死体はみんな生きている

  • NHK出版
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140810125

感想・レビュー・書評

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  • 食物連鎖の頂上にいる人間の死体活用について考えていたときに、図書館でこの面白いタイトルに引かれて読み出した。読み出すまでは、死体の記憶とかそういうのかなと想像していたが、実際に活用されている事例について紹介されていた。

    ・医学の発展のための死体の活用
     外科手術も見世物のようになっていた
    ・車の衝突実験のための死体の活用
     幼児の死体は手に入りにくい(検体する親がいない)
    ・土葬文化ではエンバーミングという死体を維持する技術が受け入れられていったが、墓場の母親ヒゲが生えてきて(カビ)永久保存ができるとは謳わなくなった

    何より第十一章「火ではなくコンポスト」は私が求めていた情報が記載されていた。
    『畑を肥沃な土地にするために死体を活用できないか』
    肥料にするためには、出来るだけ早く分子に分解するのがいいそうだ。工程としては①細かく裁断する→②摂氏121°の蒸気で殺菌消毒と乾燥を施す....

    スウェーデンのヴィーグマサック、アメリカのティム・エバンスの人間堆肥化技術には引き続き注目していきたい。

    地球環境に配慮した葬儀はもうすぐそこだ。

  • ☆死体の利活用

  • 役目を終ったはずの人体が、思わぬ活躍をしている。

    この本はアメリカで書かれた本なので、果たして日本でも同じように死体を利用しているのかはわからない。このような内容が表に出てこないのは、はやり「死体」を「利用」するのは隠すべきことなのだろう。

  • [ 内容 ]
    死体はスーパーヒーローだ。
    火を恐れず、高いビルからの落下もいとわず、頭を取り外されても文句を言わない。
    同時に何か所にいることもできる。
    ただ灰になったり、土の中でじっと横たわったりする以外に、死体だからこそ成し遂げられるすばらしい業績があるのだ。
    自動車事故の実験台になる、美術展示品になる、植物に取り込まれる、などなど。
    死体が私たちのためにしてきた貢献と、将来私たちが死体となってできることについて、きわめて率直に述べた画期的な書。

    [ 目次 ]
    頭は無駄にできないすごいもの―死体で手術の練習
    解剖の罪―人体解剖の始まり以来の死体泥棒などのあさましい物語
    死後の生―人間の腐敗と防腐処理
    死人が運転する―人体衝撃試験ダミーと恐ろしいが不可欠な耐衝撃性の研究
    ブラックボックスを超えて―搭乗者の遺体が衝突のシナリオを語るとき
    軍隊に入った死体―弾丸と爆弾の難しい倫理
    聖なる死体―はりつけ実験
    死んだかどうか見分ける方法―心臓が動いている死体、生き埋め、魂の科学的探究
    頭だけ―断頭、蘇生、人間の頭部移植
    私を食べなさい―薬としての食人風習と人肉団子事件
    火ではなく、コンポストへ―新しい死後の生
    著者の遺体―どうなることやら

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 全米で最も愉快なあるいは下世話なサイエンスライター、メアリー・ローチのデビュー作。原題はSTIFFでスラングで死体を意味する。デビュー作からいきなり死体というのも相当な人だが読む方も読む方だ。まあ映写真は出てこないので大丈夫。

    米国で献体する人は自分の体が誰かに移植されその命を助けて、自分の一部も生き続けると思っているかも知れない。しかし、死後して欲しくないことを希望しないと多くは解剖実習に回される。外科医は手術しないと上手くならないが、患者としてはできれば上手い人に切ってもらいたい。第一章に出てくるのは並んだ頭部、もう少しくだけて言うと生首だ。解剖実習の目的は美容整形の練習台だった。解剖実習までは我慢してもそれが美容整形だといやだといる人も多いかもしれないが、再建形成外科も美容整形の技術は必要だ。いずれにせよ外科医の技術は高いにこしたことはない。それでも提供した皮膚が火傷の修復ではなくペニスの増大化に使われるとなるとだれも良い気はしないだろう。死後に他人の体の中で暮らすのは想像できてもパンツの中で暮らすのは想像しがたい。

    死後の貢献の仕方は他にもある。事故の際の被害のシミュレーションとして自動車の衝突実験に使われたり、飛行機から投げ出されたり〜事故原因の推定〜、軍隊で弾丸の評価〜ストッピング・パワー〜や爆発実験に使われたり、痛みを感じない死体は有効に利用されてはいる。知らぬが仏、あるいは遺族、どちらが気を悪くするのだろうか。

    現代の社会では脳死をもって死の判定とするが、体はまだ温かく生体反応もある。昔はそのまま寝かせておいてもう動き出さないと確認するのに時間をかけていた様だ。ウジがわいたかどうかで判定されるのもいい気はしない。臓器の移植実験も色々有り最後は頭部の移植実験も行われている。臓器移植が良いのならば頭部以外の全てを移植するのに問題はないのか?犬やサルでは実験が行われ長生きはしなかった様だが免疫の拒絶反応が起きるまでは移植された頭部は生きている。それに臓器移植ならば何人も救えるところを首から下では1人しか救えないとしたら。いずれにせよ今のところ人間では試されてはいない。寄生獣ならともかくもだが。

    新しい遺体処理の方法として火葬ではなくアルカリ処理して骨だけ残す方法や(残りは水に流す)、コンポスト処理で堆肥にする方法なども提唱されているそうだ。いずれも火葬よりも環境によく、土葬よりも場所をとらない。例えばペットが死んだ場合に土に埋めてそこで花が咲くのを見てもおそらくいやな感じはしない。しかし、わざわざコンポストにするというのはそれが目的化しているようで受け入れにくくなる。スウェーデンでは環境規制法により火葬が打撃を受けている。歯の詰め物に含まれる水銀が大気汚染の発生源となり規制をオーバーしかねないのだ。土葬を嫌がるスウェーデンではエコロジカ葬のHPに訪れた300人のうち62%が興味が有ると回頭した。さらに環境にいい方法も有ることは有る。イチョウガニの入ったいけすに遺体を入れると2、3日できれいに骨になる。鳥葬ならぬカニ葬。エコロジカルでサステイナブルかも知れないが受け入れられないでしょうね。水葬も要は変わりはしないのだが。

    筆者の謝辞は最後にUM006、H、ミスター・ブランク、ベン、スウェットパンツをはいた大きな男性、40の頭の持ち主だった皆さんに捧げられている。いつまでも私の心の中に生き続けるでしょうと。

  • 2013年5月24日

    <STIFF:The Curious Lives of Human Cadavers>
      
    装幀/遠矢良一
    装画/前田はんきち

  • 面白い。
    語り口と、視点だろうな、この人のは。
    初期のもののせいか、やや全体に薄まってる気はするけど。私を宇宙に連れてっての方が面白いな。

  • とにかく面白い。
    前々から気になっていた著作

  • こんなに色々な「使われ」方をしているとは知らなかった。自分の時はどうしようか?

  • 中3の時、国語科T先生に借りて。
    古今東西の死体の利用方法が主な内容。
    読むのが嫌にならない程度に真面目で真摯、ユーモラスな表現もちらほら。

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著者プロフィール

1959年生まれ、カリフォルニア州オークランド在住。
「アウトサイド」誌、「ワイアード」誌、「ナショナル・ジオグラフィック」誌、「ニューヨーク・タイムズ」紙など多数寄稿。
代表作は『死体はみんな生きている』『セックスと科学のイケない関係』『わたしを宇宙に連れてって  無重力生活への挑戦』(いずれもNHK出版)など。

「2017年 『兵士を救え! マル珍軍事研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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