『古事記』 2013年9月 (100分 de 名著)

制作 : 三浦 佑之 
  • NHK出版
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142230303

感想・レビュー・書評

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  • 日本の昔の歴史を垣間見ることができる.日本の基礎知識として知りたい一冊.

  • NHKテレビの「100de名著」シリーズの一冊で、今回は『古事記』。昨年末に「世界ふしぎ発見」で、春香クリスティーンがミステリーハンターをつとめる、『平成の大遷宮から日本の古代へ 伊勢・出雲・纏向(まきむく)』という特集をやっていた。出雲大社の建築構造は独特なのだが、纏向遺跡では、出雲大社に似た構造の建築物があったという。つまり、出雲大社と伊勢神宮の交流を示すものが、奈良の纏向遺跡から見つかったということだ。やはり、古代史にはロマンがあるなあ、と感じる。

    さて、100分de名著に戻ると、著者の三浦佑之先生は次のようにいう。

    ・古事記は日本書紀とはことなる性質を持っている。具体的には、日本書紀はヤマト王権の正当性を示すために編まれたものであるのに対して、古事記は正統であるはずの天皇が悪役になっているような場面もあり、ヤマトの支配権が確立するまでの艱難辛苦を物語として伝えているものだろう。

    ・さらには、古事記には南方系(縄文人)の民族や古い文化要素が濃厚に見られる。つまり、ヤマト王権以前の歴史も引き継がれている。

    ・おそらくは、聖徳太子と蘇我馬子によって「天皇記・国記」に連なる意識を持って編まれたであろうが、最終的に日本書紀が日本の正史になったので、方向性の違う古事記は主流から外れ、片隅に追いやられた。そして、本居宣長に再発見されるまで顧みられなかった。

    TVでは4回に分けて放送されたようだ。薄い本なので、古事記の世界を垣間見るには、格好の本だと思う。

  • 201310読了 ビギナーズ・クラシックからの流れで。わかりやすい。古事記と日本書紀の成り立ちの違いを再認識。歴史を多面的に知るとおもしろい。

  • 今まで、存在は知っていたけど内容はさっぱりだった本の代表格。今回読んでみて、だいたいどんな内容なのかはつかめたと思う。史学科の先生が、古事記の神々の話は面白いと言っていたけど、その通りで、神様と言ってもなんだか人間味のあるものが多かったかな?
    内容を噛み砕いたものなら、今後また古事記は読んでみたいと思った。

  •  2012年が古事記編纂1300年とされ(筆者は異論あり)、2013年の今年は伊勢神宮と出雲大社が式年遷宮の年ということで、報道も多いし出版も多彩だ。改めて古事記を読み直そうというのは自然な流れだ。

     いつもながらこの「100分de名著」シリーズは気に入っている。テキストと共に4回の放送であらゆる名著を分析・解説してくれる。テキストの他に映像が理解を助けてくれる。特に今回のような古典は尚更だ。原文は簡単には読めないものだし、それぞれの専門書に任せれば良い。

     古事記はいわゆる歴史書ではない。神話など物語のなのだそうだ。時の政権の正統性を示すための書ではない。なぜなら勝者側からの話のみではなく、敗者側から見た物語があるのだという。そういう意味での日本書紀との比較も面白かった。

  • (2013.11.01読了)(2013.08.27購入)
    『古事記』と『日本書紀』は、天皇の命令により同時期に編纂されたものと思っていたのですが、古事記の完成時期は、712年頃で、日本書紀の完成時期は、720年頃ということです。さらに、古事記の序は、後世に付け加えられたもので、天皇の命によって編纂されたものではなさそうということです。
    古事記は、神話・伝承を収集して編纂したという感じのものです。日本書紀の最初の方も、神話が含まれていますが、大和政権につながるものが主となっているようです。
    古事記は、日本書紀よりも幅広い地域の神話を収録しており、その中でも出雲神話が特に多いようです。
    古事記は、いつ、誰によって、何のために編纂されたのかというのは、謎として残っているようです。とはいえ、内容としては、結構面白いものといえそうです。
    この本の著者によって『口語訳古事記』(文芸春秋)が書かれて、文庫にもなっているようです。興味ある方は、書店で手に取ってみてください。

    【目次】
    【はじめに】古事記はこんなにおもしろい
    第1回 世界と人間の誕生
    第2回 文化と農耕の起源
    第3回 出雲神話という謎
    第4回 古事記の正体とは

