カラスをだます (NHK出版新書 646)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886465

作品紹介・あらすじ

世界唯一! 「カラス誘導」稼業の全貌

著者は「カラスの鳴き声」の研究で博士号を取った研究者であり、長年の研究成果である「鳴き声でカラスを操る技術」を駆使してカラス被害に対し科学的な対策を提案する「株式会社CrowLab」の創業者。本書は、 カラスはなぜ黒い? 襲われないためにはどうすればいい? などの基礎的な問いから、肉はおいしい? どうすれば食べられる?などの興味にも、そして、どうすれば追い払える?という切実な問いにも、自ら確かめた事実だけをもとに答えていく。18年にわたる研究のクロウを読み終える頃には、頭上のカラスの鳴き声が気になりはじめ、必要以上に恐れなくて済むようになるだろう。カラスの非愛好家にこそお勧めの、「カラスとの真剣勝負」半生記!

第一章 カラスを動かす
第二章 カラスになりきる
第三章 カラスとしゃべる
第四章 カラスを食べる
第五章 カラスを減らす

感想・レビュー・書評

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  • 油ぎったものが好きで

    大好物はマヨネーズ とか

    意外に知られていない カラスの寿命

    カラスの鳴き声の聞き分け方など

    なかなか知ることがない

    カラスの生態について

    ここまでの本はないんじゃないでしょうか



    いやぁ 私はちょっと

    カラスのシチューの味を

    想像しちゃって

    胸がいっぱいになりました



    なぜか カラスの匂いを

    嗅いだことがある人には

    肉が臭く感じるようですよ

    多分 これは ヤギ肉でも

    ある現象ではないでしょうか

  • 先日、あるテレビ番組で、カラスが公園の水栓をひねって水を飲んでいる映像が流れた。クイズが出題され、このあとカラスはどうするでしょう? となったので、そんなの更にひねって水浴びするにきまってるじゃん、と思っていたら正解だった。
     続けて露天風呂にカラスが侵入する映像を流し、このあとカラスはどうするでしょうか?との問いに、すぐさま、石鹸を取るにきまってるでしょうよ、と今度は声に出して即答したら、案の定だった。

     そんなカラスに関しての知識をほどほどに持っているおっさんをも大興奮させるこの本。

     ひそかにカラスとのコール&レスポンスを夢みているだけに、この本の存在を知らなかったとことは痛恨の極みだ。
     
     遅ればせながら読んでみた。
     (以下、ほぼ自分用の備忘録として書いているので、本の筋に沿ってはいません)


     突き抜けるような青空が広がっていたある日、近所の鉄塔のてっぺんをふと見上げると、なにやら猛禽のような鳥がいる。あのくちばしに白い腹、もしかして大鷹か?一瞬思ったが、よく見たら金属製。東電がカラス除けにでもつけたのだろう。
     
     たしかに周辺にカラスはみかけない。一応警戒しているのだろう。ただカラス(鳥類)は紫外線が見えるから、あんな金属製の大鷹もどきを置いたところで、大鷹と認識して忌避しているわけではない。
     いつもと様子が違うからしばらく近づくのやめておこう、という用心でしかない。そのうち、あいつ、いつも同じ場所で風に吹かれて、ふらふらしているだけだぞ、と気づき、ふたたび鉄塔に営巣するに違いない。
     だいたいカラスは人の顔を識別する。人間は近い種である猿の顔の区別だってつかない。それをまあ、知能としては劣ると言われている鳥類なのに、人の顔を見分けるとは恐れ入った。
     田んぼの案山子だって、もちろん人間と思って避けているわけではないので、そのうち慣れる。
    CDをぶらぶらさせるのも、バンッ、って爆発音をさせるのも、大音量で大鷹に襲われた時のカラスの声を流すのも、慣れればカラスは避けるのをやめる。浅知恵ではカラスに勝てない。

     かつて東京の下町で鷹匠がハイタカを空へ放つ実演を見たことがある。天高く舞い上がった途端にカラスが5~6羽追尾してモビングをした。ハイタカは逃げることで精一杯。東京の空の覇者はカラスだと思い知った。

     先ほどの石鹸を盗む話に戻すと、カラスは脂が好き。特にマヨネーズ。石鹸も油分なので、腹を満たすというより、油を摂取したいだけ。油がないと鳥の命の羽がパッサパサになるので生きていけない。コンビニ弁当を包んでいたラップを咥えて、屋根の上でおいしそうに飲み込んでいるカラスを見かけたこともある。あんなの食べて大丈夫かと思っていたが、ちゃんとペリットとして後日吐き出されるとのこと。石鹸くらいへっちゃらだ。

     どうもカラスはバカ舌らしい。人間には目に染みるくらい辛子成分たっぷりの液体をふりかけた肉でも平気でたべるらしい。バカ舌だし、鼻も利かないのだろう。さすがスカベンジャーの称号を戴くだけのことはある。なんでも食べる。
      
