- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150200114
感想・レビュー・書評
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私たちは自分の見たいものを見る。何を見ても、そこにはある種のバイアスがかかる。
純粋にニュートラルな視線というのがありうるとして、それはおそらく論理か言語そのものの中にしかなく、私たちはそれを解釈によって読みとるしかない。世界の真実の純粋さは最初から願うべくもない。
だが、魔法は一方的に訪れる。魔術師はそれを呼びよせ、通過させるにすぎない。莫大な力は唐突で、有無を言わせず、思い通りにならない。魔術師はただ、真実を強制的に反転させる装置として存在するだけだ。そして魔法はいずれの真実を表出すべきかを、それ自身では決定できない。
だからユニコーンが美しい少女になったとき、それは彼女自身がまったく望まないことだった。次第に、彼女は彼女をうまく見ることができなくなる。彼女という真実、ユニコーンの存在は、魔法によって強制的に覆い隠され、閉じ込められて、見えなくなる。彼女自身にさえも。
真実の反転に伴う永遠からの転落。時に従属し、老い、死ぬ。忘れ去られ、失われ、同時に、変化が新しい真実となり、根付く。
いずれの真実が正しいのか、もはや誰も決めることができない。それらはどちらも真実でありうるからだ。そして彼女を救うのは、結局のところ彼女の信ずるものと、彼女の望むものでしかない。
それで、だから、彼女は唯一のユニコーンになった。悲しみを知る永遠という矛盾そのものになったのだ。 -
ユニコーンは,たったひとりで,ライラックの森に住んでいた。自分では気がついていなかったが,彼女はとても年をとっていた。もはや,無邪気な海の泡の色ではなく,言ってみれば,月の夜に降る雪の色に近かった。けれども,瞳はまだ澄みきっていたし,疲れの色もなかった。その動作も,まだ海面を走る影のようだった。
(本文p.7) -
古書購入
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ファンタジーの世界の住人として、人間とは異なる秩序と価値観のユニコーンが真っ向から描かれたファンタジー。自身を英雄譚の登場人物として行動する魔術師など、見ようによってユーモア・ファンタジーかも。
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これは一体どういう話なんだろう。メタ・ファンタジーとでも言うべきか。
筋としては割とファンタジーの王道で、世界の森からユニコーンがいなくなってしまったため、ただ一匹だけ残っていたユニコーンがどこかに消えてしまった仲間のユニコーンを探しにいく、という話。途中、魔女や魔術師、野盗、王子、意地の悪い王などが現れ、ユニコーンも人間の女性に変化するなどし、いろいろあり、最後は大団円。
興味深いのは、登場人物たちがファンタジーの文法に自覚的なところで、これが作品に独特の味わいを与えている。例えば、王子は自分が幻想文学における登場人物の一類型としての王子であることを作中で自覚しており、彼は毎週のように魔女や怪物と戦いに行ってはその労苦をぼやいている。
しかし、だからといって、このメタ・ファンタジーとしての要素が物語の筋に大きな影響を与えているという点は見受けられなかった。そのため、物語としてはいくらかまとまりに欠ける。作者の伝えたいであろう主題も(あればの話だが)よくわからない。
強いて言えば、記号とその計算に堕している多くの幻想文学に対して、記号的な登場人物を持ち出してそれを皮肉ってみせ、さらにそれを実在しうる、一つの人格として顕現させる術を示してみせた、というところだろうか。
あんまりごちゃごちゃ考えるような話ではないのかも。 -
2回目のトライ。おとぎ話系は、あまり得意じゃないが、今回は、ちゃんと想像しながら読み進めるようにして、まだ読み続けている。飽きないで最後まで読みたい。
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「勾玉の世界」で紹介されていたので読みたくなった。
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純粋無垢。真実とその裏。
先の期待を大きく裏切り展開していくどきどきわくわくのストーリーに引き込まれた!! -
母がサンリオ文庫を大量に売ってしまった、かなしい
早く読みたい