誰も死なないミステリーを君に 2 (ハヤカワ文庫 JA イ 13-2)

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150313920

作品紹介・あらすじ

死の予兆が見える志緒と、相棒の佐藤くん。財産を相続しそうな志緒の友人・獅加観飛鳥に死線が現れ、二人は彼女を護ろうと……。

感想・レビュー・書評

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  •  志緒の友人の獅加観(ししがみ)飛鳥に死線が現れる。彼女は近く多額の遺産を相続する予定だ。彼女の他にも母親の違う兄たちがいる。その中には悪魔と呼ばれ行方不明だったり、キツネの面で顔を隠しているものもいる。これは「犬神家の一族」+「悪魔が来りて笛を吹く」のオマージュ、パクリ、パロディの類か。
     誰も死なないミステリーではある。確かに殺人事件は未然に防がれる。でも殺人未遂は起こってしまう。

     志緒の父親の宗一郎氏が気になる。何者だろう。やはり、特殊な能力をを持っているのだろうか。ただの投資家とは思えない。それから。佐藤君の下の名前が気になる。「小五郎」とかかな。

  • 人が死ぬ予兆が見えてしまう少女・志緒と、その相棒の主人公による「人の死なないミステリー」の2作目。

    莫大な財産の相続と、その一族をめぐるストーリーは前作よりぐっとミステリー性が上がった気がします。
    死を回避するため、様々な策略や嘘を巡らせる主人公たちの姿に、最後までずっとはらはらしたまま楽しめました。
    悲しい運命を止めるため奮闘する大学生探偵の姿がとても優しくて、私は大好きです。

    また、この相続者の一族も、志緒の友人の大学生他、芸術家、探偵、狐面の医者と怪しげなのが揃っていて、それに加えて神隠しに鬼の伝説……「ああ、何かいかにも
    なにか起こりそうで『ぽい』な」と嬉しくなります!

  • 人が死ぬ予兆“死線”が見える志緒のため、僕こと佐藤はその死を防いできた。ある時、志緒の友人・獅加観(ししがみ)飛鳥に死線が現れた。彼女も関係する遺産相続争いと、獅加観一族に降りかかる死を食い止められるか?!

    前作に比べて圧倒的に殺意が濃くなった相続争いが舞台。今作も誰も殺させず、犯人でさえも救うミステリーの道筋を佐藤は描けるのか?!不可解な芸術家、軽薄な私立探偵、狐面をかぶる医者と、相続人の癖が強い!しかも飛鳥には幼少期、神隠しで鬼に閉じ込められたという経験も!失踪した一族の謎も織り交ざって、クリア難易度が高すぎる!

    前作は無人島のミステリーと言えばという作品のオマージュがあった。つまり、今作ももちろん仕込みがされていてぼく満足!遺産相続ミステリー!顔を隠した相続人!どこからか笛の音まで聴こえてきちゃう。笛の音だと?!と一人盛り上がってた。オマージュしつつ、ネタを痛快に料理してくれるのも見事。佐藤の名前部分は非公表で、この舞台ならあの名前では?と思ったけどはたして──。そして次回作もオマージュ来ちゃうかな?楽しみ。

    思いも寄らないゲストも登場!「電車で痴漢行為を働くおじさんを見つけて“お前にも辱めを与えてやる”と吠え、おじさんの服をびりびりに引き裂いてその場で丸裸にした」人物とは?!ここだけ聞くと誰よりもヤバい気がしないでもない(笑)

    死線が見えると言ってもアドバンテージはそこまでなく、複雑な人間関係の中でいかにその原因を取り除くかという難しさが際立っていて面白い。一歩間違えれば死の運命に押し流してしまうかもしれない。かじった木や泥や枯れ枝でダムを作って川の流れを変えるビーバーのように、彼らは死の運命に逆らい続けていく。

