文明を変えた植物たち コロンブスが遺した種子 (NHKブックス 1183)
- NHK出版 (2011年8月30日発売)
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感想 : 21件
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784140911839
みんなの感想まとめ
この作品は、ジャガイモ、ゴム、チョコレート、唐辛子、タバコ、トウモロコシの6つの植物を通じて、彼らが歴史に与えた影響とその背景を探る内容です。著者は元大手製菓会社の開発部長で、食文化史家としての視点か...
感想・レビュー・書評
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著者が元明治製菓の人だそうでチョコレートについてはやや詳しい。ジャガイモ、ゴム、チョコレート、唐辛子、タバコ、トウモロコシについて、初期の現場の歴史から現代の活用までかなりわかりやすく述べている。基礎資料は比較的わかりやすそうなので、置いたければ調べやすそう。
個人的には、ゴムの進化の過程、アジア、アフリカへの唐辛子の流通の経路、タバコの品種の違いによる吸い方の違いなどは興味深く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一気読み。
ジャガイモ、ゴム、チョコレート(カカオ)、トウガラシ、タバコ、トウモロコシの6種について、「新大陸」におけるその歴史と「旧大陸」への伝播、与えた影響について概説している。勝因はまず何よりも、テーマをこの6つに絞り、1つ1つに1章を割いて丁寧に綴ったこと。そして、その際の朴訥と言ってもいい筆致だろう。
著者は大手製菓会社で開発部長まで昇りつめ、関連会社の社長も経験した人で、現在の肩書きは「食文化史家」。大学などへの勤務歴はないようなので、それこそ「道楽学者」なのだろう。
それかあらぬか、文章が非常に読みやすい。といっても「面白い」ところがあるわけでなく、書きぶりはむしろ真面目である。真面目に、淡々と、丁寧に、事実関係を綴っていく。その合間に著者の意見が差し挟まれているのだが、これが非常に「地に足ついた」と言おうか、いかにも企業で大成した人らしい抑制された良識と常識が感じられるのだ。結果、本書はとても読んで楽しく——かつ、読んでいていやな気持ちにならない良書になっている。文句なしにお薦めである。
2017/7/21読了 -
コロンブスが歴史の教科書に残る理由が理解できた。
その理由とは、コロンブスのアメリカ大陸到達によって、世界が明らかに変わり始めたからである。
つまり、時代の転換点だと言って良い。
ジャガイモしかり、ゴム、タバコ、梅毒、奴隷貿易しかり。今に至るまで影響を与え続けている。 -
コロンブスが新大陸を発見してヨーロッパに持ち込まれた植物のうち、その後の世界に大きな影響を与えたものとして、ジャガイモ、ゴム、チョコレート(カカオ)、トウガラシ、タバコ、トウモロコシの6つを取り上げ、その植物の源流やヨーロッパ大陸に輸入されてから生じた社会的・文化的な影響について書かれている。
特にジャガイモは、飢餓におびえていたヨーローッパにとって国力を増強させる源となり、その後のヨーロッパの隆盛やアメリカへの移民の原因になったという説は説得力があった。それまで穀物に頼っていたヨーロッパにとって、ビタミンCなど栄養素の豊富なジャガイモによって人々の食糧事情は安定し、冬には屠殺しなければならなかった豚への飼料にもなり、かえって肉の消費量が増えたという。
その他の植物についても、数奇な運命をたどった歴史とヨーロッパの人々やその後の世界に与えた影響について統計や史実に基づいて書かれている。これらの植物が元々はヨーロッパには無く、新大陸から持ち込まれたものだということを知識としては知っていたが、身近すぎてふだんは意識することもない植物の影響の大きさについて知ることができた。食べ物や嗜好品ではないゴムをあえて取り上げて、移動手段としてのタイヤだけでなく現代の電気製品の普及にとっての重要性にあらためて気づかせてくれたのもよかった。それぞれについて、日本に初めて入ってきた時の状況や人々の反応まで詳しく調べてあるのも貴重で、チョコレートを「しょくらあと」と記載した遊女の記録や、トウガラシを食べやすくマイルドにするために七味唐辛子を発明した商人や、キセルの改良による日本独自のタバコ文化など、初めて知ることも多かった。
