希望の日本農業論 (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140912195

作品紹介・あらすじ

世界の農業の3つの潮流。日本が選択すべき道はどれか?戦後の農政、農協のあり方を検証し直し、日本が目指すべき「成熟先進国型農業」を実践する国内外の豊富な成功事例を提示しながら、日本農業再生のための条件を探る。

感想・レビュー・書評

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  •  政策提言の書。文章が滑らかすぎて主張を鵜呑みにしてしまう(褒めてる)。

    【書誌情報】
    著者:大泉 一貫[おおいずみ・かずぬき] (1949-) 農政学、地域政策学。
     〈http://ohizumi.jp/
    発売日:2014年07月23日
    定価:1,320円(本体1,200円)
    判型:B6判
    ページ数:240
    商品コード:0091219
    Cコード:C1361(農林業)
    ISBN:978-4-14-091219-5
    シリーズ:NHKブックス No.1219
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000912192014.html

    【簡易目次】
    第1章 日本の農業は稲作偏重農政で衰退し続けてきた 015
    第2章 稲作偏重が生む日本農業の不思議 029
    第3章 成熟先進国型の農業で成長産業を目指せ 059
    第4章 我が国の農業を成長産業に 081
    第5章 稲作・水田農業の成長を考える 111
    第6章 何といっても必要とされる経営者 145
    第7章 農協の改革は可能か? 181
    終章 自由貿易交渉と成熟先進国型農業構築の可能性 213


    【目次】
    目次 [003-008]
    はじめに [009-013]


    第一章 日本の農業は稲作偏重農政で衰退し続けてきた 015
      稲作の一人負け
      輸出小国の日本
      稲作の生産調整で輸出に消極的になった日本
      論出したくてもノウハウが見当たらない
      稲作偏重農政が続く日本
      三つの「負の特徴」


    第二章 稲作偏重が生む日本農業の不思議 029
    1 稲作偏重農政が生む農業生産の不思議 030
      稲作偏重農政が生む農業システムの複雑化
      生産調整するコメと生産拡大するコメ
      コメを輸出するためには生産調整が必要?
      「生産拡大してもいいコメ」はなぜ生まれたのか
      生産調整しているのにコメを輸入するという不思議
      不自然な計画経済から生まれる不正
    2 なぜ稲作偏重農政が続くのか 041
      稲作偏重農政の本質
      稲作偏重を招くロジック
      米価は農村の社会保障政策のツールと化した
      米価は「政官業のトライアングル」によって支えられた
      稲作偏重農政とは、実は農家保護農政である
    3 政局化する農政が日本農業の課題 
      農業成長か農家保護か
      米政策改革大綱と品目横断的経営安定政策
      全農七〇〇〇円ショック
      農政の逆流
      民主党の戸別所得補償
      自民党「攻めの農林水産業」を打ち出す


    第三章 成熟先進国型の農業で成長産業を目指せ 059
    1 成熟先進国型農業とは何か 060
      世界には三つの農業の型がある
      成熟先進国型農業登場まで
      成熟先進国型農業の四つの特徴
    2 オランダ・デンマークの成熟先進国型農業 068
      情報産業化するオランダ農業
      農業技術輸出に見る知識産業化
      オランダの戦略を見習った韓国農業の戦略
      シリコンバレーならぬフードバレーを作るオランダの戦略
      ニッチ戦略で顧客指向を貫くデンマーク農業
      デンマークアーラフーズかフォンテラか?
      オランダ・デンマーク農業の教訓


    第四章 我が国の農業を成長産業に 081
    1 日本の先進農業県 082
      我が国の農業県は成長法則を踏まえている
      ①顧客指向型農業
      ②新規投資に前向きで生産性の向上を目指す農業
      ③他産業とのネットワーク、融合化
      成熟先進国型農業を目指す農業の成長法則
    2 日本農業の挑戦 088
      「営農・販売会社」の登場
      マーケットインという当たり前の手法
      営業が商談をまとめられなければ農業の仕事が発生しない
      マーケットニーズを背景にした農業者教育
      ニーズを実感できる直売所というビジネスモデル
      他産業と連携して生産性を上げる日本の農業
      「融合産業」というビジネスモデル
      農商工連携法と六次産業化法
      六次産業化の不安材料


