いのちと味覚―「さ、めしあがれ」「イタダキマス」 (NHK出版新書 531)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140885314

作品紹介・あらすじ

いのちと味覚は切っても切り離せないもの。環境汚染によって安心・安全な食材が姿を消し、簡便な「レシピ」の氾濫で、食の本質が失われつつある今、「より良く生きる」にはどうしたらいよいのか。その心得を、「畏れ」「感応力」「直感力」「いざのときを迎え撃つ」「優しさ」の五つの指標から説く。著者初の新書エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 内容は素晴らしいと思った。
    だが、辰巳さんの使っている食材は全て吟味された最高の食材。
    一部だけならともかく、全てを有機無農薬で揃えるのとができる日本人はどれくらいいるのだろうか。

  • 辰巳芳子 著「いのちと味覚」、2017.10発行。片口いわし(煮干しだし)が獲れなくなった。貝が(チューチュー)なかなくなった。風土に即して食べること。季節の恵み、風土の慈しみをいただくこと。日本の食文化、米・だし・発酵調味料(味噌、醤油、酢、みりん・・・)そして、旬のものを食べること。米と大豆があれば、この国は何とかなる。いざというときは、米と大豆。料理する時は、五感を総動員。はい、感じる力、ひらめく力、大事にしたいと思います!

  • 2018.06.29 『教養としてのテクノロジー』の巻末の既刊紹介より

  • わたしたちが食べるものは、すべからく他の何かの「命」だ。
    そしてわたしたちの体はすべて食べたものでできている。
    生きることは食べること。そして食べることは本来、命と向き合う行為なのだ。

    食べること、そして命そのものと向き合い続けることで獲得された著者の哲学。とても興味深く拝読した。

    著者はこれから食べようとするもの=命を畏れ敬う。なるべく最大限にその命を活かすよう料理するときにもその心を忘れない。
    そして食べる人間に対しても命を与えて生かそうとする。
    命を繋げるための栄養を与えられればいい、という発想にはならない。「やさしさ」が必要なのだと。

    できあいのものが悪いとは思わないけど、命と向き合うには料理をすることが一番なのだと思った。
    命をいただいているのだと忘れないように私も常日頃食べるものや食事に向き合いたい。
    そして命をむだにしないで、旬のものをちゃんといただき、包丁を握るときは、鍋をふるうときは命と向き合いたい。そう感じた。
    そして私も自分を、大切な人を生かす、温かくてやさしいスープをたくさん覚えたい。

  • 書店の店頭等で時々目にしていた『いのちのスープ』と言う言葉の由来や作り方と言ったおおまかなことをこの本で知りました。
    生きること食べることを真面目に考えて穏やかに語り掛ける文章の中には厳しさもあり、凛とした方なのが読んでいて分かりました。本の中で「辰巳家の侍の血」と書かれていますがまさにその通りの印象を受けます。
    丁寧に時間をかけて出汁をひいたりスープを作ること…最近食事にやや手を抜いている自覚があるので読後に自省。食べる人を思う気持ちをちゃんと持たねば…。
    菜の花は丁度今が旬。本の中に作り方のあった菜の花丼を作って自然のちからやいのちを分けていただこうと思います。

  • 著者の辰巳芳子(1924年~)は、家庭料理・西洋料理の料理研究家にして、多数の著書を持つ随筆家。母は、料理研究家の草分け的な存在である辰巳浜子。2012年には、その活動がドキュメンタリー映画『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』で紹介された。
    私は自ら料理をすることはなく、(幸いにして自らの“いのち”を差し迫ったものとして意識するに至ったことのない)現状健康な、50余歳の会社員であるが、著者のような(料理に限らない)一道を極めた人の言葉からは、思いもよらない気付きを得ることが多く、本書を手に取った。
    そして、本書を読み終えて、物心がついてからでも40年を超える自らの「食」に対する認識は、(期待に違わず)大きく変わった。
    それは、「もともと料理が好きではなかった」著者が「目が覚めるような気がいたしました」と語っている、分子生物学者の福岡伸一氏が著書で引いている、シェーンハイマーの「食べることは、からだにガソリンを注入するようなことではなく、分子レベルで食べたものとからだが入れ替わることだ」という言葉が、日常の生活において何を意味するのかを理解したことである。
    私は、福岡ハカセのファンで、複数の著書を読んでおり、上記の“動的平衡”の概念は頭では理解をしていたつもりであるが、それを日々の生活で実践するということは、まさに著者が本書で繰り返し語っている、「一日三食、三百六十五日。その一食一食がいのちの刷新であるならば、私たちは、食べるべきように食べなければならない」、「生きていきやすく食べる。すなわち、風土に即して食べる」ということに気付き、目から鱗が落ちた思いである。
    本書には、著者が究極の食とする様々なスープのレシピも詳しく記されており、実際に料理をする人々には実践的で、より参考となると思われるが、料理を手掛けない私にとっても、「ものを食べるということは、人間が人間らしくあるための根源的な営みです」、「味覚とは、いのちを養うために備えられたもの。いのちに直結する「愛すべき感覚」なのです」という言葉は、明日から食事に臨む気持ちを改めさせてくれるに十分なものであった。
    (2017年11月了)

  • 口調は優しいけど、常に説教されている気分で読んだ。
    面倒くさくなぁ…と思いながら読んでいると、「面倒、と思われますか。」と問いかけられる。そこで少し背筋が伸びる。
    92歳だという著者が紹介するものは、スープが代名詞になっている位なので、どちらかというと洋食が多い。
    その中でも煮干し出汁の取り方や、けんちん汁など出来そうなところから手をつけてみようかな。


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著者プロフィール

料理研究家、エッセイスト。1924(大正13)年生まれ。料理研究家の草分けだった母・辰巳浜子のもとで家庭料理を学ぶ一方、西洋料理の研鑽も重ねる。父親の介護を通じてスープに開眼する。鎌倉の自宅や周辺の施設でスープ教室を主宰し、高齢者や病気の方へスープを提供できるよう指導している。「大豆100粒運動を支える会」会長を務める。 著書に『辰巳芳子の旬を味わう -いのちを養う家庭料理』、『辰巳芳子 慎みを食卓に -その一例』(ともにNHK出版)がある。

「2020年 『辰巳芳子 ご飯と汁物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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