サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (10ページ) / ISBN・EAN: 9784150109899

みんなの感想まとめ

多様な作品が収められたこのSF傑作選は、特に「鏖戦」が印象的で、異星人との生存戦争を描いたハードコアな内容が特徴です。難解な造語が散りばめられ、形而上的な思索が文明の破滅を描く様子は、読者を圧倒します...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • [胎動]:マイクル・ビショップ
     ちょっと困ったな。よくわからんというか、つまらんというか。
     わけがわからないうちに世界中の人間が自分の住んでいた土地から見知らぬ土地へと移され、家族と離ればなれになり、文化的バックグラウンドを失ったとき、人間はどう行動するのか、という主題だと思うんだけど、いまいちもの足りない。ラストでコロンブスの墓を壊すのは、新大陸発見以後の文明、つまりアメリカの歴史をもう一度白紙に戻して、文明を再構築するというのを象徴しているんだろうとは読みとれたけど、どうしてこんなことが起きたのかというのがほったらかしだから、SFとしてはいまいち。
     苦手なタイプ。

    [祈り]:ジョアンナ・ラス
     最初はこれのどこがSFなんだよ、つまらんもの読ませやがって、と思いながら読んでたけど、やっぱこれはSFに入るかな。
     ラーデグンデ院長が海賊の素性を言い当てるところは、奇跡でもなんでもなくただ観察力が優れているだけだと思わせといて、死にかけの男が本当に生き返るからちょっとびっくり。本当に奇跡が起こったのかなと思ってると、今度はラーデグンデが見せかけの人格で、本性は神を信じるわけでもないかといって悪魔でもないなにか得体の知れない存在であることがわかるというしかけ。ソールヴァルトを一瞬で操ってしまうところはちょっと恐いかな。
     まあそれにしたって、ネタ的にはたいしたことないけど、自分の同胞を必死に求める願いを宗教的な祈りとダブらせたとこがミソ。「誰ひとり愛さぬものにとって、人に親切にすることほどやさしいことはない。生も死と変わりがなければ、恐れを知らぬのもあたり前だ。」とラーデグンデが言うときの異質な感じもグッド。さすが無神論者。神様なんてどこにも出てこないし、何もしてくれない。
     ただ、ラストはよくわからんかった。なんか特別な意味でもあるのかな。

    [間諜]:ブルース・スターリング
     スターリングらしいガジェットをいっぱい詰め込んだカッコいいSF。けどインパクトはちょっと弱いかな。オチもいまいちわからなかったし。地上の人間を殺そうとしたスパイとしての人格の裏に、さらに軌道民をころした虐殺者としての人格が二重に隠されていたということか?それがヴェールの両側から見ているということなのかな。

    [確率パイプライン]:ルーディ・ラッカー&マーク・レイドロー
     最初サーフィンやドラッグの話で始まったんで、ちょっとやばいかな、と思ったけど、カオス・アトラクターとか、フラクタルが出てきてからはバッチリ。数学理論が直接現実に応用できるとしたら、という仮定で小説書かせたらやっぱラッカー世界一。宇宙も神様もメルトダウンもなんでもありで「時空の支配者」にも通じるマッドな感じはいいっす。オチはしょうもないけどね。
     レイドローはなにやってたん?

    [ペーパー・ドラゴン]:ジェイムズ・P・ブレイロック
     地味。なんでこれが世界幻想文学大賞なの?わからん。竜を自作しようとした男が、師匠が帰ってこないって理由で、途中でやめちゃっただけ。ファンタジー本来の奔放な想像力とかいってヤドカリのでかいのが出てくるだけじゃん。確かに一般的な商業ファンタジーとは違ってるけど、おもしろくないんだから、それ以下ってことじゃないの。

    [血をわけた子供]:オクティビア・E・バトラー
     昔読んだときのことはすっかり忘れていたけど、改めて読み返してみて、これはいい。やってることは「エイリアン」と同じなんだけど、そこに移住先の惑星の知的生物との共生関係という意味を持たせることによって傑作になっている。
     移住者はトゥリックに保護されているかわりに、トゥリックの幼生のための宿主となる。幼生が卵からかえり、卵の殻を食べ尽くすまでに宿主から取り出して他の食料となる生物に移せばいいが、それが遅れると宿主である人間を食べ始める。この設定だけでもかなりイケてます。そこにさらに宿主となることがあらかじめ決められているガーン、子供の時に幼生を取り出すのが間に合わず食べられてしまった人間を目撃してしまったその兄という設定で、自分が自殺すれば兄を宿主にしてやれるというなかなかスリリングな心理劇もあって密度高いっす。この後の展開は実際の結末以外にもいろいろ考えられそうだけどね。刺激される。

