納豆の起源 (NHKブックス)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140912232

作品紹介・あらすじ

二〇〇〇年冬、ラオスで出会った「トゥアナオ」(腐った豆)との出会いをきっかけに、著者は納豆の起源を追い求めて、ラオス・タイ・ミャンマー・インド・ネパールでの納豆調査を開始。本書は、約一五年にわたる納豆研究の集大成となる書。糸引きではないセンベイ状・ペースト状など様々な形状、地域によってバラエティに富む発酵方法・調理法など、アジアには私たちの想像を超える納豆文化の多様性が見られた。と同時に、日本から何千キロも離れた地域では、私たちと同じようにご飯と一緒に納豆を食べる人たちもいた。東南アジア大陸部からヒマラヤまでの照葉樹林帯を横断、納豆の起源に迫る!

感想・レビュー・書評

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  • 納豆といえば和食の印象が強い。しかし、アジア各国に目を向けてみると国ごと似たような納豆文化が存在する。
    本書は、そうしたアジア各国の納豆文化を紹介している

    【こんな人におすすめ】
    世界の納豆文化に興味がある

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001056386

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99737865

  •  読了せず。
     さすが科研費を取った研究をベースとして書かれた本であり、論文調というか説明的というか、きちんと書かれている。けれども、物語がそこにないので納豆に死ぬほど興味が無い限り読みすすめるのはしんどい。

     高野秀行さんの「謎のアジア納豆」のレビューでこの本のぱくりじゃないか的ものを見てからこれを読んでみたのだけれども、全く種類の違う話。
     高野秀行さんの方は、気になって見に行って体験したと言う物語で、正確さは置いておくとして(研究者でもなく主観的であるので)、面白さ読みやすさはあちらになるなぁ……。

     なので、おそらく正確さや論理立てしたわかりやすさはこちらになるのだろうな、と思う。

  • 横山先生の授業を取っているので参考文献として読んだ。照葉樹林文化論ってかなり主観が入った論だなあと思った。日本以外の納豆も是非食べてみたい。

  • この本の定義によれば、納豆とは、大豆を茹でて塩を加えずに枯草菌で発酵させた食品のこと。納豆は、ラオス、タイ、ミャンマー、インドのいずれも北部、中国との国境に近い地域とネパールにもある。日本で使われている納豆菌は、枯草菌のうち、ビオチン要求性を示し、糸(γ-ポリグルタミン酸)を生成する変種のこと。つまり、日本以外の納豆は、糸を引くとは限らない。著者によれば、それでも納豆の味がするらしい。インドネシアやラオスには、枯草菌の代わりにカビ(ニホンコウジカビ、ケカビ、クモノスカビ、アカパンカビ)で発酵させた大豆食品もあると書いてあったが、それはつまり、塩を加えずに味噌や醤油を作るようなものか。2015年1月18日付け読売新聞書評欄「著者来店」。

  • アジアの納豆についての綿密なフィールドワークの記録。タイ北部やミャンマー、ネパールに、実に多様な納豆が作られているのに驚嘆した。「謎のアジア納豆」でも紹介されていたが、学者の調査だけに徹底している。納豆料理を作りたくなった。

  • 納豆は日本独自のものかと思っていると、東南アジア(ミャンマー・タイの山岳部[シャン族の地域]・ラオス等)、ネパール・ブータンにかけて、同じような、そしてもっとバリエーションに富んだ納豆(大豆の無塩発酵食品)が存在する。それも、かなり美味しいらしい。ミャンマーでは、ソウルフード的な位置づけになる地域もあるようだ。
    高野秀行氏の納豆紀行?の連載を愛読していたのだが、こちらの方が学問的に厳密で詳しい。

    形態としては「粒状」「ひき割り」「ひき割りで乾燥」で、茹でた豆を植物に包んで自然発酵させる手順はどこもほぼ同じ。包む植物はバナナの葉から、シダ、日本と同じワラや新聞紙、ビニール袋というものまで、何でもありの状態で、要はほぼ自然に発酵させればできるということだ。調味料的な使い方でカオ・ソーイ(ラオスのコメの麺)に入れたりもする。唐辛子や調味料と混ぜたり、油であげたりもするようだ。中国南部の「豆鼓(トウチ)」も大豆の塩入り麹発酵食品で、このバリエーションとして雲南省あたりの人の移動に伴って伝わった可能性もあるし、自然にできるので、各地で独自に発達した可能性もある。秋田県には納豆発祥の地の石碑まであるくらいだから。

    平安時代から納豆はあったようで、精進料理に重宝されたようだ。江戸時代には日本でも道端でひきわり納豆を売っていて、これをお湯に溶いた納豆汁が毎日普通に飲まれていたようで、関東地方にその後も納豆売りが多かったのはそのせいではないかと考えられている。東北地方では今でもこの納豆汁が主流。温まるので冬の季語にもなっている。一方、関西では自宅で作っていたためか、同じ大豆発酵食品の味噌が互換していたためか、納豆売りは少なかったようだ。

    照葉樹林文化圏という名称は、かなり大雑把な分類で正確性に欠けるそうだが、今から6000年ほど前の今より暖かかった頃の中国の長江中下流域以南と東南アジアの「東亜半月弧」地域で、稲や大豆の栽培が始まり、この中の限られた地域で大豆発酵食品のバリエーション(豆鼓・味噌醤油・納豆)ができ、その中の納豆に共通の特徴が見られ、日本がそこに含まれていることは非常に興味深い。

    ちなみに、韓国にも納豆があるが、中国にはない。
    インドネシアにはテンペ菌でつくるテンペがある。
    納豆の語源はよくわかっていないようだが、タイやラオスでは「トー(豆)ナオ(腐った)」と言うそうで、関係あるとすれば、ちょっと出来過ぎ。

  • 2015年8月新着

  • 読書録「納豆の起源」5

    著者 横山智
    出版 NHKBOOKS

    p242より引用
    “最初に見たネパールの納豆が新聞紙と段
    ボールでつくられていたことに、正直、がっ
    かりした。”

    目次から抜粋引用
    “大豆と日本の納豆
     世界の納豆
     納豆交差点
     多様なる調理法
     納豆の聖地へ”

     地理学を専門とする理学博士による、日本
    人に馴染み深い食べもの、納豆について調査
    した一冊。
     著者がラオスでであった納豆をきっかけと
    し、納豆の存在する地域の多くを著者自らの
    足を使って調べ上げられています。

     上記の引用は、ネパール東部・ライ族の納
    豆の作り方についての一文。
    がっかりというよりもびっくりです。
    日本の昔の納豆は、藁苞に茹でた納豆を入れ
    て作るという方法だったそうです。
    この本に出てくる他の地域の、納豆の作り方
    も、大抵何がしかの植物が関わっている事が
    多いようですが、必ずしも植物が必要という
    わけではないようですね。
     こうして納豆を作る菌が何処にでもいるよ
    うに思うと、「本当に大切なものは目には見
    えないんだよ」という、星の王子さまの一節
    を思い出します。
     数多くの現地調査が行われており、大変な
    労作だと思います。納豆が好きな人や、普段
    好きでなくても食べる機会がある人は、読ん
    で損はない一冊ではないでしょうか。

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著者プロフィール

名古屋大学大学院環境学研究科教授。
筑波大学大学院地球科学研究科博士後期課程中退。
博士(理学)。
専門:地理学、東南アジア研究

「2014年 『国境と少数民族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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