妖女サイベルの呼び声 (ハヤカワ文庫 FT 1)

  • 早川書房
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本棚登録 : 512
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150200015

感想・レビュー・書評

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  • ハヤカワ文庫のファンタジー(FT)シリーズの第1巻はこの作品だということで、興味を持ちました。

    手元にも図書館にもない様子ですが、ご縁があれば読めるかなと思って、気長に待ちます。
    興味が高まったら、図書館の相互貸し出しも検討範囲です。

    この作者さんの他の作品を探して感触を確かめてみようかなとも考えています。

  • 【ハヤカワFT1】名前で相手を縛ることができる妖女サイベルの成長の物語。人よりも自分が従えている獣に信頼を寄せていたサイベルは、人と関わることによって愛すること、憎悪することを知ってゆく。
    終盤、獣たちがサイベルの呼び声だけで縛られていたわけでなく、彼女に対して信頼を寄せていたとわかる場面がとてもよかった。

  • 中学の時に初めて読んで以来大好きなファンタジー小説です。
    これでケルト神話を初めて知りました。
    人里離れた館に住む人嫌いの魔法使いの子孫の主人公が突然血縁の王子を育てる羽目になった事がきっかけで、閉ざされた自分の世界から人の世界の愛を知っていく。
    王道ファンタジーは世界設定が広く深く、数冊に及んでなかなか手が出ませんが、これはファンタジーでもとても読みやすい一冊です。
    主人公のサイベルが「妖女」と形容されていますが、魅力的で後に夫となるコーレンには勿体ない(これは作中でもコーレンが自ら言っているという)位に妖さよりもクールビューティでチャーミング。
    様々な伝説を持つ獣達も魅力的。

  • 漫画版を読んでいて難解であまりよくわからなかったのですが、原作の小説ではいろいろと想いが綴られていて謎だった部分が理解できたかもしれません。
    サイベルが愛や憎しみといった感情を芽生えさせて大団円となります。名前を呼びかけて獣を縛るというファンタジー大好きですね。

  • 怒り、憎しみからの開放と愛の物語ということで宜しいでしょうか。冒険とか魔法とかファンタジックなのを想像してましたが、結局はラブストーリー?話の筋としては結構単純な筋かと思いますが、回りくどい表現なので読むのに骨が折れました。サイベルが何も指示していないのにグッジョブな妖獣たち、最高(笑)。

  • 珍しく出ました星★5つでございます!
    面白い。文句ないファンタジーの楽しさがあり、筋書きは通り一遍でなく、最後まで楽しめる。

    本書はファンタジーの舞台において
    氷の心と言われた魔術師サイベルが、
    様々な出来事を通じて
    人間らしい豊かな心を獲得していく冒険物語である。

    岡野玲子の忠実な漫画版が素晴らしくて
    原作も読んでみたのだが、
    小説では、よりはっきりとサイベルが変化する様子がわかる。
    孤高の誇りしか知らなかった彼女は
    子供への愛を知り、
    男への愛を知り、
    絶望や懇願や泣くという例のない体験を次々にすることになる。無知で無垢に育った彼女はまた憎悪と復讐にとらわれ、大魔王のような権力を揮う欲望に滅ぼそうとする。

    ドラマチックですね。もともとサイベルは少女らしいところが全然なく、感情の起伏に乏しいので淡々と書いてあるのだけど、なんというツンデレでしょう。

    サイベルの氷の心を溶かし歓びを与えることができるのは完全無欠の王子様というべきコーレン。
    本書は大人の女が読んでこそ面白いのではないかと思う。
    戦いを前に起こったサイベルの変心、ブラモアとライラレンの謎ときは漫画版では良くわからなかった部分も小説ではっきりして、非常に感心した。
    哲学的な含意があり、深みがある。

  • 1975年世界幻想文学大賞受賞作品。魔術や心を通わせるけものたち、王位継承をめぐる権力争いなど、美しい映像が浮かぶ、どファンタジー。しかしよくある群像劇ではなく、一人の女性の情念をめぐる、静謐な雰囲気の物語。心理描写に優れた語り口に引き込まれ、男女に限らず親子愛や友情のような様々な形の愛憎を巧みに描いていて、強く感情を揺さぶられた。女性作家ならではの魅力とともに、ファンタジーというジャンルが描ける人間の側面の、幅の広さというものを改めて実感。徐々にピースがきれいに収まって一幅の精彩な絵画が出来上がっていくような、見事な物語のたたみ方にも感動した。

  • 幻獣の力を借りることのできるサイベルの憎しみと愛の話。中盤、復讐に燃えるサイベルの描写から、折れた魔剣ばりに全員死亡コースを想定していたが、赦しにより大団円に。やはり女流作家ならではの展開かと思う。男性作家なら皆殺しコースだよね。

  • 妖女サイベルの呼び声 (ハヤカワ文庫 FT 1)

  • 75年に世界幻想文学大賞を受賞、今となってはマスター
    ピースであり、必読の書。ようやく読むことが出来た。
    冒頭の歴史の記述とでも言える部分を乗り越えるのがやや
    難事かもしれないが、そこを越えれば実に魅力的な幻獣達に
    出会うことが出来る。やはりこの本の魅力はこの幻獣達なの
    だろう。ただ単にサイベルに召喚されたというだけではなく
    心と心でつながっていると感じられるところがまたいい。
    物語を閉めるためのオチもありがちと言えばありがちだが、
    実に美しいイメージに仕上がっていると思う。読まなければ
    ならない本がまだまだありますな。

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