     自然界では腐肉をも食べ、環境をきれいにしてくれるカラス。しかしながら人間にとっては害獣扱いのカラス。迷惑しているなら食っちゃえばいい、ということで食べてみると、身は砂肝みたいでかたく、そんなにおいしいものではないらしい。そう言えば貴ちゃんねるで、高田馬場のジビエ料理店で貴さんがカラス食ってたなぁ、まずそうに。しかも値段が高かった。
     とは言えフランス料理ではカラス肉があるらしく、若いカラスの脳みそは絶品とのこと。料理の仕方次第では美味しくなるらしい。

     全国で年間100万羽くらい駆除されているらしく、鹿や猪みたいにジビエ料理にすりゃ良いじゃん!と考える人がいるが、そんなのコストを考慮したら、大赤字。法律も変えなきゃいけないし、だいたい鹿や猪や熊だって、補助金なけりゃ大赤字なんだから、更にカラスまでとは今後も万に一つもならないだろう。

     最後にカラス語の話。
     
     うちの近所に変な声を出すカラスがいる。カラスといえば、アー、とか、ガー、だが、そのカラスはアウワ、アウワ、アウワ、と鳴く。どのカラスも鳴き返してこないし、自分が想像するに、シジュウカラのツツピー、ツツピー、の鳴きマネをしているんじゃないかと思う。残念ながら、カラス語を理解できない未熟者なので確認しようもない。 
     著者は多くのカラスの鳴き声を集め、それをAIの力も借りて解析し、翻訳したいらしい。構想を読む限り、ある程度のところまでは実現可能なんじゃないかと思う。カラスと会話できる日も近いだろう。

     言い忘れた。
     著者は人間にとってはあまりに身近で厄介者であるカラスを、追い払うことを生業としている。農家や自治体からカラス対策を依頼されたら出動し、農作物の被害や糞害、ゴミ集積場荒らし対策の色々な装置を開発、設置している。YouTube などでも公開しているので、興味があればどうぞ。

  • ●居て欲しくない場所からいても良い場所へカラスを動かす。鷹の鳴き声や鷹との争いの声を出し、カラスの警戒心を煽る。
    ●ねぐらと巣は違う。ねぐらは寝るところ。巣は卵を産んで育てる繁殖の場。
    ●カラスはなぜ油が好きなのか。油を摂取できるかどうかがカラスの生死に関わっている。鳥は一般に、尾羽の付け根による尾腺と呼ばれる器官から油を出し、クチバシで塗り広げることで体に防水コーティングを施す。
    ●紫外線をカットする黄色いゴミ袋は、カラスは中身がわからない。
    ●辛い味は平気。そもそも鳥類はカプサイシンの刺激を感じにくい。
    ●アッアッアッは警戒、ガーガーはそれ以上近ずくななメッセージ。
    ●カラスは、人間の視線を気にする。
    ●クロウコントローラー。カラスの飛来を、赤外線センサーが検知すると、スピーカーからカーカーと言うカラスが危険に遭遇したときの鳴き声が発せられる。これを聞いてカラスは立ち去る。

  • ただただ汚くて嫌なイメージしかなかったカラスの新しい発見。
    肉は硬くて臭い。食べられないこともないらしいが食べたくないなあ。
    鳴き声の種類と意味。私がよく聞く「アー」という長めの鳴き声は存在感を表しているのか。「アッアッアッ」は餌を見つけた時。
    羽は黒黒としていて艶のあるのが強いやつ。濡れて少し小さくなっているカラスは弱っている。
    こういう雑学を知ると今度カラスを見た時に注意深く見て、鳴き声もどんな意味なのか、聞いてみたくなった。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000053139

  • ふむ

  • 488-T
    閲覧新書

  • 一宮 S488.9/ツ/20

  • <目次>
    第1章  カラスを動かす
    第2章  カラスになりきる
    第3章  カラスとしゃべる
    第4章  カラスを食べる
    第5章  カラスを減らす

    <内容>
    カラス研究の第一人者の一人(なんか矛盾する言い方だけど)。書き方が面白く、若干クセもあるが、私は楽しく読めた。学術的というよりは、実用性にシフトした内容。むろん、その実用性の裏にはちゃんとした学術的裏付けがあるから面白い。カラスの声の研究やカラスの性格から誘導する研究など、期待通りであった。カラスを食べる話はちょっと…だったが。ただ「ぼんじり」が美味しい理由は納得した。「脂腺」だったんですね。鳥は脂がないと防水ができず、それは彼らの死活につながる。なので、カラスは「マヨラー」でもある訳なのです。

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著者プロフィール

カラス対策専門企業、株式会社CrowLab代表。カラス料理研究家。1979年群馬県桐生市生まれ。宇都宮大学農学部、同大大学院農学研究科修士課程修了、東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程修了。博士(農学)。博士号取得まで杉田昭栄研究室所属。総合研究大学院大学・学融合推進センター助教を経て現職。著書に『本当に美味しいカラス料理の本』(SPP出版)。宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センター特任助教も務める。

「2021年 『カラスをだます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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