- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151833014
作品紹介・あらすじ
武装勢力が入り乱れ、混迷を極める80年代の北アイルランド。殺人現場に遺されたオペラの楽譜は犯人から警察への挑戦状なのか?
感想・レビュー・書評
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刑事ショーン・ダフィーシリーズの第1作です
何故かは忘れましたがこのシリーズは4作目から読み始め、次に3作目を読みすごく面白かったんです
そして5作目もすごく面白そうだったので、さすがにここらで1作目を読んでおこうかと思い今日に至ります
次は2作目を読む予定
4→3→1→2→5
うーん、変なの
何かの暗号か?
で、こんな変な読み方をすると、「あ、あれってそういうことだったんか!」というのが随所に出てきてそれはそれで面白い
そしてシリーズを読んですごく思うこと
この日本語訳すごすぎない?訳者の武藤陽生さんは控えめに言って天才だと思う
今回ダフィーのチームはダフィー本人とクラビーとマティの3人で、この3人のやり取りが凄まじく面白いんだが(物凄いざっくり言うとクラビーがツッコミでマティが大ボケでダフィーが小ボケ)それぞれがかなり特徴的な背景を持ってるんですよね
その背景と喋り方が物凄いしっくりするんですよね
出身地それぞれに訛りがあって地名とか全然わからないんだけどすごい説得力があるんですよ
それを日本語でさらっと表現しちゃってるんです
あーなんか上手く説明できない
とにかく彼らが(日本語で)そんな喋り方をするのが全く違和感なく受け入れられちゃうんですよね
長身痩躯で、念入りに整えられたひげを生やしていて、髪はストレートの赤毛、肌は青味がかった白
実家は代々農家で、保守的、バリミーナ訛りがあるクラビーはそういう喋り方
なんの違和感も感じない
うーん凄い
うーんすごくたくさん書いたのに全然言いたいことが言えてない気がするw
(諦めたな)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
北アイルランド紛争に関する知識がない私は、解説なしでは各組織の対立関係を全く理解出来なかったと思う。一触即発の紛争地域が舞台ではあるものの、警察署の面々の牧歌的な雰囲気やウィットに富んだ会話により、緊張感は適度に抑え目。インテリな設定に反して直情径行な主人公・ショーンには共感し難いが、今作がダークヒーロー誕生というシリーズの序章的位置付けならば、終盤の展開はさもありなん。しかし、こと謎解きの点においては冗長さの割に不満の残る仕上がり。続編も読もうと思うが、シリアスなシーンに『あい』はやはり不似合いな気が。
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粘度を少し落としたジェイムズ・エルロイ。LA暗黒史を背景にしたポリス・ノワールで突出した感のあるエルロイは、よく知られたアメリカ暗黒=禁酒法、マフィア、ヴェガス、赤狩り、J・E・フーバーといった時代を背景にしているが、このエイドリアン・マッキンティの方は、北アイルランドの現代史を背景に、エルロイ・ノワールに作品を少しでも近づけようとしている。作家も主人公も、その鼻っ柱の強さにとにかく冷や冷やさせられながらも、謎解きを基調としたアイルランド・ノワールとして存分に楽しめるシリーズ第一作である。
舞台は1981年の北アイルランド。警察小説であり、ノワールでありながら、現代史小説としての一面も併せ持つ。過激なテロ組織であったIRAによるアイルランド独立闘争については、当時の日本のメディアではほとんど取り上げられなかったが、むしろジャック・ヒギンズなどの小説でぼくはIRAによるテロの過激さを知ることになった。ヒギンズの『死に行く者への祈り』は傑作とされ、ミッキー・ローク主演で映画化されたが、いきなり園児バスが爆破されるショッキングなシーンは忘れ難く、神と救いを求めて彷徨うアンチ・ヒーローを克明に描いた原作は、さらに印象深い。
