マネーの進化史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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本棚登録 : 316
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504489

作品紹介・あらすじ

なぜ人間はバブルとその崩壊を繰り返すのか。貨幣の誕生からリーマン・ショックまで綴る。

感想・レビュー・書評

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  • ユダヤ人はなぜ金融業に多いのか?なるほどそう言うことかと答えてくれます。マネーといってもキャッシュ(現金)の歴史ではなく、金融全般の歴史となっている。キャッシュはもちろん、債券、株、不動産証券化商品などの金融商品の歴史や貨幣そのものの歴史にも触れることができます。

  • 結構なボリュームですが、金融の世界の幅広さ、面白さを感じ取ることができます。
    まぁ(解説で野口悠紀雄さんもおっしゃってましたが)正直ちょっと難しいので、ちゃんと理解するなら複数回読んだ方が良いのかなという感じ。

    株式には第3章が割かれていますが、その黎明期(なぜ生まれたのか?)や初期のバブルについて詳しく書かれていて、人間ってヤツは昔も今もしょうもない「錬金術」を使ってきたんだなぁとあきれつつも、考えさせられます。

    グローバリゼーションについて書かれた第6章は、少し荒唐無稽な話という体で「米中戦争」の可能性について触れつつ、歴史から得られる教訓として「①グローバリゼーションが進んで安定的に見える状況でも戦争は起こりうる」「②平和が続くと衝突のシナリオは想像しにくくなる」「③現状に満足した投資家が危機に襲われると、市場は激しく崩壊する」という3点を挙げて警鐘を鳴らしています。
    昨今のアメリカの状況を見ると、なんだか笑えません。。リーマンショックの最中くらいの本なので、最新の状況を踏まえるとどんな書きぶりになるのやら。

    他にも債券、保険、不動産等、まぁ金融の世界って広いなぁと感じる本でした。決して読みやすくはないけど、類書の中ではまだ読みやすい方かも。

  • 金融学の学び始めに読むには少々難易度が高い本だった。

    終章にて進化の過程を金融と生物の間で共通点を見出していた部分が、一番感覚的にスっと理解できた。

  • 人類の進化の裏側にはマネーの進化があったのだ.

    という本.

    面白いけど,話の難しさと史実に忠実に沿うことで発生する話の展開や重要性の感じずらさが辛い...
    似た本としてはこの本を解説してくれている野口悠紀雄の「マネーの魔術師」がおすすめ

    金融は経済を円滑に回すための手段だったのに.いつのまにか金融が経済(ひいてはそれに参加する人々の生活)に影響しているんだなあとわかる.
    ミシシッピバブルが象徴的.それが複雑にシステム化・グローバル化された現代だと尚更だと言える.

    日本の金融緩和政策は政府の債務を中央銀行に資産に付け替えることで,それはミシシッピ会社(フランスの経済をぶっ壊してフランス革命の遠因になった,金融緩和の父,ローが建てた会社)と同じことだと野口さんは述べている.
    資産を守らねば.

    =====================





    スイスの数学者 ダニエルベルヌーイ
    あるものの価値(value)は価格(price)ではなく効用(utility)によって決まる.


    ICO,ミシシッピ会社やエンロンとやってること変わらんな.
    ・無に金箔を貼り付けて夢を見させる
    ・夢(無)に魅了された人々がそれに投資する
    ・無を仕掛けた人サイド売り抜け,資金の使い込みをして鴨から金を搾り取る.
    ・夢が無であったことが露呈してバブル崩壊
    ー>どうすれば防げる?
    ・相手の発言ではなくポジションを見る.



