グレイラットの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMク 23-4)

  • 早川書房
4.28
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本棚登録 : 1157
感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151842542

作品紹介・あらすじ

売春宿で殺されたサミット関係者の男。テロを警戒する政府はポーに捜査を命じる。ポーは3年前の強盗殺人事件との関連を疑い……

感想・レビュー・書評

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  • 鬼★5 政府から依頼された難解事件、現場に残されていたネズミの置物の謎とは… #グレイラットの殺人

    ■あらすじ
    貸金庫で事件が発生、そこでは単なる窃盗が行われたわけではなく、さらに不可解なネズミの置物が残されていた。数年後、ヘリコプター会社の元軍人である社長が殺される事件が発生。彼の会社はサミットで各国の要人たちを搬送する仕事を請け負っていたのだ。政府から捜査を依頼された刑事ワシントン・ポー、今回も事件を解決できるのか…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    鬼★5 おもろい!

    そして長い。長いけど、この長さがいいんです。この1冊で、10週くらいの海外ドラマになるほどの重厚感。読み応えのある素晴らしい作品でした。

    もう最初のシーンが引き込まれる。いわゆる犯罪者が潜入して、悪事をはたらく場面なんですが、いきなりワクワクさせる要素が詰まってる。メンバー、場所、行動の謎…そしてタイトル名にある「グレイラット」も登場するんですが、存在理由も事件への関係性も全然意味がわからない。読者を惹きつける技がマジで上手ですよ。

    本シリーズ毎度のことなんですが、特に今回は主役の刑事ワシントン・ポーがカッコイイ。自分の信念とやり方で捜査を進める様は、名作「24 TWENTY FOUR」のジャックバウワーみたい。悪には厳しく、想いを同じくした仲間や被害者には、まっすぐに優しい言葉をかけてあげられる。やり過ぎなところもあるけども、こんなクールな生き方はなかなかできないですよね。痺れました。

    そして本作において超推ししたいのは、チームワークなんです。明晰な頭脳と忠誠心が高いブラッドショーをはじめ、上司フリンや病理学者ドイル、FBIのメロディー・リーなどの優秀で正義感の強い人材。一匹狼だったはずのポーを、技術的にも精神的にも支えながら事件解決に導いてゆく。お互いの強み弱み、生きざま、胸懐を理解していないとできないですよ。ホント、理想のチームです。

    ストーリー展開についてもお見事ですね~ なんといっても機密事項に関わる事件なので、まず依頼者である政府が信用できない。事件の背景には何重もの秘密があり、一筋縄ではいきません。ひとつひとつ謎解きしていく様子も読みごたえがあるし、犯人の動機、これまで隠されていた秘密に驚愕ですよ。はぁぁぁ?!それは酷くね?って場面が胸に刻まれ、なんともやるせない気持ちにさせられるのです。

    今年も新作がでるようですし、次回作が超楽しみ。楽しい読書体験でした!

    ■ぜっさん推しポイント
    物語の後半、ついに犯人を追い詰めるシーンがあるのですが、これが圧巻なんです。緊張感のある駆け引きの中、犯罪と隠蔽と法律と民意の在り様がリアルに語られてゆく。現代における行き過ぎた私刑のありさまと、商業主義だけのジャーナリズムを見ているようで、どうすればみんな幸せになれるのかと、切ない気持ちにならざるを得ない。

    結局はポーのように真っすぐな判断をすべきなんでしょうが、国には国の、組織には組織の、人には人の事情があり、何が正しく合理的なのか判断するのはホント難しいです。

  • <ワシントン・ポー>シリーズ>最新刊にして第4作、気づけば前作から早1年、待ちに待っての発売となりました。

    シリーズ史上最長の709P、読み終えるのに少し時間を要しましたが、英国推理作家協会賞スティール・ダガー(最優秀スリラー小説賞)受賞作、さすがに読み応えありました。

    巻頭の貸金庫強盗のシーンからして惹き付けられますよね。
    犯人たちが被ったのはショーン・コネリー、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナン、外にとめたバンの中にはロジャー・ムーア。
    わかりますよね?
    映画007のジェームス・ボンドを演じた俳優たち。

    仲間割れか?と思われた金庫室でショーン・コネリーがティモシー・ダルトンを射殺、そして開けた金庫の中身は空っぽでそこに置いたネズミの置物。

    盗むのではなく、金庫に鼠の置物を置くことが目的の金庫破り???

