機械探偵クリク・ロボット 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 8-1)
- 早川書房 (2014年2月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151802010
作品紹介・あらすじ
史上初! 機械の力で謎を解く名探偵登場。偉大なユーモア作家が贈る大爆笑の大傑作!
感想・レビュー・書評
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表紙を見たら我慢できなくて購入。
ポケミス版で読んでいるというのに…。
おまけにコント2編がついていて、そちらにも結構やられてしまった。
でもこれはやはり好事家が読まないときついだろうなーとは思うよ。
私はクリク・ロボの機能の名前だけでご飯3杯いけちゃう♥詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先日読んだ『三銃士の息子』とどっちにしようか迷って保留にしたのだが、結局手にとってしまった。表紙イラストと色センスが可愛い!
タイトルどおりのお話が2編(+おまけのコントも2編)。謎の事件に手を焼く警察を、科学の粋を集めた探偵ロボット・クリクと開発者のアルキメデス博士が追うミステリ小説。しかも最近はさっぱり見られなくなってしまったように感じるし、そもそも日本で受けの悪い(と思う)「ユーモア小説」というジャンルの小説である。登場人物の一挙手一投足や文脈のあれこれに小ボケをかましてくすっと笑わせ、話を進めていく。だからといって、パーツのウケ狙いに命をかけているわけではなくて、
「犯人不明の殺人→動機がありそななさそな隣人たち→警察困る→探偵登場→(暗号文や声明文→)鮮やかなロジックで推理→結末」
という、ミステリのお約束パターン(私は「お約束」と思っているが、その界隈では「本格」というらしい)がきっちり守られているから、読み進んでも地味に感心してしまう。1編めの『五つの館の謎』は、ミステリファンならどこかで見聞きした展開で各章が切りだされ、締められ、鮮やかに、しかも文学の香り豊かに収束する(力業ともいう)から驚いてしまう。2編めの『パンテオンの誘拐事件』も意外とスペクタクルな展開と、終盤にハードボイルドなアルキメデス博士が意外で愉しい。
それにしても、タイトルロールのクリクが登場するにあたって、その機能がアルキメデス博士より紹介されるのだが、その機能がこれまた、ミステリのお約束的パターンを結構的確に機能分割していて驚く。カミがミステリ小説のお約束を的確に表現していることと、フランス人特有のおちょくりの両方が見えて可笑しい。でも、クリクには、日本人がロボットに求める萌えポイントがひとつもないんだな(笑)。
ミステリファンがみなこの作品を楽しめるかというと、ハードボイルドのようにキャラや文体に感情移入して読んでしまう読者を抱える傾向の作品も多いので、ちょっと不安要素があるんだけど、どちらかというと、ミステリを「どうせ大事件があっても探偵が解決するんでしょ!」的なシニカルな目を持って読めるかたのほうが、「ミステリあるある」的に楽しめる本のような気がする。いやはや、娯楽モード全開の翻訳と、暗号の翻案も見事でトレビアン。 -
【20151004】読書会で発表。発表のポイントは「クリク・ロボット可愛い!!」と「翻訳ってこんなに奥深いものなんだなぁ」という2点で。
今回もかなり時間オーバーして喋ってしまったので反省。
そして、もっとカミの「ユーモア小説」としてのおもしろさの面をちゃんと喋れたらよかった…と、発表内容にも反省。
でも、再読もおもしろかった!!
というか、再読は更に楽しめた!!
初読はポケミス版だったので、文庫版のおまけコントも良かった~。 -
いいね、このノリ。
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くだらないといえばくだらない。こんなのがあってもいいかな。フランス語の原著を日本語にニュアンスを含めて置き換えられた訳者に敬意を表します。
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ユーモアミステリ。バカミス。SF。中編2作。
「五つの館の謎」は、本格ミステリ風味。わずか2行の第1章で、魅力的な謎を提供してくれる。意外にもしっかりと謎解きをして綺麗な結末。
「パンテオンの誘拐事件」は、大掛かりな誘拐事件と対峙する、サスペンス・冒険小説風味。
捜査の過程が面白く、爽快感のある解決シーンが良い。
全体を通して、コミカルな文章で読みやすい。登場人物がユーモアの大切さを語るシーンがあったりと、ユーモア作家らしい作品。 -
ロボット探偵が活躍する中篇『五つの館の謎』『パンテオンの誘拐事件』の2話を収録。1945〜1947発表。シリーズものかと思ったら、意外にもこれで全部らしい。ロボットがAIというよりツール的性格が強く、結局は博士がメインであり、二人の駆け引きがなかったのがちょっと残念。
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再読
やっぱりオモシロイ!
いいですね〜
再読ですが、適度に忘れていたこともあり大いに楽しませてもらいました。
訳文もいい味出してるんじゃないですかね?
今回確認したことは、最初のつかみが肝心、ということでしょうか。
気になった人は、最初の2ページだけでも目を通してはどうでしょうか?
ある意味ここだけでも完結しているというか…w -
四角い頭の片隅にチロリアンハットを乗せたクリク・ロボットが、タイプ入力された状況をもとに代入推理し、結果を暗号化したうえで口からテープ出力する、話。もうこの時点で愛らしさ全開だが、挿絵でさらに倍増。209頁で横になってるクリクと335頁で仕事後に眠るクリクは最高にかわいい。クリクかわいい。
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これは大傑作ですわ(褒めてる)。殆ど言葉遊びってかダジャレで構成されてるのでミステリ要素を求めたら負け(褒めてる)。個人的にはロボットの構造がツボ。〈短絡推理発見センサー〉〈真相濾過フィルター〉とか最高すぎるでしょ……