    サブプライムローン問題
    不動産と株で価格の下落開始に9ヶ月の差

    貧しさは金融業者の搾取ではなく、金融の仕組みがないことで生まれると言う主張→途上国の高利貸しが途方もない金利で金を貸す→金融包摂の価値はそう言うところにあるな

    インカ帝国 16世かに滅亡
    "ピサロの一行にとって、銀が単に光って装飾用に使える以上の価値を持っていることが、インカの人々には不可解だった。"(当時ヨーロッパでは金銀は貨幣だった)

    "スペインの過ちは、貴金属の価値が絶対的なものだと思い込んでいたところにあった。カネの価値は、それを何と交換してもらえるかによって決まる。
    供給が増えただけで、社会が豊かになるわけではない。"

    トークン=代用貨幣
    昔は粘土の塊、今は銀行が発行する紙切れ

    カネとは信仰に近い信頼
    金属がカネなのではない。信用を刻印されたものがカネなのだ

    カネが世界を回しているわけではない。実際に回っているのは、おびただしい数の人間であり、物資であり、サービスだが、それを可能にしているのはマネーだ。

    サブプライム問題=債券の証券化

    近代戦争の背後に金融あり.兵站戦

    通貨のインフレ= 通貨の供給量が生産力を上回っている状態 通貨のパワー=生産力/通過供給量

  • 2016.01.19 スゴ本より

  • 数ある経済史や経済人類学の本は多数あったが、これはとても読みやすい本である。最新の「リーマンショック」にも触れつつ、古代の貨幣社会までもを論じている。利子の起源や債券の起源など、保険の起源など具体例を挙げつつ解説する。
    我々はマネーを憎みつつも、マネーから離れられない状況に来ていることを痛感した。マネーのない社会を最初に触れているが、即殺し合いの社会になり、男性の六割が戦闘で死に、女性の略奪が横行する社会になるという。そんな世に、もう戻れない。

    後半では、著者の市場に対して非常に冷めた目で論じている。それを昨今の金融市場の混乱、ヘッジファンドの抬頭に翻弄される各国政府・・・それに対する処方箋は、すぐに出るものではないようだ。情報に対して人間は必ずしも合理的判断を下すことが出来ず、主観やマジックに踊らされやすい、ということを彼は看破して、本を終えている。

  • 読了

  • マネーの進化史。公債、株、保険、デリバティブ、不動産etc.それぞれの金融商品がどのように生まれたのかを面白く分かりやすく書いてある良書。入門には丁度良い難易度だと思います。金融の世界は奥が深いですね。

  • 金融史を通してマネー(お金)とは何か?を考察した本。
    豊富な歴史を通して、専門知識なしでも読める内容は大変面白い。
    お金とは金塊ではなく信用であるというマネーの本質から、債券や株、保険制度の誕生、不動産の歴史、力増す中国とアメリカの関係、リーマンショックの背景と国際投資の趨勢まで網羅する範囲は幅広い。そしてそれぞれ歴史的事例を参照して解説しているので(戦争が生みだした公債市場とフランスを財政破綻に追い込んだジョン・ローの株式バブルの話は面白かった)、専門知識や経済が苦手な人にも分かりやい親切な構成と作り。歴史好きならより楽しめる内容。

    金融の歴史はバブルと暴落の繰り返し。強欲に支配された世界だとか醜い意地汚い世界だとイメージされ易いが、著者は悲観に陥らない。金融の仕組みはアップダウンを繰り返しつつも進化してきたし、人類の役に立ってきた。金融は人間を映す鏡で、映る像が醜いならば、それは鏡のせいではないでしょ。という冷徹な目と前向きな考えは本書を読み終えたあと感じること。人間とお金が織り成してきた壮大な物語に興味は尽きない。

  • 専門知識がない人間でも理解しやすい本。
    入門書には最適。
    リーマンショックの詳細な記述があれば、と感じる。

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著者プロフィール

ニーアル・ファーガソン
世界でもっとも著名な歴史家の1人。『憎悪の世紀』、『マネーの進化史』、『文明』、『劣化国家』、『大英帝国の歴史』、『キッシンジャー』、『スクエア・アンド・タワー』など、16点の著書がある。スタンフォード大学フーヴァー研究所のミルバンク・ファミリー・シニア・フェローであり、グリーンマントル社のマネージング・ディレクター。「ブルームバーグ・オピニオン」にも定期的にコラムを寄稿している。国際エミー賞のベスト・ドキュメンタリー部門(2009年)や、ベンジャミン・フランクリン賞の公共サービス部門(2010年)、外交問題評議会が主催するアーサー・ロス書籍賞(2016年)など、多数の受賞歴がある。

「2022年 『大惨事(カタストロフィ)の人類史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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