死を看取る医学: ホスピスの現場から (NHKライブラリー 68)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140840689

作品紹介・あらすじ

ホスピスで2000名を超える人びとを看取った著者が、その体験に基づく数々の事例を取り上げながら、治療と延命中心の日本の医療を根本的に見直し、死を間近にした患者とその家族の苦痛を緩和し、支えるターミナルケアの大切さと、生と死の意味を追究する。

感想・レビュー・書評

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  • 看護学校の試験を受ける前に高校の先生に薦められて読みました。命の大切さ、最期をどう迎えるか、医療従事者としての役割など様々なことを学ばせていただきました。

  • 「死」とはどういう事なのか、患者さんを取り巻く医療スタッフの役割や関わり方などが書かれた書。
    現在、技術や科学の進歩で以前よりずっと延命が可能な時代となった。それ故に、少しでも長く生きられることに重きがおかれるようになり、治療者は1分でも1秒でも永く延命を、家族もできる限りの治療をさせてやりたいと願う。そういった背景から在宅で看取られてなくなる方は少なくなり、病院で亡くなられる方が増加していると。しかし、著者はどれだけ永く生きようともその中身に目を向ける必要があるといっている。がん患者の緩和ケアを中心にし、何人かの例を挙げて分かりやすく説明しているが、内容的には病院に入院する患者全員に言えることだと思った。治療者側に立つと、どうしても患者の精神的な部分まで配慮する事が疎かになっていると思う。話も自分の知りたい内容だけ聞いて、本当に患者が訴えたいことや聞いて欲しい内容に耳を傾けられているだろうか。どの患者も同じに治療を考えてる風があると思う。「その人らしさ」や「人間らしさ」にもっと目を向けて、その上に治療があるのだと思った。私達治療者は、その患者がどのような人生を歩んで来たのか、というところまで思いを馳せていくべきだ。
    そして、在宅で死を看取れるような組織作りが今後もっと必要であると筆者はいう。私は治療というと、病院で医療機器を使用して行われるイメージがあるが、病院ではその人らしさというものが制限されてしまうと思う。これからは、在宅と治療がもっと身近なものになる必要があると感じた。2000年からの介護保険制度によって在宅でのケアは進んでいると思われるが、まだまだこれからだと思う。どうすればより良く、在宅と治療が関わっていけるのかということを医療者は考えながら患者と接し、医療体制が良くなるように現場から声をあげていかなければならないと思う。

  • 2008/1 読。

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授

「2001年 『ターミナルケアとホスピス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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