異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ) (ハヤカワ文庫 NF 349 〈数理を愉しむ〉シリーズ)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503499

感想・レビュー・書評

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  • ゼロ、そしてその対となる存在・・・無限と、科学者達との戦いの歴史である。

    これまで学校で何気なく習ってきた数学や物理の方法論の裏に、こんなドラマがあったとは驚き。
    学校で習っているときは、「そういうものだ」という感じで説明が始まるので、受験やテストでいい点を取るためのお勉強を抜け出ることは無かったが、こうして各方法論がどうして必要とされたのかや、その成り立ちを知ると、俄然興味が湧いてくる。
    読んでいると、ゼロと無限を克服するための科学者達の発想にいちいち感嘆の念を抱いてしまうのだが、個人的には、複素数を理解するために考えだされた「リーマン球」の発想は本当にとてつもないと思った。
    虚数という、一見して理解を超える存在を理解するために、それらに対する操作を、幾何学操作に置き換えるとは、どのような発想の転換であろうか?
    自分には1000年たっても考えつきそうに無い。

    全編を通して、難しい数学や物理の概念を、分かりやすい例をあげて説明してくれている。
    それでも、相対性理論や量子力学の部分になると、例自体に無理があるというか、それでも難解なのだけど、自分のような素人でも曲がりなりに最後まで読めるように書かれているのはすごいと思った。

  • ゼロという概念は今まであまり深く考えたことがなかったが、かつてはそれが人間自身の存在理由を脅かす程の脅威の概念であったとは知らなかった。

    本書の内容は数学のみならず、宗教、美術、物理学、量子力学など多岐に渡っており、読んでいるうちに今まで正反対の学問と思っていた数学と哲学の境目がわからなくなってきた。

    生きているこの世界、自分自身とは一体何なのだろう。日々当たり前のように生活している現実の世界が、読んでいるうちに徐々に当たり前ではなくなってきて、ナイーブな子どもの時に感じていたのと同じような不安が蘇えってきた。

    数学も哲学も究極的には「人間とは何か」という問いの答えを探す営みだと思うが、ブラックホールやビッグバンの途方もない話を読んでいると、いつも思うのだが、観察や実験に基づく従来の科学は限界を迎えつつあり、人間はかつてのように神話や哲学の世界に戻らざるを得ないような状況になっているんではないかと素人的には思ってしまう。

  • キリスト教世界がなかなか 0 という概念を受け付けなかった理由を読むと、宗教のばからしさをしみじみ感じます。
    正直、「キリストって何様のつもりさ?」って感じ。
    数学がとても苦手だって人にも安心して勧められるわかりやすい内容。
    もしかすると、昔ダメだった微分なんかについてわかった気分になれるかもしれません。(^^;

  • 数学の歴史について書かれた本は多いが、本書はゼロという切り口で数学に歴史を振り返る視点が新鮮。
    特に前半のゼロが発見されるまで(受け入れられるまで)の歴史と、ゼロがないことの問題点の指摘は面白い。PCのキーボードで1ではなく9の隣にゼロがあるのはなぜか、という現代まで続くゼロなく時代の問題などの具体例もわかりやすい。

  • ゼロと無限は隣合わせとなっている。ゼロと言う概念がいかに受け入れ難いものだったかが、数学はもとより、宗教や哲学からも述べられている。現代人には特になんでもないような事にも感じるが、ゼロの概念は奥深いものである事が分かった。
    量子力学や相対論におけるゼロの位置づけは興味深い。ゼロと言う概念に関する書籍は複数あるが、改めて歴史を紐解くと様々な発見がある事がわかり、面白かった。

  • ほとんど理解できてないんだけど、こういう本見かけると読んでしまうんだよな。

  • 2010/2/24 読んでるところ 4/17 読み終える。

    無と無限 それは数学の問題でもありますが、根源的な宗教や 哲学の問題にもなります。
    ゼロは、無と無限に対する考え方とともに、歴史を歩んできました。
    読めば読むほど、無と無限とゼロは 難しいですね。
    おもしろく内容の濃い本です。

    ゼロも無限も、いまだに解き明かされていない。
    いろんな学説が唱えられるが、今一番支持されている学説にしても、真偽は証明できないということだ。
    物質の最小、真空、宇宙の誕生から終わりまで、などは 決して人間は知ることができない。
    だからこそ、あれこれ考えたり 新しい説を見聞きするのは楽しい。

    内容と著者は

    内容 :
    アリストテレスを戦慄させ、近代科学の祖デカルトが否定し、天才アインシュタインが挑んだゼロ。
    最新のコンピューター・システムをも破壊するこの数字の驚異と歴史を描くポピュラー・サイエンス。

    著者 :
    サイエンス・ライター。イェール大学で数学の修士号を取得。
    『ニュー・サイエンティスト』記者。『エコノミスト』などにも寄稿する。ワシントンDC在住。

  • 訳:林大

  • ずっと読みたいと思っていたけど、見つからず、ついに遠い町の図書館からお取り寄せをしてしまった。
    0ゼロにまつわる発見から現代の宇宙論までの物語。実は他の数とは著しく異なる概念なんだそう。
    アリストテレスやニュートン、アインシュタインなど有名な人がたくさんでてきて、様々なエピソードが盛り込まれている。薄い文庫本だけどすごい読み応え。
    正直、微積分あたりから睡魔との闘いでしたが笑、総じて面白かったです。
    ゼロと負と虚数の概念が球体をつくるリーマン球体なんて、実際は微塵も理解してないんだろうけど、わかったような気分になれるサイフェさんの文才がすごいと思った。
    数学=科学と思っていたけど、違うんだな。むしろ哲学的なところもあるらしい。11次元のM理論なんてなんじゃらほいと思ってたけど、哲学です、といわれたら少し納得できそう。
    こういう世界の仕組みが少しわかった気になる本は大好きです。

  • ゼロと無限大は何やら神秘的でミステリアスな魅力がある。
    私は理数が苦手で、この内容をよく理解できたわけではないが、大変興味深く読ませていただいた。
    「無」と「無限大」が完璧に解き明かされると何が待っているのだろうか。恐ろしいほどの革新的で飛躍的な理論と技術の進歩、そして何物をも滅ぼすという恐怖の理論の両方が待ち受けているのかもしれない。

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