    ●古事記(7頁)
    古事記で語られているのは、正史として編纂された日本書紀とは異なる物語、つまりヤマトに生まれた王権によって日本列島が統一される以前の、正史からこぼれた生き生きした豊かな物語です。古事記はむしろ、中央に背いた者や、争いに敗れて消えていった者たちの無念や悲劇の方に重点が置かれているように読めます。
    ●母音が八つ(16頁)
    この国の古い日本語には「上代特殊仮名遣い」と呼ばれる用法があり、現代の母音は「あいうえお」の五つですが、八世紀(奈良時代)以前には八つありました。「あいうえお」の「い」「え」「お」の列には発音が二種類ずつある音節があって、「きひみけへめこそとのよろ」(濁音も含む)の十二音については当てる漢字を使い分けていました。
    ●神話(17頁)
    古代における神話の存在は「われわれが、ここに、このようにある理由を説明するもの」、つまり人が生きるための根拠が神話によって明らかにされているのだと考えられます。われわれはなぜ生まれてきたのか、われわれの目の前にあるこの世界は、なぜこのような形になっているのかといったことを、神話は教えてくれているのです。
    ●イザナミとイザナキ(24頁)
    この物語から、わたしたちは大事なことを学びます。人は死ぬと黄泉の国というところへ行くこと、どんな美女でも死ねば腐って穢れたものになること、いったん死んだら生者の世界に戻ることはできないこと、生きているものは死者とかかわりをもってはならぬこと。
    ●人は草(26頁)
    「青草人」と言っているのですから、人と草とは同格で、「青々とした人である草」と考えなければなりません。人は草なのです。人はおのずと萌えいずる草のような存在であり、植物の仲間なのです。

    ☆関連図書(既読)
    「古事記」角川書店編・武田友宏執筆、角川ソフィア文庫、2002.08.25
    「楽しい古事記」阿刀田高著、角川文庫、2003.06.25
    「日本書紀(上)」宇治谷孟訳、講談社学術文庫、1988.06.10
    (2013年11月4日・記)
    内容紹介(amazon)
    神話から日本を読み解く
    1300年にもわたり受け継がれてきた日本最古の歴史書『古事記』。イナバの白ウサギやヤマトタケルなど、日本人に愛されてきた物語が数多く収められている。世界と人間の誕生を記し、文学性にも富んだ神話を通して、日本の成り立ちや文化的特性を探る。

  • 『日本書紀』に並ぶ、古代日本の様子が語られている『古事記』。
    『日本書紀』は中心国家が諸外国に向けたわが国の成り立ちと、天皇の統治の正当性を示すであるのに対し、『古事記』は日本書紀ではあまり語られていない出雲の神話が上巻ではその三分の一ものボリュームで語られていることに注目したい。 このテキストは古事記入門的な内容で、分りやすく書かれている。 我々日本人がどこからやってきて、どのように国家を作っていったのか、そして彼らの垂直的、あるいは水平的世界観も興味深い。神話に語られた内容の背景にはどのようなことがあったのか、今尚ロマンをかき立てる出雲神話を通して、日本海文化圏の盛衰の様子も垣間見えてくる。そして最も惹き付けられるのは、これが日本書紀とは違い、敗者に対する同情的な内容をも含んでいることである。つまり、中心国家にとっては都合の悪いことも、臭わすように書かれており、登場人物がより人間味を帯びていて魅力的である。

  • ■書名

    書名:『古事記』 2013年9月 (100分 de 名著)
    著者:三浦 佑之

    ■概要

    神話から日本を読み解く
    1300年にもわたり受け継がれてきた日本最古の歴史書『古事記』。
    イナバの白ウサギやヤマトタケルなど、日本人に愛されてきた物語
    が数多く収められている。世界と人間の誕生を記し、文学性にも富
    んだ神話を通して、日本の成り立ちや文化的特性を探る。
    (From amazon)

    ■感想

    古事記についての解説書です。
    が、しかし。
    いかんせん、古事記本編が長すぎるのか、結局一部の話し(出雲神話)
    を少し解説するにとどまっています。

    けど、私を含め、古事記を知らない人には、参考になる本だとは思い
    ます。

    しかし、個人的には登場人物の名前が覚えにくい!!
    もう人物多いし、名前覚えにくいしというのはありますが、それを
    乗り越える事が出来れば、神話として楽しめる本だと思います。
    けど、この解説書で開設されているような深読みをしながら、古事記
    を読む人、少ないのでは?とは思いますけど。


    これを読んで、本編を読んでみたいと思いますけど、なんか、長そ
    うだな~と少し距離を置いてしまいますね。

    自分にとっては、無駄にハードルが高い本です。

  • NHK Eテレでやっている100de名著の本です。

    日本書紀と並ぶ最古の歴史書という習い方をするだけではもったいないほど魅力的な書物だったのだという発見がありました。
    テレビ番組の内容と合わせて読むことで、日本人の根源とは何か、人間とは何かというのを見直すいいきっかけになりました。

    征服者としてのヤマト政権の正史である日本書紀とは違い、北方系の人、南方系の人、勝った人、負けた人、歴史の闇に消えた人などの物語が入っているのが古事記の魅力だと思います。

    歴史とは見方によって色々な側面があって、「歴史は一つではない」という言葉が一番心に残りました。

  • 著者のちくま新書「古事記を読みなおす」を読了していたのだが、気付かずに買ってしまった。内容的に大きな刺激はなかったが、やはりテレビとのコラボは印象の残り方が格段に違う。100分de名著は正に教育番組の鏡ではなかろうか。

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