- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140808306
作品紹介・あらすじ
『武士道』『「いき」の構造』『菊と刀』『「甘え」の構造』『この国のかたち』『敗北を抱きしめて』など、明治以来、各時代のベストセラーとなってきた「日本人論」が、終焉の時を迎えている。21世紀を担う日本人のための新たな道に向かって、いま、われわれは歩み出さなければならない。
感想・レビュー・書評
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「日本人とはなにか」という問題は、これまでさまざまな論者たちがとりあげてきましたが、小谷野敦はそれらの議論には学問的な実証性がないと批判し、ハルミ・ベフは「大衆消費財」だと指摘しています。本書では、日本人論や日本文化論が学問的な正確さを担保できないとしつつも、そうした議論を求めてしまう日本人の心性史に焦点をあて、今後の日本人論のゆくえを展望しています。
著者は、近代のなかに生きる日本人のアイデンティティの不安をとりのぞくために、日本人とはなにかを説明するのが「日本人論」だと主張します。そうした不安は、日本が危機に置かれているときにも、その反対に日本が国際社会のなかで成功を収めているときにも生じるとし、明治以降の日本人論の系譜をたどることで、日本人がみずからの自画像をどのようなしかたでえがこうとしてきたのかを明らかにしています。
本書の大枠は、このような見通しのもとで日本人論の名著とされるものが俎上にあげられているのですが、サムライや職人、あるいはゲイシャといった存在が、「日本人とはなにか」を論じる際にしばしばとりあげられる理由についての考察など、興味深い指摘があり、おおむねおもしろく読むことができました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「日本人論」再考
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これまでに書かれてきた著名な日本人論について、
その時代背景やおおまかな内容を織り交ぜて解説した「日本人論」論。
(主な登場文献)
『菊と刀』ルース・ベネディクト
『敗北を抱きしめて』ジョン・ダワー
『この国のかたち』司馬遼太郎
『「世間」とは何か』阿部謹也
『タテ社会の人間関係』中根千枝
『「日本文化論」の変容』青木保
『「甘え」の構造』土居健郎
『忘れられた日本人』宮本常一
『職人』永六輔
『「いき」の構造』九鬼周造
『武士道』新渡戸稲造
『日本人とユダヤ人』イザヤ・ベンダサン
『イギリスと日本』アラン・マクファーレン
『ジャパン アズ ナンバーワン』エズラ・ヴォーゲル
『子どもたちはなぜキレるのか』斎藤孝
『オリエンタリズム』エドワード・サイード
『宮本武蔵』吉川英治
『文明の生態史観序説』梅棹忠夫
『風土』和辻哲郎
『恥の文化再考』作田啓一
『日本社会の歴史』網野善彦
『新書・江戸時代』大石慎三郎
『古寺巡礼』和辻哲郎
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よかった。
でも知識人の不安だった。
この本の言うとこの臣民や国民の不安は全く同じと言えるのかどうかは疑問。 -
文化人類学的視点からみた日本人とは?