    第五章 稲作・水田農業の成長を考える 111
    1 大規模水田複合経営への道 112
      農家が減少し、否が応でも進む規模拡大
      機関車農家論と離農政策
      収益力の違いについて
      収益力の高い大規模水田複合経営とは
      自立した水田農業への道
      内圃と外圃
      稲作での粗放と集約の関係はどうだったのか
    2 コメの輸出の可能性 128
      「攻めの農林水産業」
      ターゲットは国際コメ市場
      思いはあっても世界ではマイナーな日本のコメ
      コメ輸出は可能か?
      我が国のコメ輸出戦略
      技術支援や現地生産など世界で展開する日本のコメ作り
      コメの価格競争力は弱くはない
      世界のコメ価格は日本で作られるという戦略構想を


    第六章 何といっても必要とされる経営者 145
    1 成熟先進国型農業には経営者が必要 146
      農村自営業者の存在が我が国農村の健全さだった
      百姓像の転換
      「一国の元気は中産にあり」
      農業経営者の復活が我が国農業を救う
    2 我が国のどこに農業経営者がいるのか? 154
      農家はいるが経営者はいない我が国農村
      多様な農家概念と農家の実態
      「効率的かつ安定的な農業経営」の育成
      農業経営の定義と三種類の農業経営解釈
      販売額で経営者の特定を試みると
      農業を成長軌道に乗せるには
    3 国民に農業を開放し新規参入を進める 168
      農業生産法人による企業参入
      二〇〇〇年以降の農業経営政策 
      「農地法」という壁
      所有から利用へ―― 二〇〇九年農地法改正
      自治体の関与―― 二〇〇九年の前史
      農地中間管理機構への期待と懸念
      農業も農業経営者も普通になることが大切


    第七章 農協の改革は可能か? 181
    1 稲作偏重農政を続けている農協 182
      農協総合事業の実態
      農協はなぜ米価維持に固執するのか
      行政の下請け機能を持つ民間団体
      集落営農への固執
      営農指導・販売事業の弱体化
    2 進む農協の脱農化 192
      農協の変化がはじまった一九九〇年前後
      信用事業が先行した農協改革と農協の金融機関化
      准組合員・非農業者の増加による地域組合化
      事業ごとに進む子会社化・株式会社化
      農協の実態は矛盾統合体
    3 農協改革で農業を成長産業に 200
      農協批判の八つの類型
      自立的農協を築くための七つの基準
      農業振興団体を別組織にして農業成長を実現
      農協改革で農業を成長産業に


    終章 自由貿易交渉と成熟先進国型農業構築の可能性 213
    1 TPPと日本農業の選択 214
      TPP交渉への四つのポイント
      経済成長の恩恵に浴してきた農村経済
      貿易自由化に反対して農業を衰退させた日本
      国際交渉力が試される舞台
      国際化時代をどう認識するか――アジアの成長の取り込みに後れをとる日本
    2 戦後農政システムの終わりと日本農業の未来 222
      あらためて「稲作偏重農政」とは何か?
      役割を終えた戦後農政システム
      希望はどこにあるのか
      戦後農家システムの転換がはじまった


    おわりに(二〇一四年六月 著者) [229-233]
    主要参考文献 [234-237]

  • 元々私は「農業は工業とは異なる」と決めつけていたが、本書を読むと日本の農業は全然捨てたものではないと希望がもてる。
    因みに国民一人当たりの農業産出額は日本は世界で7位という好成績をであることを多くの人は知らない。(因みに私は本書で初めて知った)

    全ては政策如何でどうにでもなるとのこと。

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著者プロフィール

宮城大学名誉教授

「2023年 『農林水産法研究 創刊第1号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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