男の争い (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1745)
- 早川書房 (2003年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150017453
作品紹介・あらすじ
強盗の罪で服役したトニーは、五年の刑を終え、病を得てパリの街へ舞い戻った。旧友のジョーとともに計画していた大規模な宝石店強盗のためだ。思わしくない体調をごまかしつつ、深夜の店に押し入ったトニーたちは、首尾よく二億五千万フランもの宝石を手にした。だが、ふとしたことから彼らの犯行だと嗅ぎつけた凶悪なギャングのソラ三兄弟が、猟犬のように獲物の横取りを狙う。凄惨な拷問、容赦ない暴行、襲撃、そして反撃-争奪戦が最高潮に達したとき、ついに敵は卑劣な手を!巨匠ジュールズ・ダッシン監督が映画化した名品、ついに登場。
感想・レビュー・書評
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フランスの作家「オーギュスト・ル・ブルトン」の長篇ミステリ作品『男の争い(原題:Du Rififi chez les hommes)』を読みました。
「モーリス・ルブラン」に続き、フランス作家の作品です。
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血で血を洗う争奪戦!これが本物のノワールだ
刑務所で肺病を病んで出所した「トニー」は、パリの暗黒街に舞い戻る。
旧友と共に宝石店襲撃を実行するが…。
映画化されたノワールの名作。
「ポケミス名画座」シリーズ。
ポケミス50周年記念出版。
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1953年(昭和28年)に刊行されたロマン・ノワール(暗黒小説)の傑作と呼ばれている作品です… 「オーギュスト・ル・ブルトン」は、小説家としてデビューする前はパリ暗黒街の一員だったらしく、自分が熟知する世界をそのまま小説の舞台にしたみたいですね、、、
元スパイがスパイ小説を描いた「ジョン・ル・カレ」や「ジェイソン・マシューズ」と同じような感じですかね… 1955年(昭和30年)に映画化されており、小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版の名画座シリーズで読みました。
強盗の罪で服役した「トニー」は、5年の刑を終え、病を得てパリの街へ舞い戻った… 旧友の「ジョー」、仲間の「マリオ」、その友人でイタリアから呼び寄せた金庫破りの「セザール」とともに計画していた大規模な宝石店強盗のためだ、、、
思わしくない体調をごまかしつつ、深夜の店に押し入った「トニー」たちは、首尾よく2億5千万フランもの宝石を手にした… だが、ふとしたことから彼らの犯行だと嗅ぎつけた凶悪なギャングの「ソラ三兄弟」が、猟犬のように獲物の横取りを狙い、血みどろの争いに発展する。
「ソラ三兄弟」は、歌手の「ヴィヴィアーヌ」の魅力に惹きつけられた「セザール」を捕らえて口を割らせてから殺害、次に「マリオ」に近付くが、「マリオ」は口を割らされる前に「ソラ三兄弟」の次男「アーメド」を道連れにして自動車事故で死亡… 生き残った「ソラ三兄弟」の長男「ピエール」と三男「アリ」は、「ジョー」の息子「トニオ」を誘拐するという卑劣な手段を選択する、、、
「トニー」と「ジョー」は、「トニオ」を奪い返そうと奔走する… 凄惨な拷問、容赦ない暴行、襲撃、そして反撃と、暴力が平然と描かれる、なかなかハードな作品でしたね。
ノワールって、悪人が主人公の場合が多く感情移入し難くて苦手なんですよね… でも、本作品は、「トニー」や「ジョー」等の主人公は悪人なんだけど、その敵となる「ソラ三兄弟」がさらに悪い奴等なので、「ソラ三兄弟」の悪事が活発化する中盤あたりから「トニー」や「ジョー」に感情移入できて、意外と愉しく読めました、、、
次々と仲間が葬られた後、「トニー」が旧友の息子「トニオ」を救うために、大切なものを守るために、命を賭けて行動する終盤は一気読みでしたね… 哀しくて、痛ましいけど鮮烈な結末でした。
読後の印象が、フランスのヌーベルバーグ作品を観たときに近い感じでしたね… このジャンル、意外と好きになるかも、、、
映画化されているようなので、機会があれば観てみたいですね。
以下、主な登場人物です。
「トニー」
刑務所帰りの男
「ジョー」
トニーの親友
「ルイーズ」
ジョーの妻
「トニオ」
ジョーの息子
「マリオ」
トニーとジョーの仲間
「イダ」
マリオの愛人
「イヴォンヌ」
マリオの二番目の愛人
「セザール」
マリオの友人。金庫破り
「マド」
トニーのかつての愛人
「ピエール」
ソラ三兄弟の長男。マドの愛人
「アーメド」
ソラ三兄弟の次男。
「アリ」
ソラ三兄弟の三男。
「ヴィヴィアーヌ」
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