- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150506070
作品紹介・あらすじ
クリストファー・ノーラン監督最新作『Oppenheimer』原作「オッペンハイマーという誰よりもドラマティックな人生を歩んだ男の脳内に入り、彼の物語を描くことによって、観客のみなさんに彼の人生を追体験してもらいたかった」――クリストファー・ノーラン2006年ピュリッツァー賞受賞作「原爆の父」と呼ばれた一人の天才物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を丹念に描くことで、人類にとって国家とは、科学とは、平和とは何かを問う。全米で絶賛された傑作評伝、待望の文庫化。詩や哲学にも造詣が
感想・レビュー・書評
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映画『オッペンハイマー』の原作ということで、3/29の公開日前の一ヶ月前くらいから、上巻から通勤の電車などで読み進めて、ようやく今日読み終わりました。
結局、上巻を読み終えた頃に3/29初日に1回目を見て、中巻を読み終える頃に2回目を見て、という感じでしたが、原作なだけあって、読み進めるほどに映画のちょっとしたセリフも、原作本で読んだことがある状態になり、面白い体験でした。
映画でも登場人物が多いと言われてますが、映画は物語の進行(原爆投下までと、AECによる査問と保安許可更新却下)に必要な人を絞って登場させており、原作にはこれ以上の人がたくさん出てきます。主要人物は読んでると覚えてきますが、それ以外の方たちは覚えられないのでそこら辺は気にせずとりあえず通読しました。
映画で映像化されてないのは、オッペンハイマーの晩年くらいかなと思います。これだけの内容をよく3時間にまとめたなと。映画の感想になってしまいました。 -
2023年3月映画化
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50352551 -
下巻はマッカーシズムの恐怖に陥るアメリカで、ついにオッペンハイマーが告発され聴聞委員会に呼ばれる。
オッペンハイマーの水爆開発の拒否や、共産主義に傾倒した女性との恋愛など、それ自体は今でこそ決して批判されるようなものではない。だが、当事のアメリカの共産主義への集団パラノイアの前では、全てが罪である。水爆開発の拒否はアメリカとソ連の核開発競争を遅らせる目的であり、たまたま共産主義に傾倒する女性と付き合ったなんてことはありえない。それは、ソ連との繋がりがあったのでは、と見られるのだ。
何年もFBIの違法盗聴にさらされていながら、共産主義との繋がりなどほとんど掴むことが出来なかったのにもかかわらず、半ば罪をでっち上げるような形で共産主義への繋がりを作られる。
そのようなオッペンハイマーへの追及は、AEC(原子力委員会)委員長のルイス・ストローズの私怨が大分混じってるように見えた。
このノンフィクションは中巻がピークなのかと思っていたのだが、下巻が一番面白かった。
オッペンハイマーを擁護する友人たちとのやり取りも美しく、こんな友人たちがいたというだけでも随分助けになっただろうな、と。
またアルコール中毒で、気分の浮き沈みが激しいが支え続けてくれた妻キティの関係も感慨深かった。読んでいると2人は傷付けあってるだけにも見えるのだが、ちゃんと愛で繋がっていたのだな、と。
ただこんな両親を持った子どもたちには同情するが……笑
第96回アカデミー賞でオッペンハイマーを演じ主演男優賞を獲得したキリアン・マーフィーが「私たちは、原爆を作った男についての映画を作りました。そして、良くも悪くも、私たちは皆、オッペンハイマーの世界に生きています。だからこの賞を、平和を築く世界中の人々にささげます」とスピーチした。
冷戦は終わり、米ソの全面核戦争の可能性は低くなった。冷戦時代には米ソだけで7万発もあった核弾頭も2023年には12520発まで減少し、今も減り続けている。
だがアメリカとロシア以外で核配備する国は増えており、核が使われるリスクは上がってるらしい。
核兵器を使わないという選択が、より危ういバランスで成り立つ世界。そんな世界に生きる我々は今一度、よく考えないといけないと、このスピーチを聞いて思った。
映画自体への楽しみももちろんあるのだが、この原作を読んで唯一の被爆国に住む日本人として、核兵器について、原子力について、もう一度よく考える必要があるよなと思った。 -
酷い争いをする国 アメリカ
膨大な事実なのに 人物像が浮かんでこない