フラッシュフォワード (ハヤカワ文庫 SF ソ 1-12)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150117436

作品紹介・あらすじ

全世界の人びとが自分の未来をかいま見たら、なにが起こるのか?ヨーロッパ素粒子研究所の科学者ロイドとテオは、ヒッグス粒子を発見すべく大規模な実験をおこなった。ところが、その実験は失敗におわり、そのうえ、世界じゅうの数十億の人びとの意識が数分間だけ21年後の未来にとんでしまった!人びとは、みずからが見た未来をもとに行動を起こすが、はたして未来は変更可能なのか…全米大ヒット・ドラマの原作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 2030年に死んだのは兄さんだけじゃない。ぼくも死んだんだー観光客相手のばか高い三流レストランのウエイター! ぼくだけじゃなく、ほかにも何百万という人びとが死んだはずだ。兄さんが殺したんだよ。兄さんはみんなの希望を、みんなの夢を、みんなの未来を殺したんだ

    科学技術のSFというより、20年後の姿を垣間見てしまった人々の、無意識の思考や運命にあらがう行動に焦点を当てた話。
    ロイドとミチコの愛の行方、当日の事故と混乱、将来売れることを夢見る芸術家や、独立運動家、宝くじや株で儲けようと考える人々、数十秒で一つの世界を再現するモザイク・プロジェクト。
    心当たりのない人に殺されるテオのささやかな抵抗、関係者へのききこみ、そして当日の緊迫感と結末がうまく伏線回収されてて良かった。

  • 2009年、CRENにある加速器では、ヒッグス粒子を捕まえるための実験を行っていた。実験を開始した瞬間、世界中の人が2分足らずの間、ある風景を目にする。それは21年後の自分の視点だった。21年後に今と違う妻がいる者、娘が生まれている者、そして何も見ない者。未来は固定されてしまっているのか…。

    2001年に翻訳初版が刊行された本であることを、まず頭に入れておかなければならないが、2009年に書かれたと思っても、さほど不思議のない自然な描写。読み終わるまで勘違いしていた。

    2001年以前に書かれているので、2010年代の描写がものすごく未来的で、エイズが克服されるなど、引っかかるところはある。というか、未来の描写はいまいちなのだ。

    その部分は差し引いたとしても、ここんとこ、"まあまあ"な本ばかり読んできたのもあり、久しぶりに仕事を止めてでも続きが読みたいと思えた作品である。

    21年後を見る「フラッシュフォワード」現象を軸に、人間関係を模索する者、21年の間にある事件を探す者など、ともすれば漠然としがちなテーマを、数名の視点に絞って、スリリングに描いているのは興味深い。

    またその中で「よくわからない現象だったね」で終わらせるのではなく、原因と再現まで考えるところが、最近のSFに欠けがちな部分だと思われる。

    分岐型の未来については、深く検証されることはなかったが、ビデオカメラなどの記録装置のところでほのめかされており、それだけで一つのSF作品を作れそうなテーマである。

    最終的には、2030年まで描かれてしまうのだが、そこ必要だったかな?という気持ちも若干ある。読者的にもテオがどうなるのか気になるのは仕方がないものの、ちょっと取ってつけたような話になっている。作者も激しめの描写が苦手なのか、内容もそれまでと打って変わって、状況がつかめない(理由などはわかる)。

    途中の、未来予想ネタ(トランプがピラミッドを建てる?)など、アンディ・ウィアーの作品のごとく、クスッとくるネタも散りばめられており、こういうところも読んでいるのが楽しくなるポイントであろう。

    終盤のストーリーの破綻や、ハヤカワでブックカバーに入らないなどの大きめの不満点もあれど、気に入った1冊になったので甘めの採点をしておく。

    余談。
    研究者の年齢が、26~28歳でチームリーダー、45歳でシニアリサーチャーみたいなの、21年後を描かなければいけなかったという意味では、仕方のない部分も有るだろうけれども、28歳だと大学院生だ。45歳で教授はギリギリ有りだけど、現実にはどうだろう?50超えてないとリアリティがないのでは?

    そういう年齢に対する、創作側と読者側の感覚のずれ、作者の国による感覚のずれが、ここ20年ほどで急激に気になる事が増えた。

  • 面白かった

  • 主役と主題と絞れてなく、特にキャラの魅力が不足

  • “確定”した未来のビジョンの不安定さ故に自由意志の所在が曖昧となった人々の葛藤、と言うテーマを主軸にしてくれれば良かったと思うんだけど、ロマンス、ミステリー、SFと全部一気にやろうとして中途半端になっちゃった印象。フラッシュフォワードの再現まではわくわくしたけど、それからの失速感が凄まじかった。

  • アメリカでテレビドラマ化されたが、打ち切りになった『フラッシュフォワード』の原作。竹内結子が出て話題にもなりました。

    アメリカのドラマ版では、FBI捜査官が主人公で、舞台もCERNから線形加速器研究所(SLAC国立加速器研究所?)に変更された上に、サスペンス感マシマシの雰囲気でしたが、原作では、CERNが舞台で、シムコーが主人公でした。そして、サスペンス要素は、ほぼなし?そういう意味では、こちらの原作は素直に読み進むことが出来ましたが、ドラマ版はストーリーが込み入り過ぎていて、ちょっと難解でした。だから、打ち切られたのかもね。

  • 今年の放送前に読もうと思って購入。

  • アメリカでドラマ化されて打ち切られた作品の原作。
    よくあるタイムトスリップによるタイムパラドクスとそれに呼応したミステリーが混じっている。
    フラッシュフォワードの混乱で娘を失った主人公の恋人の落胆表現が長い上に何回も出てきて閉口する。
    最後の方はSF好きじゃない人にとっては斬新で突拍子もないので打ち切って良かったんじゃないのかなとも思う。

  • CERNのLHCでヒッグス粒子を検出しようとしたら地球上の人達の意識が飛びました、更にその飛んでった意識が21年後に1分40秒程タイムスリップ!

    戻ってきたら地球全体で車の衝突事故やら飛行機事故やらでテンヤワンヤの大惨事!

    実験に関わってたロイドとテオ!彼ら二人を中心に彼らの見てきた!?未来が軸に物語は進んで行きます!

    SFいいな!という作品でした!

  • もし未来を垣間見ることができたなら、そしてそれが決定された唯一の時間線でないなら…、人々は幸福になるチャンスを掴むか?それとも希望を失って絶望するだろうか?

    その未来は少なくとも人々に気づきを与える。悪い部分は今から改めることができるし、良い部分に対しては心穏やかに生きられるかもしれない。

    それぞれ最もな場面で言うべき疑問が出てきて、ありうる行動がとられていく感じがして、読者としては見事に誘導された。
    登場人物たちが時間移動の原因を議論する場面なども、非常にエキサイティングで、著者の注意深さと博識ぶりがうかがえた。

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