  • シリーズ二作目。佐藤くんがとても好き。
    死線が二転三転(という言い方でいいのだろうか)して、一気に読んだ。散りばめられたあれこれが、少しずつ少しずつつながって、ラストはとてもやさしくてあたたかい。この話がこんなに清々しいラストに辿り着くなんて。読後感がすごくいい。

    りんご飴のように甘いからかもしれない。
    でも、それだけじゃこんなにあたたかな気持ちにはなれないと思う。ひとの裏も表も現実の厳しさや理不尽さを知っているからこそ、自分も人も傷つかないように動ける考えることができる佐藤くんが、とても好き。

  • 2冊目でも佐藤君の名前が気になる本

  • かなり面白かったです。個人的には前作よりもミステリ要素が強く感じで好きです。

    資産家一族、莫大な財産の相続話、古くから伝わる鬼伝説、過去の神隠し事件…「絶対に人死ぬじゃん!」って王道ミステリ設定がてんこ盛りなので、本当に死なないのかずっとソワソワしながら読みました。
    最後で全ての伏線、今までの事件の謎が全て解けるのは読んでいて気持ちよかったです。

    このシリーズらしく最後はほっこりした気分で終われるのも読後感がスッキリしてて好きです。ただ前作より志緒ちゃんの存在感が薄かったのが寂しかったです。

    ところで佐藤くんについて「名探偵になるべくして生まれたみたい」のセリフがあり名前が気になりすぎます。今作でも謎のままだったので次作こそ…!!

  • 王道とも言える遺産相続争い。主人公の行動によって状況が変わっていくところも含めて、よく練られている。

  • 幼馴染みのために頑張る志緒と佐藤。
    佐藤にとってははじめましてな飛鳥なのに滅茶苦茶全力で守っていて、優しさが感じられました。
    遺産相続のお話も絡みますが、人数が限られていてコンパクトな内容となっています。
    登場人物の名前も魅力的。
    優しい嘘と真相、心温まるラストシーンで素敵な作品でした。

  • 志緒ちゃんと佐藤くんの雰囲気が大好き。
    目と目で通じ合う描写が最高。

    佐藤くんの推理力にはいつも目を見張るものがあるけど、この作者さんの探偵役は等身大な部分もあって、どんどん推理を覆していくから、最後まで展開が読めない。
    ミスリードなのか伏線なのか読み終わってもまだわかってない部分もいくつか……。

    人見知りっぽいのに初対面の人にガンガン話しかけに行く佐藤くん、謎多き男。

    物腰やわらかな狐面の男とか浮世離れした芸術家の男とか裏がありそうな使用人とか個性的かつミステリーっぽい人物がたくさん出てきてわくわくした。

  • 面白かった。
    前作は学園特殊能力モノ、というイメージだっだが、
    ミステリ感がぐっと強くなってミステリ好きとしてはワクワクした。
    と言っても、『誰も死なせない』が根底にあるので、人が死にそうで死なない!!
    死線が見えるので、ミステリありがちな『突然の死!』『誰が死ぬ!?』もない!笑
    新鮮で面白い感覚です。

    そして前作そこまで気にならなかった佐藤くんの脳内が個人的には好き。
    絶妙なツッコミとボケ。
    そしてどーでもいいことに考えをめぐらせる感じに共感(笑)

    事件的にはイマイチ誘拐監禁した理由が読み取れなくて…最後の感じ、姉に惚れたんだよね?でも監禁したのは妹?そして心中は嘘だったんだよね?よ…よくわからーーーん!!!!
    時間あったら読み直そうと思います。

    そして3作目が出てるとの事で楽しみ。

    しかしゴリラ…可哀想に…

    そしてシオパパ……素敵。


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著者プロフィール

2011年「思春期サイコパス」でスニーカー大賞優秀賞を受賞し、翌年『煌帝のバトルスローネ!』でデビュー。著書に「城下町は今日も魔法事件であふれている」シリーズ、『きみの分解パラドックス』『さよならのための七日間』『やさしい魔女の救い方』「誰も死なないミステリーを君に」シリーズがある。

「2023年 『不実在探偵の推理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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