    これが本作のプロローグです。

    いよいよここから本編へ。

    舞台は法廷、しかも出廷するのが本シリーズの主人公ワシントン・ポー。
    法廷を出たポーにかかってきた一本の電話、それは売春宿で男がバットで殴り殺される事件が発生したというもの。

    舞台となるカンブリア地方では世界のリーダーが集う首脳会議の準備中で、殺された男は会議参加者をヘリコプターで輸送することに決まっていた会社の社長。

    ポーとティリーは首脳会議開催までに事件の解決を求められます。

    FBIにMI5まで加わり始まる捜査の指揮を執るのは我らが主役ポーなのですが...
    ウウッ( ; ˘-ω-)
    ちょいとばかし、登場人物多すぎないですか...

    しかも本作で重要なカギを握るのが15年前の某国での軍事作戦。

    正直に言うと、中盤はしんどかったよぉー

    でもね、ラストに向けて一気に収束していくこの感じはやはり最高(*`ω´)b

    普通に読んでても、その時には気づかないんですが色んなところに細かく仕込まれているんですよね、様々なプロットが。

    そして何より本作で感じた文体の変化。
    細かく分けられた章のラスト1行でポーだけが気づいた閃き。
    例えるなら「そうか!そういう事だったのか!!」みたいな感じで終わるんですよ。

    そしたら、次の章を読まずに寝る(-_-)゜zzz…なんて出来ないですよね^^;

    ということで、現在3:20...

    さすがに寝ます...


    <あらすじ>
    貸金庫を襲った強盗団が、身元不明の遺体と鼠の置物を残して姿を消した。3年後、サミット開催が迫るなか要人を搬送するヘリコプター会社の社長が殺される。テロを警戒した政府はポーに事件の捜査を命じるが、MI5の妨害で捜査は遅々として進まない。天才分析官ティリーが発見したデータのおかげで犯人を追いつめたかに見えたが、二転三転する状況下でポーが辿り着いた驚愕の真実とは。



    本の概要

    売春宿で殺されたサミット関係者の男。テロを警戒する政府はポーに捜査を命じる。ポーは3年前の強盗殺人事件との関連を疑い……

  • 人生でひとりかふたり出会えるかどうかの親友コンビ、ワシントン・ポー&ティリー・ブラッドショーが暴れまわる待望のシリーズ第4弾は700ページ超えの超大作!

    長っ!

    ぶ厚っ!

    けど、むしろありがとう!
    ポー&ティリーと一緒の至福の時間を736ページも頂き恐悦至極です!!

    今回もとんでもなく面白かった
    相変わらずの二人のお互いに向ける信頼が鋼鉄すぎて幸せな気持ちになるんよ〜

    理由を尋ねないから物語が停滞しない
    後回しにしないからイライラしない

    二人の鋼の信頼関係が圧倒的なリーダビリティの高さに繋がってるんよな
    常ににんまりしなかがらあっという間の700ページです

    そしてなにしろもうティリーがかわいい!
    尊い!有能すぎてちょっとずるいけどw
    どんな壁も軽々突破して情報とって来ちゃうんで、このティリーの天才さも物語がさくさく進む要因になっとるんよ

    そしてそしてポーの決してぶれない正義感も健在!誰にも止められない信念が気持ちいいんよ

    最強バディの活躍が気持ち良かった!
    2023年の中でもかなり上位の一冊
    次回作が待ちきれなくて漏れそう!(どういうメカニズムやねん)

    • 1Q84O1さん
      親衛隊失格…_| ̄|○ il||li
      読まないと…
      親衛隊失格…_| ̄|○ il||li
      読まないと…
      2023/11/04
    • ひまわりめろんさん
      アンモナイト!(言いたかっただけ)
      アンモナイト!(言いたかっただけ)
      2023/11/04
    • 1Q84O1さん
      言いたかっただけ…
      ┐(´д`)┌ヤレヤレ
      言いたかっただけ…
      ┐(´д`)┌ヤレヤレ
      2023/11/04
  • 去年に引き続きこのシリーズで年納め。今回は警察内だけでなくM15にも噛み付くポー。登場人物の多さに一度積読状態になってたが、それを脱却したらもう止められない!ティリーはもちろん仲間が増えた事も嬉しい。謎解き部分も大満足。

  • ポーとティリーの4作目
    今回も前半の深まる謎が、後半にどんどん解け、そしてどんでん返しの連続!驚きの連続でした!面白かった!
    ティリーがやっぱり可愛く格好良い。そして、ポーの正義感も健在。
    「きみは流れる水のようだな、ポー。立ちふさがる者がいれば、それを迂回する。あるいは乗り越える。誰にもとめられないし、制御もできない」
    本当にそう!それそれ!
    あと、M15のアラスター・ロックも、ちょっといいキャラクターだった〜