    [ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ]:ローレンス・ワット=エヴァンズ
     なんでこれがセンス・オブ・ワンダーなの?わからん。どうして、この結末でうなるわけ?それってただインドにいるだけじゃないの。ベリオスってなんか特別な意味があるの?現実の世界には存在しない場所で、この話自体が異次元で語られているっていう設定だったらびっくりだけど。
     修行がたりんのかなあ。

    [鏖戦]:グレッグ・ベア
     む、難しい、題名(オウセンと読むらしい、みなごろしの戦争とでもいう意味か?)も内容も(翻訳も)。手強いですな、これは。
     途中で、自分がオリジナルのプルーフラックスではないと知らされるところとか、エヴァじゃ、綾波じゃと盛り上がる。最近は何読んでもエヴァとの関連性を考えちゃう傾向があるけど、この作品といい、「血をわけた子供」の血まみれのグチャグチャとしたイメージといい、この本かなりシンクロ率高いかも(^^;)。
     人類に敵対する施禰倶支が人類の研究のためにサンプルを観察している、というのはおぼろげにわかったけど、クリーヴォは阿頼厨なのかな。曼陀羅が阿頼厨がいうところの界面だということか?そうだとすると、マンデイトを使っているクリーヴォとプルーフラックスとの場面は、全部施禰倶支の実験ということになる。げっ、それってすごいかも。「宇宙の戦士」、「終わりなき戦い」に匹敵するレベルの作品かもしれない。もっと読み込まないと。
     関係ないけど、翻訳者の酒井さんってATOK使ってるとみた。(^^;)

    [帝国の夢-地上管制室よりトム少佐へ-]:イアン・マクドナルド
     心理的に無気力な状態を治療するため、仮想空間で患者の望む夢を見させるという話で、結構シリアスな要素を含んでるんだけど、この前に鏖戦を呼んじゃったから、ぬるいっす。結局その夢の中でもう一度現実を認識させることによりハッピーエンドになるんだけど、また元の無気力状態になる可能性だってあるんじゃないの。ラストも甘い。
     けど、鏖戦を読む前だったら印象も違ったかもしれないから、順番がちょっと不利だった可能性あり。

  • 鏖戦は傑作だった。
    異星人と人類の生存戦争を難解な造語で彩るハードコアSF。その中で形而上的な思索からある種の「文明の破滅」を描いたのは舌を巻く

  • 《目次》
    ・「胎動」、マイクル・ビショップ
    ・「祈り」、ジョアンナ・ラス
    ・「間諜」、ブルース・スターリング
    ・「確率パイプライン」、ルーディ・ラッカー&マーク・レイドロー
    ・「ペーパー・ドラゴン」、ジェイムズ・P・ブレイロック
    ・「血をわけた子供」、オクテイヴィア・バトラー
    ・「ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ」、ローレンス・ワット=エヴァンズ
    ・「鏖戦」、グレッグ・ベア
    ・「帝国の夢――地上管制室よりトム少佐へ――」、イアン・マクドナルド
    〔エッセイ〕
    ・「私的80年代SF論」、オースン・スコット・カード

  • おもしろかったのは、「胎動」、「血をわけた子供」、「ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ」、「鏖戦」の4作。忘れないように書いておくと、「鏖戦」は、「おうせん」と読む。「血をわけた子供」は、上巻に収録されていたコニー・ウィリスの「わが愛しき娘たちよ」と同様、気持ち悪さが印象に残る。「鏖戦」は、よく分からないところもあったが、とにかくスケールの大きさに圧倒された。「確率パイプライン」と「ペーパー・ドラゴン」の2作は、読んでもさっぱり分からなかった。
    収録作品:「胎動」(マイクル・ビショップ、小尾芙佐訳)、「祈り」(ジョアンナ・ラス、冬川亘訳)、「間諜」(ブルース・スターリング、小川隆訳)、「確率パイプライン」(ルーディ・ラッカー&マーク・レイドロー、小川隆訳)、「ペーパー・ドラゴン」(ジェイムズ・P・プレイロック、中原尚哉訳)、「血をわけた子供」(オクテイヴィア・バトラー、小野田和子訳)、「ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ」(ローレンス・ワット-エヴァンズ、中原尚哉訳)、「鏖戦」(グレッグ・ベア、酒井昭伸訳)、「帝国の夢―地上管制室よりトム少佐へ―」(イアン・マクドナルド、浅井修訳)、「〔エッセイ〕私的80年代SF論」(オースン・スコット・カード、山岸真訳)

  • 相変わらず読みにくいが、90年代が読みたくなった
    表紙   4点依光 隆
    展開   6点1968年著作
    文章   4点
    内容 605点
    合計 619点

  • 2015.11.19(木)¥220+税。
    2015.12.10(木)。

  • 105

全7件中 1 - 7件を表示

この本が好きな人におすすめの本

アンソロジーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×