ただし、コロンブスを始めとするヨーロッパ人による新大陸の侵略行為・先住民の虐殺行為について最後の方に数ページ書かれてはいるものの、最終的に「コロンブスへの謝辞」で締めくくっているのが学者らしい無頓着さで、非常に違和感を感じた。本書の研究内容は良かったが、ヨーロッパ人による残虐行為も長い目でみると日本の生活の豊かさに寄与したのだからと肯定するような結論は、著者の本心だったとしても到底受け入れがたかった。 -
1492年黄金とスパイスと求めて航海していたコロンブスの新大陸発見により、多くの植物がヨーロッパに運ばれました。
ここでの主役は『じゃがいも』『ゴム』『チョコレート』『唐辛子』『タバコ』『トウモロコシ』です。
それらはヨーロッパで、歴史に翻弄され、文化をつくり、その土地ごとにアレンジされ、ヨーロッパのみならずアフリカや東南アジアで栽培され、移民とともに北米にわたりその子孫がアメリカの大統領になったりもしました。
酒井信雄さんは1935年生まれ、明治製菓の偉いかたで、食文化史研究家です。
この10月~12月NHK第二の『カルチャーラジオ歴史再発見』という番組で『新大陸の植物が世界を変えた~コロンブスは何をもたらしたか 』というテーマで語っているのをたまたま聞いて面白かったのでこの本を読みました。ほとんど同じと思われます。読むのが大儀なら、ぜひラジオをお聴きください。優しいおじいちゃんという感じ。http://www.nhk.or.jp/r2bunka/ch02/index.html -
k
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ジャガイモ、ゴム、チョコレート、トウガラシ、
タバコ、トウモロコシの歴史。
チョコレートとタバコの項目が面白かったです。
フランスで始まった嗅ぎたばこ
嗅ぎたばこは細かい粉を鼻から吸い込むからくしゃみが出るらしい。
だから当時は相手への嗅ぎたばこの勧め方から、最後のくしゃみまでの
一連のしぐさを優雅に行うための作法があったと・・
くしゃみに優雅もなにもあるのかと思わず笑ってしまった。
引用、参考文献にもいろいろ興味深い本がありました -
コロンブスはイスラム文化圏を通らずにアジアからスパイス類や黄金類を持ち帰るために西へのルートで航海し、アメリカ大陸に到達した。その大陸からさまざまな植物がヨーロッパ大陸に伝来した。世界の発展に貢献したジャガイモ、トウモロコシ、カカオ、トウガラシ、ゴム、タバコについて学んでみませんか。
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新大陸からもたらされた植物がヨーロッパの栄養状態を改善し、数々の文化が花開くようになっていく。
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中南米から欧州に渡り、欧州の近代を変えたジャガイモ、トウモロコシ、カカオ。特に、肉の生産はトウモロコシとジャガイモなしには成立しなかった。近代の成り立ちを教えてくれる。
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新大陸から持ちこまれた6つの植物がヨーロッパをはじめとした旧世界にもたらした影響がテーマ。改めて、アメリカ大陸の植物が人類の生活に果たした役割が大きいことを知らされた。そして、トウモロコシがアフリカでは主食として、先進国では飼料として利用されているという実態に考えさせられる。
ヨーロッパでは、ジャガイモによって、家畜を越冬させるための十分な餌を確保できるようになった。そのため、秋の終りに一斉にブタを殺して肉を塩漬けにする必要がなくなり、季節を問わずに新鮮な肉を食べることができるようになった。ジャガイモは寒冷地でも育ち、同じ面積の畑から得られるエネルギーは、麦類の4倍以上ある。
天然ゴムの樹液が採取されるパラゴムの原産地はアマゾン川流域。19世紀までの取引の中心だったマナウスは世界で最も豊かな街だった。パラゴムの種子はイギリス政府の要請を受けた探検家によって密かに持ち出され、東南アジアに栽培された。天然ゴムの80%はタイヤに使われており、飛行機のタイヤとコンドームは合成ゴムが敵わない分野。