  • ワシントン・ポーシリーズ4作目。
    複数おこる事件の犯人はなんとなく分かるのに、事件の繋がりや最終目的が見えず、最後まで翻弄されました。
    あまりにも分厚いので、寝っ転がりながら読むには適さないなと思いつつ、この厚みの分だけ楽しめる喜びを噛みしめました。

  • 長いけど読ませる。
    007要素として、特殊なペン型の武器の話題が出てきたのかと思う。出てきただけだったような…

    その後の展開的に無駄足で終わったのなら、検屍官の人と食事行けば良かったのでは?
    重要ではないから省略される箇所のチョイスに少し慣れが必要だった(読んでて引っかかってた)

  • シリーズ4の一冊。

    このシリーズは厚み、事件の複雑さ、グローバルさ、ポー&ティリーのバディ感といい、全てが増している気がしてならない。

    今作はサミット開催が迫る中、起きた殺人事件。その捜査から紐解かれる過去の事件。

    幾つものキーポイントが姿を見せてきて…果たしてポーはそれらをどう繋ぎ合わせていくのか登場人物の多さと複雑さに手間取ったけれどやっぱりページを捲る手を止まらせないのはさすが。

    そして何より二転三転、想像を軽く転がされ爽快!些細な伏線にしてやられたのが爽快!

    チーム・ポー全員勢ぞろいの次巻が早くも楽しみ。

  • ポーとティリーの4作目。
    買ったものの分厚くて積読になっていた。
    そろそろと思い読み出すと、もう止まらない。
    次回はもっとティリーの出演を増やして活躍させていただきたい。

  • 心待ちにしていたポー&ティリーシリーズ4作目。
    待ちきれず原書に手を出していたので
    結末はすでにわかっていた。にもかかわらず、おもしろくてページをめくる手がとまらなかった。

    最初の法廷シーンの2人のやり取りや、
    謎の施設に連れて行かれ、携帯を取り上げられそうになるポーにクスクス。
    英語では、拒否するポーにティリーが、
    “Pleeeese!”(携帯を渡して)と懇願するのだけど、
    翻訳では、「一生のお願い」と、かわいいティリー炸裂で、訳者である東野さんの言葉選びにセンスの良さを感じた。

    最初はどう繋がるのかわからなかったいくつかの出来事が、ひとつにまとまっていく様にため息。
    クライマックスかと思わせて、またさらに明らかになる事実が待っているのも、いつもながら心憎い。

    今回初めて図書館にこの本をリクエストした。
    一番最初に順番が回って来て、しあわせ。
    早く返却して、予約を入れてる人を待たせないようにしないと!

    • 111108さん
      ちぃさん、
      図書館返却間近本に押されて、読みたいのに積読中です。なのでちぃさんのレビューは薄目で読ませていただきました!ごめんなさい‼︎すで...
      ちぃさん、
      図書館返却間近本に押されて、読みたいのに積読中です。なのでちぃさんのレビューは薄目で読ませていただきました!ごめんなさい‼︎すでに読まれた原書との違いを比べたり楽しそう。普通に読むより倍楽しめそうですね。私も早く追いつきたいです♪
      2023/10/25
    • ちぃさん
      わ〜、すみません。楽しみにされている本をネタばらししてしまいました。いつもいいねを下さり、ありがとうございます。もしも読む予定のある時は、ど...
      わ〜、すみません。楽しみにされている本をネタばらししてしまいました。いつもいいねを下さり、ありがとうございます。もしも読む予定のある時は、どうぞわたしの感想はスルーしてくださいね。
      今回も2冊を手元に置きつつ、気になるフレーズを照らし合わせる作業を楽しみました。
      ようやくわたしも借りていた本を読み終えました。
      明日は気になる本を探しに行こうと思います!
      2023/10/25
    • 111108さん
      お返事ありがとうございます♪
      大丈夫、ちゃんと読むところは読んで、スルーしておいた方が楽しめそうな部分を察知しておきました!笑 お気遣いあり...
      お返事ありがとうございます♪
      大丈夫、ちゃんと読むところは読んで、スルーしておいた方が楽しめそうな部分を察知しておきました!笑 お気遣いありがとうございます♪
      原書にはまだ手が出せませんが、近いうちに本書読みたいです♪
      2023/10/25
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