大英帝国内でもアイルランドだけは、朝鮮半島同様、南北に二分している。英国帰属意識が強く体制側に組みするプロテスタントと、常に抑圧される側にあることから自主独立を望み、一部は過激なテロ活動をも辞さないカトリック、という政治および宗教的対立構造は、当時、市街戦と化したほどに苛烈な国内状況を呼び起こしていた。中でも北アイルランドのベルファストは、その中心の地であり、バスジャック、放火、爆弾テロなどがほぼ常態化していた。日本の平和な1981年を思い起こすと、この小説で描かれているような、血で血を洗うアイルランド闘争は悪夢そのものである。
本書における主人公、ショーン・ダフィの立場は、これ以上ないほど複雑なものだ。カトリック教徒であるショーンは、大学卒業後、北アイルランドの首都ベルファスト北部に位置するキャリックファーガス警察に巡査部長として赴任する。そもそも大卒の警察官自体珍しく、カトリックの警察官となるとさらに異端である。テロリストからは、カトリックのくせに警察官となった者として裏切者視され、同僚たちからは大卒・カトリックという両要因で距離を置かれる。実に生きにくい存在なのである。
ちなみにキャリックファーガスは、城が一つある以外、同じ形の三軒長屋ばかりが建ち並ぶだけの、無機質で魅力に欠ける街だが、作者が生まれ育った地でもあるということだ。
さてこのように、日常的に銃声や爆弾の音が炸裂している街で、音楽や文学を愛する主人公ショーンは、男性同性愛者の連続殺人、少女の縊死という二つ事件に没頭することになる。テロや暴動の警備に警察官が多数必要とされる状況の中、現実派の上司を尻目に、ショーンは両事件の真相究明にこだわる。野生の嗅覚のようなもの。真実は見えているとおりではない、と。
時代は、煮えたぎっていた。英国王室は、ダイアナ妃を側室に迎え入れようとしている。ローマ教皇は暗殺されかけた。逆にエジプトのサダト大統領は暗殺される。北アイルランドの刑務所ではハンストにより死亡したボビー・サンがヒーローとなり、テロ活動をさらに煽る。ニュースメディアがこんなに多忙な時に、日本はことアイルランドについては、その一割にも満たない最低限のテロ報道しか流していなかったのを、ぼくは今も覚えている。その国の小説に記載されることと、日本のメディアで読むことは全く違う。別の地球のようにさえ見える。
さて、本書はそうした歴史背景のさなかで、骨子としてはあくまでショーンが真の殺人者を暴くというミステリにしっかりと重心を置いている。ぶれない主人公だからこそ状況との闘いにさらされ、捜査自体の存続が危ぶまれる中、組織人としての自覚を捨ててでも単独で真実に拘ってゆく。よりエルロイ的世界へはみ出してゆく。そうした主人公の行動に、平和な日本の読者が着いてゆけるかどうかが試されるような過激な一冊である。そして最終ページを閉じても、アイルランドは終わっていない。ベルファルトの火炎は消火されても、根深い対立構造は存在し続ける。昨年より翻訳され始めた本シリーズは現在3作まで読むことができる。遠く離れた国、過ぎ去った時代の真実に少しでも近づくことに興味のある方は、是非このレアなシリーズをご賞味あれ。 -
暴動に揺れる街で起きた奇怪な事件。被害者の体内からはオペラの楽譜が発見され、現場には切断された別人の右手が残されていた。刑事ショーンは、テロ組織の粛清に見せかけた殺人ではないかと疑う。そんな折、“迷宮”と記された手紙が彼に届く。それは犯人からの挑戦状だった!武装勢力が乱立し、紛争が日常と化した80年代の北アイルランドで、ショーンは複雑に絡まった謎を追う。大型警察小説シリーズ、ここに開幕。
殺伐とした舞台、ユーモラスな描写が救い。後半は冒険小説読みの血が騒ぐ。(ややネタバレか) -
微妙。シリーズが続き評価がどんどん高まっているようだが、もうエエかなって気もする。なんか会話の訳の違和感が最後まで気になって。