「エコ罪びと」の告白

  • NHK出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140813720

作品紹介・あらすじ

エコロジー意識はそれなりに高くても、快適なライフスタイルを崩すことのない現代人。家の中を見回すと、世界中から来たモノでいっぱいだ。いったい、どこからこんなに湧いてくるのか?世界的な環境ジャーナリストが"エコ検証の旅"に出た。地球の未来のために何かしたいと思っている人へ、自分の足元を見直すきっかけになる本。

感想・レビュー・書評

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  • "著者が身の回りの品物を環境問題という視点でつづったエッセイ。
    完成した商品はどこから来たのか?そして、使われなくなったらどこに行くのか?
    身近な身の回りの品物からエネルギー、食料など、生活するうえでの環境負荷を見つめる。

    リサイクルして、資源を有効に活用していると思っている仕組みも、巡り巡るとあれ?これ本当に環境に良いことなの?というものも出てくる。"

  • 面白かった~、そして大変ためになりました。
    日常生活で使う様々な物(金の指輪、携帯電話、食べ物、衣類・・・)やサービス(交通機関、リサイクル・・・)がどこから来てどこへ向かうのか。わかってるようで全然わかってない事実を次々と目の当たりにして、かなり衝撃を受けました。

    コーヒーを買うとき、フェアトレードにするべきか否か。
    エビはどういうルートで先進国の食卓に上るのか。
    地産地消が理想だが、では途上国から先進国に輸出している生産者はどうなるのか。
    Tシャツやジーンズ、いったいどこでどうやって作ってるのか。
    リサイクルは果たして本当に環境にいいのか。
    公共の交通機関はどれくらいエコなのか。

    などなどなど。
    一家に一冊欲しい本でした。

    これ読んで、私のエコ意識は甘いと思った。
    現代においてエコ道を探求するというのは、便利性や安さの追求するべきか、または地球環境や社会環境に良いことをするべきか、日々葛藤するということなのです。何かを買うときやサービスを利用するとき、両者を天秤にかける。そりゃあ面倒くさい生き方になるわけだ。
    でも、こうしないと世界はよいものにならないのです。がんばります。

  • フードマイレージやフェアートレード、リサイクルからCO2まで、自分の足でス取材してきたエコの実態集。 イギリス人らしくちょっとヒネた視線で、これが絶対とかがないことが好感を持てる。 原文の直訳に近いのだろうか、訳文には疑問が残るが。

  • 食べ物のみならず 自分の使う全ての物たちが どういうふうにどこからどう来ているのか 最近は複雑すぎてわからない。
    それを丹念に追った(というか 逆再生した?)のが著者フレッドピアスさん。
    薄々分かってはいたけど 凹む程にぐちゃぐちゃに絡まった流通と欲望と搾取・・
    生産者が、大地が 地球が みんなが幸せになれる方法を実践していかなければならないのだと感じた。

  • ジャーナリストの鑑とも言うべき内容だな、と思った。

    自分の身の回りにある物がどこから来たのか、そしてどこへ行くのかを徹底的に追い求めた集大成。ドキュメンタリー化してもいいんじゃないかってくらい衝撃的。環境にいいとされるフェアトレードやリサイクルなどにもメスを入れており非常に参考になる。

    グローバリズム・環境の南北問題・貧困・MadeInChina

    色々な言葉はみんな知っている。だけどその実情を知る人は少ない。

    ・フェアトレードという名前がついても現地の人はフェアと思ってはいない。

    ・安い途上国のエビを買わないと、生活に困る人々が山のようにいる。

    環境問題、持続可能な発展というものの越境性が、単に被害にとどまらない。被害、加害関係は汚染だけでなく、ある種の上部、下部構造的な非常に固定的な状況に陥っている。

    単に教科書的に越境的だよねー、大変だねーという認識から抜け出せたことに感動すら覚えた。この状況を変えていくために、頭を振り絞らなければなあ。

    「世界の人々の意見が一致する物事はほとんどないが、金の価値はそんな例外のひとつである」

    「もし、フェアトレード・コーヒーを買って、『フェアな価格を払っている、だからコーヒー農家に適切な収益をもたらしている』と思い込んでいるのなら、それは偽善にすぎないのではないだろうか」

    「わずかな温室効果ガスを削減するために、ケニアの農民から生計の手段を奪うことが本当に正しいことだろうか?」

    「きれいにすることが必ずしも生態系にとっていいとは限らないのである。野生動物は、下水の放流、そして漂着ゴミの両方が喪失したために、いま食糧不足に苦しんでいる」

    「だが、中国の人々は自分の国で埋め立て処理をするために、よその国からゴミを引き取っているわけではない。彼らがゴミを買い取っているのは、ありとあらゆる原材料が絶対的に不足しているため、再生できるものは全て貴重であり、きっちりと分別すれば新たな製品へと生まれ変わらせることができるからである」

  • 題材としては面白いが、文章はいまひとつかな……。
    翻訳だから、仕方ないかもしれないけれど。
    100220

  • 秀逸。ぜひとも原書にトライしたい。
    自分の周りのモノの来た道を辿る。
    フェアトレードに関心はあるけど、マイレージはどうなんだろう、
    こんなに安いって、どういうこと?
    などなど、普段疑問に思っていたことを著者が検証してくれていて、
    それが全てではないけれど、そういう事例もあるんだ、と思うことばかりだった。
    環境に関する問題は複雑で明快な答えはない。
    しかしながら私たちは良いと思う方法を選んで生活していかなければならない。
    いたずらに不安をあおったり、
    全部無駄だと極論を垂れ流したりするだけで
    有効であろう(と、少なくとも筆者自身が信じる)対応策を出さない
    環境を専門にしている学者の本よりも、
    はるかにわかりやすく、また情報も具体的で、目線もニュートラルで、
    一筋縄ではいかないけれど、こういう方法はどうだろうかと
    筆者自身の想いが述べられている。

  • 途中まで読んだ感じだと、先進国の人々が持つ無垢で些細な欲求によって、途上国(生産国?)の人々が搾取されるという構造が支えられているんだということが分かりました。グローバリズムの負の部分が書かれています。今までも自分はエコに気を付けているつもりだったけど、最近になって、分別とか全然徹底してできていないんだなと実感するようになって来ました。生半可な気持ちでエコがどうとか口走っちゃあいけないなと思った。本当にエコなら、食うもの着るもの使うものまで全部責任もって選ばないといけないな、と思いました。

  • 「フェアトレード万歳!本」かと思ったらそうではない。
    「私たちが実際、あといくら多目に払う用意があるのかということだ」

    結局そこですな^^;
    面白かったです♪

    ただ、カレーにエビは入れたらアカン!
    カレーには肉だろう!(笑)

  • 生きてると手に入れるもの吐き出すもの私のフットプリント追って

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著者プロフィール

フレッド・ピアス(Fred Pearce)
ジャーナリスト。環境問題や科学、開発をテーマに20年以上、85カ国を取材。1992年から『ニュー・サイエンティスト』誌の環境・開発コンサルタントを務めるほか、『ガーディアン』誌などで執筆、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍する。2011年には長年の貢献に対しAssociation of British Science Writers から表彰を受けた。著書に『水の未来』(日経BP)、『地球最後の世代』(NHK出版)、『地球は復讐する』『緑の戦士たち』(いずれも草思社)ほか多数。『地球は復讐する』は23カ国語に翻訳され世界中に大きな影響を与えた。

「2019年 『文庫 外来種は本当に悪者か?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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