世界しあわせ紀行 (ハヤカワ・ノンフクション文庫)

  • 早川書房
3.81
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本棚登録 : 329
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504663

作品紹介・あらすじ

米国人ジャーナリストが真の幸せを探してブータン、アイスランド、インドなど10カ国を旅する。巻末対談/たかのてるこ、草薙龍瞬

感想・レビュー・書評

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  • 幸せが何かという大きな問いを、様々な角度から幸福だとされる世界各地を訪ねることで求めようとするストレートな試みに興味をもった。著者はもともと、旅行好きが高じて世界各地での報道活動に携わっていたアメリカ人ジャーナリストである。

    調査対象地域は、研究結果をもとにした幸福度をはじめとした様々な基準から選ばれた世界10ヶ国である。それぞれの地域に二週間程度は滞在し、現地の人々への聞き取りを実施しながら、各地で著者が得た幸福についての考察を伝える流れとなっている。幸福学研究者を訪ねてその後の調査方針を探るオランダへの旅を皮切りに、なかには比較対象として幸福度が低いとされているモルドバも含み、終章である故郷アメリカはわずかに触れられるにとどまる。

    それぞれの滞在先についての著者の好悪も隠さず伝えており、アイスランドやブータンなどについては好意的で、裕福なカタールには否定的な印象を抱かされる。ペシミスティックな著者のキャラクターも本書の特色のひとつで、読み進むうちに「幸せ探しの旅」という途方もない企画を実行に移した動機についても妙に納得させられるところがあった。各地に住む人々との会話を通して答えを導こうととするのが大きな要素だが、それとともに随所で盛り込まれる幸福に関する実験や調査についても、興味深い結果が多くあった。

    完全な答えは得られないとしながらもエピローグで示される、「お金は考えられているほど重要ではない」「家族や友人といった社会的なつながりが大事」「嫉妬は毒」「物事を考えすぎない」といったヒントは、各地への旅から得られた教訓と合致しており、企画倒れに終わらせない十分な成果だと思える。そのうえで著者は、そもそも「幸福とは本当に最高善なのか」という本書のテーマを覆すような疑問を呈し、必要なのは「空虚で幸せな人生」より「豊かで有意義な人生」ではないかと問い直す。著者はこれを大半の人にとっての真実として捉えているのだが、私にはあくまでも著者個人(またはその周囲の人々)にとっての価値観ではないかと思えた。

    本書の滞在先ではないが、著者がジャーナリストとして四年間滞在した日本についても度々言及されている。その特色としては同調圧力の強さ、過剰な礼儀正しさ、裕福かつ長寿でありながらも幸福度は高くないなどといった、多くはネガティブな文脈で取り上げられている。巻末には、僧侶・草薙龍瞬氏と、旅のエッセイスト・たかのてるこ氏の対談も収録されている。

  • 「海外旅行」と「しあわせ」という現代の流行りを組み合わせているのだから面白くないはずがない。
    著者の皮肉っぽい知的な文章がクスクス笑わせてくれる。
    国が違えば文化も違うのは何故かというと、環境や歴史が違うからに他ならず、だからこそ国ごとに幸福がどういうものなのかも違ってくるのは当たり前のこと。
    それを体験から学ぶことができるのは旅ならでは。
    自分のしあわせを見つけたらあとは気にし過ぎないこと。

  • 読書録「世界しあわせ紀行」4

    著者 エリック・ワイナー
    訳 関根光宏
    出版 早川書房

    p365より引用
    “結局のところ、先に古いものを手放さなけ
    れば、新しいもの(たとえば仕事や、人間関
    係、人生の進路など)を選ぶことはできない。
    両手がふさがっているときに食べ物の袋に手
    を伸ばしたところで、全てが音を立てて床に
    落ち、両手に何も残らない結果に終わるのが
    関の山だ。”

    目次より抜粋引用
    “オランダー幸せは数値
     スイスー幸せは退屈
     ブータンー幸せは国是
     カタールー幸せは当たりくじ
     アイスランドー幸せは失敗”

     ジャーナリストである著者による、世界で
    一番幸せな国を探す旅を綴った紀行文。同社
    刊行作文庫版。
     北の果てから砂漠のど真ん中まで、それぞ
    れの国の人々に何をもって幸福を感じるのか
    について、聞いて訊ねて記されています。

     上記の引用は、タイ特有の「マイペンライ」
    の精神についてについて書かれた項での一節。
    今あるもので満たされているのなら、まずそ
    れが無くなってから、次の物事に取りかかる
    方が、無駄や損失が少ないのかもしれません
    ね。
     ジャーナリスト故に、不幸な国ばかり訪ね
    ていた著者だそうです。それが重要な仕事で
    あるというのもあるのでしょうけれども、他
    の人の諍いごとに首を突っ込むのをやめるの
    が、不幸な気分を味合わないためにはいいの
    ではないかと思います。

    ーーーーー

  • ブラックジョークは確かに面白い、取材対象との距離の取り方も参考になる。

    でも、なんかまとまりがない感じが否めない。結論を出さないのも一つの書き方だろうが。

  • 著者のキャラクターが最高に好き。これを読んで自分にとっての幸せが何か、答えが見つかった。

  • 内容はもちろん面白かった。しあわせとは?永遠のテーマですね。翻訳された方が素晴らしかったと思われる一冊。

  • 皮肉っぽくなければとても楽しく読めたと思う!

  • ユーモラスな文章でたまに笑わされた。しかしながら全体的な流れやつながりが理解しづらかった。

  • 土佐図書館

  • アメリカのジャーナリストによる幸せをテーマに国々をまわる旅行記

    色々な国をアメリカ人目線で見れて面白かった。
    幸せは難しいテーマだが、研究が進んでいることも知れて興味深い

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