ルアン先生にはさからうな (ハヤカワ文庫 NF 191)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150501914

感想・レビュー・書評

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  • 著者の女性教員は元海兵隊ということで,教育についてのキャリアがなくともガッツや,いかなる状況でも冷静な判断をすることについては人一倍長けていると思われ,荒くれ者や心を閉ざした生徒らの信頼を得ていくテクニックにもそれが生きている.人種の違いに裏打ちされた家庭の所得格差が強い状況,また中南米からの移民がどのような暮らしをしているかといった部分についても,生徒らの振る舞いを通じて描かれており,その辺りに明るくなかった私には勉強になった.

  • 234 12/28-12/30

  •  荒れた生徒とどうつきあうか、洋の東西を問わない教師なら誰でも悩んでいる問題だろう。この本の著者はアメリカのカリフォルニア州の女性教師だ。わざわざ女性教師と書くのはジェンダーフリーの今日では時代錯誤と言われるかもしれないが、荒れた生徒をおとなしくさせるには屈強な男の教師がいいにきまっている、なんて暗黙の了解もところによってはあるようだから、敢えて女性教師と書いておこう。しかも若い新米の教師だ。カリフォルニアといえば移民が多くてさまざまな人種が入り混じっているところだ。言葉だって英語ばかりが通じるわけではない。ヒスパニックというスペイン語文化を持った人々や中国や日本などアジアからの移民も腐るほどいる。当然、アメリカ社会のなかで疎外されたいろんな若者たちがいっぱい出てくる。ルアン先生の学校もそんなところだ。
     そんなルアン先生がひとりひとりの問題を抱えた生徒たちと向き合い、授業改革をやっていく、要はそういう話なのだ。生徒たちの問題だって尋常じゃない。なにしろ銃あり、ナイフありのアメリカなのだ。そんな連中とルアン先生は真正面から取り組み、授業を受けさせ、何とかアメリカで生きていけるように力を与えていくのである。そのためのひとりひとりに応じたルアン先生の戦略が読んでいてつい引き込まれてしまう。とにかく読んでみて自分たちの実践と比べて見ようや。日本の「同和」教育と通じるものがいっぱいあるし、授業改革などというものも毎日のちょっとした工夫の積み重ねだってこともよくわかる。いろんな問題提起を含んでいるし、まるで映画でも見ているようにドラマチックで面白い。というより、この本はミシェル・ファイファー主演でデンジャラス・マインドという題で映画化されて大ヒットした。ビデオにもなっているから見てごらん。原作のほうが面白くてためになるけど。
     原題はMy posse don't do homework 。手をつけられないクラスを受け持った御仁には共感を得られる原題だろう。


    授業改革は楽しみながら   ★★★★

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