じてではなく、家族生活に何が必用かが基準になるべきだ(p57)」
マルグリット・ケネディの『利子ともインフレとも無縁な貨幣』(p62)も読んでみたくなった。
ケネディが言う「少数の者たちが、法外な利益を吸い上げていく。それがいまの経済システムです」(p65)は、今まさに課題として取り上げられることも多い。富の再分配、限りある資源の使い道、使う先…。
以前、老後資金について考えたときに知ったiDecoやNISA。それまで投資は怖い、と思っていたけれど、少しの知識を得ると、4%の世界成長に合わせて無理なくつみたて投資をするのならば、アリなんじゃないか、と思ったことがあった。ただ、そのときに頭によぎったのは、
「このまま経済成長をしていっても良いのか?これまでのような資本主義の社会システムでは、格差も広がり資源も枯渇してしまうのではないか?」
という、ここ10年程頭から離れないテーマだ。
結局、投資を始めることはしなかった。
経済システム、貨幣システムについて、私は無知だ。得体が知れない大きなものがそこにある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世界中で貧富の差が助長され、裕福な者たちはますます豊かになり、貧しい者達はさらに追い詰められ、日本では政治家や高級官僚たちの汚職(天下り含む)は絶えることなく続き、一流と言われた経済はもう見る影も無い。拝金主義に走った原子力村なる輩が起こした原発事故、ペンを太鼓に持ち替えたマスコミ、何も決められない政治家。自分の会社の利益にしか興味を持たない経団連。全てがおカネを中心にしか物事を考えてられなくなってしまったリーダと言われるエリート達の末期症状を見ると、このミヒャエル・エンデが警告する、おカネの問題について深く考えてみる必要があるのではないのか…
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21 ぼくはただ、出席者の一人ひとりが、たとえ自分のためでないとしても、自分の子どもや孫のために、どんな未来像を描くのか、が知りたかっただけなんだ(『オリーブの森で語り合う』岩波書店)
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人生で初めて「お金とは何か」について学んだ本。お金については、電化製品と同じように、なんとなく使い方を知っているから「知っている」気になっていた。ところが、お金のメカニズムについては、電化製品と同じく、まるでわかっていなかった。
冒頭でエンデは、以下のように語る。
「重要なポイントは例えばパン屋でパンを買う購入代金としてのお金と、株式取引所で扱われる資本としてのお金は、2つの全く異なった種類のお金であるという認識です」
お金には、交換媒体、価値尺度、価値保蔵の3つの機能がある。パン屋でパンを買うお金は、最初の2機能だが、資本としてのお金とは、価値を保蔵できるがゆえに成り立つ。そして、価値を保蔵できること自体の希少性から、お金そのものが商品として売り買いされるようになる。
新品の時点からモノは劣化し、サービスは提供された時点で価値が尽きるのに、お金だけは時間を経ても価値を保ち続ける。お金の価値保蔵機能をフル活用する者にお金が偏り、お金を交換・価値尺度に使う多くの庶民には、お金が回らない。
そこで、お金から価値保蔵機能を除くことができないか考えた。つまり、お金を持ち続ける(使わない)ほど価値が下がる「エージングマネー」だ。そのアイデアの創始者がルドルフ・シュタイナーであり、それを地域通貨という形で実践したのがシルビオ・ゲゼルだ。
使わないと価値が下がるお金なんて、誰が使いたがるかと思った。ところが、使わないと価値が下がるなら、下がる前に使おうということで、地域通貨の流通量は高いままとなり、コミュニティは活性化したらしい。
これは、僕の感覚から言うと、「メルカリ経済」に近い。メルカリで不要品を売って、ポイントが貯まると、換金せず、そのままメルカリで何か買おうとする。換金すると目減りするし、メルカリのコミュニティでも、いろいろとほしいものがあるからだ。メルカリのポイントを貯める意味は、そこそこまとまった物を買うこと以外にない。
コロナ禍の今、岸田政権は子育て世代への10万円給付をクーポンでやろうとしていた。自治体の反対で現金給付になりそうだが、給付を必要としない家庭にも現金を配れば、それは貯金や投資(価値の保蔵)に回されるだろう。
ICカードかQRコードを使って、2ヶ月以内に使わないと目減りするようなエージングマネーとして実店舗で使える仕組みを作ったら、コロナ禍の経済対策になっただろうに。子育て世代なら、ICカードでもQRコードでも問題なく使いこなせるだろう。 -
読んでいて何でこんな古い本を読もうと思ったんだっけなと勘ぐっていたが暫くして気付いた。仮想通貨の原点がある!
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途中間延びした感じがあった。
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時間経過と共に減価していく通過についての話がメインです。
手元に来て一定期間内に使用しなければ、一定金額分の価値が無くなってしまう通過がデザインされ、流通していた時期があったそうです。
通貨流通量=通貨絶対量×通貨回転率であるから、通貨回転率を上げる事を意図した政策である。
現代貨幣理論と合わせて考えるならば、第二の通貨として発行し、納税の受付をこの通貨で行うならば流通するかも知れない。
非常に読みにくく、途中から読み飛ばしてしまった。
典型的な欧米人の知識人が書いた文章で、まどろっこしい。
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★★★2019年3月★★★
鳥取県の「汽水空港」という古本屋で購入した。
ドイツ人絵本作家のミヒャエル・エンデの「お金」に関する思想を取り上げたもの。
「お金」とは何だろう。私たちにとって身近なものは”交換の尺度”としてのお金だろう。しかしお金のもつ力はそれだけではない。「お金」そのものが商品として売買され、ため込む事で自己増殖する。だからこそお金を持つものは自らためこみ、利子や配当でお金を増殖させる。
持つものはどんどん富んでいき、持たざるものは貧しくなってゆくという格差が生まれる。
だからこそ「老化する」お金が必要だと、エンデは説く。これはゲゼルの思想から着想を得たものである。
現在議論されているマイナス金利は、老化するお金の一環と考えていいのだろうか?
「地域通貨」という考えも面白いと思った。
地域の中で血液のように循環するお金。アメリカのイサカアワーが例としてあげられている。イサカアワーを通して、自らは何を提供できるかを考える姿勢が生まれるというのが素敵なことだと思った。