オバマの言語感覚: 人を動かすことば (生活人新書 288)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140882887

作品紹介・あらすじ

英語のよくわからない日本人をも、強力に惹きつけたオバマ大統領の演説。彼のことばは、時代が求めるリーダーシップの象徴だといえる。聞き手に「この人は信頼できる」と直観的に思わせる、彼の鋭敏な言語感覚はどこから生まれるのか。それは、言語や文化の壁を超えて、学習可能なものなのか。社会言語学の知見をもとに、人を惹きつけ、巻き込み、動かすオバマのことばの核心に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • ☆☆☆トランプが大統領就任演説を終え、数々の大統領令を発するなかで、トランプの発することばが映し出す『未来世界』が、少し前に私が感じていたアメリカの未来世界とガラッと変わっていたのを感じていたので、その違いを確認するために読んでみた。そのため、前大統領バラク・オバマが鮮やかに描いた未来世界の希望の感覚と比較するために、もう一度オバマのことばを辿ってみた。

    何が違うのか、雄弁さではない。知性でもない。両者がそれぞれに描く、『アメリカの未来像』と『現状のアメリカ』の受け止め方の違い、ひいては彼らがそれぞれに歩んできた、人生のなかで見つめていた何かスタイルとサブスタンスの両者だ。

  •  部活の合宿中に読了②。先日のとある研修会で紹介されて購入。オバマ大統領の演説を詳細に解説してくれている1冊。大統領就任演説をテレビで見たくらいだった私としてはこのように活字で解説してあることで整理してオバマの言葉を味わうことができ大変楽しかった。著者は社会言語学者だけあって主張の根拠を実際に使用された言葉に求めており、社会的な事象に関するデータに求める説明のしかたとは一味違ってその点も新鮮であった。特に選挙期間中に窮地に立たされたオバマ氏が真正面から国民に語りかける演説の分析の仕方は非常に臨場感があり、まるでオバマ氏の側に立って、窮地を脱し、逆に国民を味方につけていくプロセスを味わうことができ、ここだけでもこの本を読む価値があった。また当該事項のみならず、大きなフレームを国民に提示することで、聴衆を巻き込んでともにアメリカを良くしようと盛り立てていく話法についても詳細な言及があり、その点も読んでいて面白い。文章自体もわかりやすく明快で、読み物として十分に楽しめる内容であった。

  • フォトリーディング講習での「読みたかった一番本」。電車でフォトフォーカスしました!おもしろい本で良かった。
    ここでもでてきます、「一部分ではなく全体」「物語」「共感力」「右脳的考え」「知的好奇心」。
    特に心に残ったのは一般の人は「私(I)は~したい。(例:私は美しい日本を作りたいと考えております)」、人を惹きつけるオバマは「私たち(WE)は~をしていこう。(私たちで強いアメリカを築こう)」。聴衆者は、オバマが話す物語に触れ、共感して、ついて行きたいと思う。
    もうひとつ「危機はチャンス」。逃げずに「フレームワーク」を転換させる。今の日本や地球は危機的状況だけれど、これをチャンスと考えてできることがあるかな・・。

  • リーダーの資質って何か。めまぐるしく交代する日本の首相なんて全然あかんわ~言葉に何も感じない。

  • 眠くなるような本かと思ったけれど、かなり読みやすい。テレビの敏腕司会者の話を聞いているような流れで読み進められる。
    リーダーシップのある話し方を身につけたい人にオススメの一冊。

  • ふつうやね

  •  オバマの演説やディスカッションにおける「ことば」がいかにリーダー性を発現しているものであるか、視聴者をいかに惹きつけるものであるか、という点について麻生やマケインとの対照を取り入れて論じたもの。
     著者は社会言語学者で、社会言語学的な分析や議論も含まれてはいるが、それよりは、リーダーとしての資質や効果的なスピーチについての話に重点が置かれ、ビジネス書としての側面が強いように思う。さらに、「オバマはすごい」という前提に大賛成できない人はこの本は読めない。おれは、オバマが本当にすごいのかどうかはよく分からないので、この本を読みながら、あまりにもオバマが褒められすぎていて違和感を感じた。また、麻生との対照はとても面白いので、麻生がまだ記憶に新しいうちに読むのがおすすめ。(09/12/14)

  •  オバマ・米大統領の演説を参考に、スピーチの手法を考察していく新書。
     ブームが築かれていたころには、あんまりオバマさんの演説って聞かなかったんですが、本書で読む限り、優れた演説ですね。まあ、当然、本書にも(考え方の)偏りはあるのでしょうが・・・。

     東先生は社会言語学の研究者です。そのため、社会言語学の見地からの考察も多く、なかなか興味深いです。また、それに留まることなくリーダーシップ研究からの考察も含まれています。
     スピーチやプレゼンの際には、ぜひとも参考にしときたいことがイロイロ書いてありました。さっそく、今度から利用していきたいと思います。

     しかし、残念ながら政治色?が強すぎる。素直に「オバマってすげーんだぜ」って言ってくれるだけなら良かったのですが、麻生政権を攻撃しまくりすてぃ。この本に限っては、そういうのいらないから!


    【目次】
    まえがき
    第一章:時代が求めるリーダーシップとは
     第一節 聞き手中心か、話し手中心か
     第二節 事実を語るか、心を語るか
     第三節 ことばに表れるリーダーの資質
    第二章:敵を味方に変えるものは
     第一節 危機をやりすごすか、対峙するか
     第二節 フレームを切り替える
     第三節 人を動かすディスコース
    第三章:「見た目」か、「中身」か
     第一節 距離を縮める親しみのフレーム
     第二節 「大統領らしさ」を映すテレビ画面
     第三節 スタイルか、内容か
    第四章:日本人はオバマになれるか
     第一節 「オバマ語」は人をその気にさせる
     第二節 ソトの世界をウチに巻き込む
     第三節 コミュニケーションはタテからヨコへ
    あとがき
    オバマ演説・参考英文テキスト
    参考文献

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著者プロフィール

ユタ大学言語文学部教授。著書・論文 『社会言語学入門』(研究社出版、2009)、『選挙演説の言語学』(ミネルバ書房、2010)、「スキーリフトに乗り合わせた北米の初対面の人たちは、どのように会話をするのか―スモールトークの談話分析」『スキー研究』12-1(2015)

「2016年 『SP盤演説レコードがひらく日本語研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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