カカオの木の原産地はアマゾン川上流域。カカオ豆をローストして砕き、殻と胚芽を除いたものがカカオマス。ココア粉は、カカオマスに含まれるカカオバターの3分の2を絞りとったもの。カカオマスに砂糖とバニラを混ぜ、カカオバターを加えたものが固形チョコレート。
トウガラシは、BC8000〜7500年頃にペルーのアンデス山脈で栽培されていた。世界に広がったアンヌーム種はメキシコが原産。ブラジルで栽培されていたアンヌーム種をポルトガル人がアフリカやアジアに伝え、それ自体にうま味が欠ける野菜の多い貧しい人々の食生活にアクセントをつけるものとして広がった。中国料理の中でもトウガラシが好まれているのは、昔からカラシやサンショウなどの辛味が使われていた四川料理。タバスコ・ソースは、岩塩と穀物酢を加えて長期間熟成させたもの。日本にも16世紀半ばには伝わった。しかし、素材の味を生かすために、ねぎ、セリ、シソ、ミョウガ、ミツバなどの味や香りが控えめな香辛料を好む食文化を持っていたため、なかなか入り込めなかった。
ペストの流行時には、タバコが特効薬であるという説が広まり、子どもも吸うことを強いられたほどだった。
トウモロコシは、デンプンや繊維質の生産性が非常に高い。種子の量に対する収穫量も高く、一粒の種子から800粒を収穫することもできる。様々な気候に適応しており、広い地域で栽培可能。ただし、含まれているタンパク質のアミノ酸価は低いため、副食でタンパク質を補う必要がある。アフリカでは、新大陸に運ぶ奴隷たちに船内で与える食料を得るために栽培が始まり、地域の人々にも広がった。アメリカでは、生産量の45%が家畜によって消費されている。日本でも、輸入トウモロコシの70%が家畜や家禽向けの配合飼料の原料となっている。残りの22%はコーンスターチ(水あめ、異性化糖、ブドウ糖)の原料、7%はコーングリッツ(醸造、製菓)。配合飼料の50%前後がトウモロコシで、ダイズ粕13%、コーリャン5%が続く。日本人は、米と小麦を合わせた量とほぼ同じトウモロコシを肉に変換して消費している。青刈りトウモロコシの植物体すべてを裁断して、サイロで1か月くらい乳酸発酵したものがサイレージと呼ばれる飼料。 -
コーヒー、ゴム、トウモロコシなど、新大陸からもたらされた世界の変化を改めて知った一冊。
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新大陸からヨーロッパに持ち込まれた植物の中の6種(ジャガイモ、ゴム、カカオ、トウガラシ、タバコ、トウモロコシ)について、その伝播の経緯から社会的影響までをコンパクトにまとめている。 ヨーロッパの食糧事情を一変させヨーロッパ諸国の隆盛を支えたジャガイモ、自転車のタイヤから始まり自動車の発明と共に発達しいまだにこれを超える代替品のないゴム、植民地経済を支えたタバコ、穀物飼料として優れているトウモロコシ。 ヨーロッパが享受した恩恵にとどまらず、最後に、コロンブス以降のヨーロッパから新大陸に持ち込まれた食物、家畜、そして疫病について触れ、新大陸の被った壊滅的な被害についても言及している。
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コロンブスの新大陸発見以降に世界へ拡がり、文明、産業構造、食文化を大きく変えた複数の植物。それぞれの伝播・活用の歴史が様々なエピソードを盛り込みつつ、簡潔にまとめられている。伝播によるメリットだけでなく、先住民虐殺等引き起こされたデメリットについても言及されている点がいいね。
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南米からヨーロッパに伝わったジャガイモ、ゴムなどによるヨーロッパと世界の変化を、植物ごとに綴っている。ジャガイモがヨーロッパに伝わるまでは、新鮮な肉は冬場には食べられなかったそうだ。冬は豚に食べさせる飼料が少なく、繁殖用だけ残して塩漬けにしていたところ、安定して生産できるジャガイモを飼料として与えることで、冬も豚を生かしておくことが出来たと。本来はコショウによる保存を目指して旅に出たが、ジャガイモがその代わりになったとは。
ゴム、タバコなど、文明に大きな影響を与えた植物たち。近代の「欧米的生活」は、南米にもたらされたと言ってもよい。
スローな人生を送っていたであろう南米からいろいろなものを持ち帰り、大規模化・スピード化を果たしたというのは、なんとも皮肉だ。本書のテーマではないが、南米の食生活の今昔も気になるところ。
